語り継がねばならぬ物

2010年03月08日 | 季節のこと
諸事情がかさなって1ケ月延びた一族の新年会。もともと2月の初めにやっていたのだから、別にこの時期でも新年会は新年会。

 市内の温泉で、乾杯の後、つい最近亡くなった故人のために献杯をする。
この故人の方にお話をきいておきたいと思いつつ・・・またもや果たせなかった。特攻隊の生き残り・・・・そう聞いていた。それが故人の生き方にかなりの影響を及ぼしていたことは、察するに余りあることであろうから、聞くにもタイミングがあろうし・・・。

 語り継がねばと最近語り始めた人々もいる。戦争の悲惨さを知らない私たちにも、それを聞き語り継がねばならないと思う。・・・それにしても語り継ぐものを聞いてはいないことも事実。

 先日も我が家の夕食時、テレビで「凍りもち」が放映されていた。父が「寒ざらし」と同じだねと、この地方で作られている「もちを凍らして水分を抜いて乾燥させる保存食」の話になった。夏お腹をこわした時など、その「寒ざらし」をお湯で溶いて食べると力がつくとかで、祖父が健在だった20年前までは、我が家でも必需品だったが、昨今作ることもなくなった。

 その「寒ざらし」に、郷愁はないのだが、50年ほど前まで作られていた「しみもち」が、この頃郷愁を誘うのである。母が棒状に延ばした餅を寒中戸外で干してつくってくれたものだ。それを5ミリ厚位にカットしたもの、かすかな甘味と日向臭さ・・・・戦前・戦後の物のない時代の子供たちのおやつだった。
 
 父が「年寄りがいて手のある家でもなければつくらなかったかも」と言う。もちろん夫にはその味の記憶はない。父と母もかすかに食べたことがあるかも・・・という程度。

 こうなれば実家の母に聞いておかねばと気が付いた時には、認知症の母もその記憶をなくしていた。
                     依田美恵子
軽井沢・佐久で建てる外断熱・省エネ住宅 中島木材の家


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