世紀末から新世紀への伝言・・・原田耕治さんの「年輪」

2008年02月14日 | 読書
パソコンが壊れて、事務屋は開店休業だった。脇机に溜まった資料や雑誌を片っ端から読み漁った。

 原田耕司さんの「年輪」を読んだ。氏は長野県の「林材建設新聞社」の取締役編集長を務められた、2007年3月に休刊を迎えるまで、40年余りを長野県の林業・製材業を見つめてこられた方である。私はこの新聞社とのお付き合いは長かったが、この編集長さんとお会いしたことはなかったが、氏の書いた社説はずっと読ませていただいてきた。

 「年輪」は「世紀末から新世紀への伝言」として、1983年(昭和58年)から2007年(平成19年)までに、林材新聞に掲載されたご自身が書かれた「社説」の中から特に「伝言」したいものを選ばれた物である。

 まさにひとつの歴史書である。長野県の山そしてそこに携わった人々のことが、血の通った言葉で書き残されている。
その時々で読んでいたまま、忘れられていたことが、今系統立てて思い出される。

 今物になっている事柄がこんなに以前から画策されていたのかと、先人たちの努力に気が付くことも多々ある。

 氏にとって新聞人として生きてこられた証でもあろうが、私たち業界人にとってもこの1冊は宝物である。

 あとがきでご家族らのご理解ご協力に感謝されていたが、そのお人柄がしのばれる。
休刊でもう氏の社説を読むことが出来なくなったのは残念だが、これからも健康に留意されて、日本の山のために提言をいただきたいと願うところである。

                         依田 美恵子
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針仕事に魅かれて。

2008年02月14日 | 日々のこと
 道の駅で待ち合わせをし、時間調整の間店内をのぞいてみた。生産者が出品しているので、最近この手の店が人気がある。

 片隅に手芸のコーナーがあった。小さなキルトの作品が目に付いた。色とりどりの同じ形のボタンを20個も使い可愛らしいデザインである。その針目の美しさに見とれつつ、どなたの作品かと見やれば、そのお名前の下の定価が見えてしまった。

 なんと!!!!!!、たったの80円である。

 この定価を付けた人はどんな価値観で付けたのだろうか。ただ需要と供給バランスだけで付けたのだろうか。
手間暇は別にしても、今時のボタンは1つ50円もする。中に綿も入って本格的なキルトである。出来不出来を別にして私が作り上げるにも小半日はかかりそう。

 手間暇かけたものが評価されないのか、芸術が評価されないのか、これを作った人の寂しさを思ってしまった。

 その日、諏訪の「原田泰治美術館」に行き、第4回絵画キルト展を見た。氏の作品をキルトにしたものが、全国各地から寄せられたものである。昨年あまりに感動したので、今年は家族を誘ったのである。
原田泰治さんの作品は一筆一筆描き込むことによって誕生しているから、この作品とキルトは大変相性がいいのだろう。
一針一針に1年もの歳月をかけた作品は、氏の作品以上に私の琴線に触れるのだ。

 祖母、母が持つ糸と針のDNAが、心の奥底で反応するのだろうか。この年までしなかった針仕事が今後やるはずがないと思い立って、身辺整理をしたはずなのに、なぜか針仕事をみると心惹かれてしまう。

 後10年もしたら、母のように雑巾縫っていたりしてねー、と思っている私がいる。

 
                         依田 美恵子
 
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