住む人が幸せになる家づくりを。

2008年01月07日 | 住まいづくり
暮に里帰りした娘は、まさにアトピーの塊。風呂上りに保湿剤を全身に塗ったが、2日で1瓶というから、痛々しい。

 翌朝寝室から声がかかる。動けないから掃除機を持ってきてという。何事かと思えば、全身の皮膚が剥げ落ちるのだそうだ。まるで脱皮だ。この脱皮をすると多少楽になるという。これを常に繰り返しているらしい。

 わが子がもう3歳の子でなくても、その姿を見れば胸がつぶれる思いがする。
なまじ社宅という住まいに住む不幸である。

 建設屋さんが持主の借り上げ社宅である。アパートにもいろいろあるのはわかるけど、この1年半の暮らしぶりを見ても、燃費のかかり方を見ても、この建て方には住みての立場に少しもたっていないことがよくわかる。

 引越しの日、クローゼットに敷かれた新聞紙がまっ黄色に変色していたので、何年も空き室だったのかしらと日付をみたら、たった半年前だった。部屋と部屋の界にあるクルーゼットの壁にさえ、たっぷりと染みがついていた(外に面した押入でもないのに)。その時いやな予感がしたものだった。

 そしてまもなく娘のアトピーとの戦いが始まった。除湿器をフルにまわし、掃除機を高機能に替えたり、ふとんからベットにと、努力はしているが、もうそんなレベルではないような気がする。

 家は人の身を守るもので無ければならないのに、それが凶器になっている。
1日中そこから逃げ出せない主婦や幼子は、どうすることもできない。
壁紙の下はきっとカビだらけだろう。

 シロウトがオーナーならともかく、プロがオーナーなのだから、利益優先にしても一層罪は思い。プロゆえに一層の手抜きであるように思える。社宅ゆえに家賃はしらないが。

 「こんな家づくりをしていて、お客様がいるのかしら」と案じていた通り、昨年秋には倒産したという。
 住む人がしあわせになる家づくりをしなければ、事業としても継続できないことがよくわかる。

 住む場所を替えるしか、今の状況を脱却できないことは良くわかるが、社宅ゆえに娘の夫の判断にゆだねるしか方法がない。

 お願いだから、貸家といえどもこんな家を造らないでと祈るばかりだ。
                          依田 美恵子
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