旅限無(りょげむ)

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記念撮影の後先 其の六

2009-12-18 10:31:22 | 外交・情勢(アジア)
……143人の現役議員全員に、1人1秒足らず、胡錦濤主席と握手させ、写真を撮らせる演出は、まさに宗主国に恭順する近隣国の“朝貢の図”で、誇りある日本人の正視に耐えない。そうすると、先月中旬、学習院大学ホールで上演された中国人民解放軍総政治部歌舞団のオペラを、お忍びで皇太子殿下が観劇したのも、このパッケージの一部だったのかとかんぐりたくなる。総監督の人気オペラ歌手は習副主席の妻だからだ。

■この不思議な観劇については『週刊新潮』が大きく取り上げていたはずですが、一般の新聞やテレビではほとんど触れられていなかったような気がします。例の慌しい写真撮影は、選挙用パンフレットやポスター、選挙事務所のデコレーション用に行なわれたという面もあるようですが、勿論、相手側からすれば皇帝気分を満足させるには十分な演出でありました。


小沢氏の記者会見は、いい気分で凱旋した日本で小役人が反抗したことへの怒りの表れと思うが、天皇を戴くのは日本の2千年の政治の知恵であり、世界に比類のない国体である。平時は「権威」として政治に関与せず、民族の存亡にかかわる重大な時に、国民統合の象徴としてお力を発揮していただくというのが筆者の見解だ。ゆめゆめ一内閣の外交、ましてや党利党略に乱用することは許してはならない。
2009年12月17日 産経ニュース

■クラッシャー小沢にとっては、自分が政権与党の中枢に居座り続けられるかどうか、案外、それが日本の存亡に関わる重大事なのかも知れませんぞ。冷戦後の日本が対米外交姿勢を改めるのは当然なのでしょうが、それが日米関係の軽視や反米にまで話が進むのは非常に危険で、民主党が抱える最大の弱点である防衛政策、そして、集団的自衛権の現実的な見直しや憲法改正へとつながる大問題を解決してからでないと、一政治家の思い込みや変な期待感で舵を切られたらエライことになりましょうぞ。

■小沢大訪中団の日中「草の根」交流の実態と舞台裏が徐々に明らかになっておりますが、訪問前の報道を見ておりますと問題になっている天皇陛下との会見を無理強いしている頃は、まだ北京で胡錦濤主席との会見が出来るかどうか微妙だとの話が散見されます。それもそのはずで、胡錦濤主席はどやどやと数ばかり多い日本からの訪問団と写真撮影や代表者達と茶飲み話をしている暇など無かったらしいのですなあ。


外交部の王光亜副部長は(12月)10日の内外メディア向けブリーフィングで、胡錦濤国家主席が12~14日に予定しているカザフスタンとトルクメニスタンへの実務訪問について……中国と中央アジア諸国は地理的に隣接し合い、文化的にもつながりがある。中央アジア諸国との善隣友好協力関係の不断の強化・発展は、中国政府の一貫した方針であり、双方の人民の共通利益にも合致する。中国は引き続き相互尊重・平等互恵の原則に基づき、中央アジア各国と各分野で実務協力を実施し、平和で、安定した、発展する、調和ある地域の建設に向けて、たゆまず努力していくことを望んでいる。

■東シナ海での強引な掘削作業と連動するように西方からも長大なパイプラインで天然ガスを輸入する計画がどんどん進んでいるのが今のチャイナであります。「中国と中央アジア諸国は地理的に隣接し合い、文化的にもつながりがある」という決まり文句を聞くたびにウイグル自治区の皆さんは神経を逆撫でされるのでありましょうなあ。古くは漢の武帝以来、チャイナは何かと中央アジアに手を伸ばそうと計画したもので、逆に西や北から攻められて何度も滅亡の危機を味わった歴史がありますから、「つながり」は間違いなく存在します。しかし、「平和で、安定した、発展する、調和ある地域の建設」は相当に難しいのが現状でしょう。ソ連崩壊後、対テロ戦争を大義名分として米国が進出してロシア・米国・チャイナが三つ巴の陣取り合戦を繰り広げておりますからなあ。

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