「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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まず行動する事が如何に大切か、土壌調査や放射能測定に取り組む、ある母親の行動

2011-08-18 02:30:01 | 福島第一原発と放射能

 ある川崎市内のお母さんから、お電話とメールをいただきました。以前お話してから一ヵ月半くらいの間に、ご自身でできることを考えていろんなことをされている実状が分かります。このあと、お子さんたちと海外に一定期間行かれるそうですが、期間限定でも具体的な行動を女性たちが始めることで、状況を変化させていく萌芽があります。こうしたお話をいただくと嬉しいですし、色んな形で、都内の危ない実態を、さらにいい加減な行政や教育現場の対応状況が手触りで分かります。そのメールの内容を部分的に紹介します。あすは、行政も立会いの下、マスコミもいて、公開で検査機関が採取するそうです。地表の計測で1μSv/hを超える土壌が、どのくらい汚染されているのか気になります。

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  以前、木下さんとお話させていただきましたのは7月2日でした。その際に川崎市の行政や市民の危機感のなさについて呆れるというお話をさせていただきました。ただ、海外へ行くことは予定していても、出発までに自分に何かできることはないだろうかという気持ちになり、その後すぐに有志の会としてPeace and Smile Project Kawasakiという会を立ち上げました。ママも、パパも、子どもがいない方も、結婚されていない方も、学生も、子どもたち本人も、1人1人がこの問題と向き合い、理解し、協力していくことを目的としています。大々的な呼び掛けは行っていないのですが、数回のtwitterの呼び掛けであっという間に大人だけで30名になり、この1ヶ月で50名の集まりとなりました。

 その会を呼びかけた時の目的の1つ目が、自分たちの住んでいる場所の汚染度を知るための土壌検査でした。ではまず線量計測しようということになり、線量計も持たない、線量計測などわざわざしに行きたくないと思っていた私が、Radeye PRD-ERという高性能なシンチをお持ちの方の協力を得て、近隣である川崎市中原区・幸区の線量計測を行いました。それが1回目、7月9日で、今回問題になった平間公園でも計測をいたしました。それでも線量は最高で0.09μSv/h、32cps程度の場所しかなく、どこを検査に出そうという話が会の中でまとまらないまま時が流れ、2つ目の目的である安心食材の調達の方に力を入れる日々が続きました。

  でもやっぱり汚染状況が気になるという声を受け、では川崎の中でも線量高めな川崎区から始めようと決定し、8/11(木)に公園を中心にあちこち計測してみたところ、HORIBA Radiで0.304Sv/hや0.35μSv/hが見つかり、心底びっくりいたしました。これが2回目。では、1回目と同じRadeyeでも計測してみようということになり、8/14(日)に再度、川崎区を計測。やはり0.32μSv/hなどを計測。8/11よりも計測範囲を広げてみましたが、川崎区は全体的に線量高めということが分かりました。じゃあ、1回目との違いを見てみようということになり、幸区・中原区のポイントを計測。流れで平間公園にも立ち寄りました。共産党さんの計測で1箇所高い場所がございましたので、それはどこなんだろう?と探していたところ、不自然なくらいそこだけ植物が育っていない場所があり、計測をお願いしたところ、計測隊から悲鳴が上がりました。信じられないくらいの上昇を始め、地表5cm 0.5μSv/h・163cps(Radeye)、0.72μSv/h(Radi)、0.75μSv/h・β不検出(RD1008)でした。

  これはこのままにしておいては危険!!というのが私たちが真っ先に感じたことでした。そこは子どもたちが大勢集う公園で、しかも児童プールと隣接した場所です。なぜこんなところにこんなものが?子どもたちが被爆したかもしれない!と思うと涙が込み上げてきました。その場にいらっしゃったプール管理を委託されているプール監視員の方が、そこにはプール底から掻き出した汚泥などを持ってきて置いたのだということを伺いました。だとしたら2ヶ月もそれが放置されていたことになります。日曜日の夕方、しかもお盆でしたので、役所にも通じるはずもなく、とりあえずその場を後にしました。まずはあの場所に近付く人間を減らさなくてはと、連絡先を知る限りのママ友にメール。何十通も送りましたが、返事が戻ってきたのは2/3で、あまりピンと来ていない方、楽観的な方もいらっしゃいました。土壌の成分検査をしなくてはならないと思い、研究機関へ電話。次の日にならないとスケジュールは分からないが、朝にかけ直すということで概ねOKのお返事をいただきました。

 次の日15日(月)の朝、8時半になったので市役所に電話。まずは環境局に。対応は最悪で、連絡先すら聞かれない状態でした。次に公園管理課へ。とりあえず話を聞いてくださり、対策などを検討して折り返すということで電話を切りました。それが9時頃。プールの営業が始まると思ったので、慌てて現地へ向かいました。すると同じ会の仲間がすでにブルーシートを購入してきてくれており、それを覆いかぶせてくれていましたが、プール監視員のお兄さんによると私の電話の後すぐに公園管理課から電話があり、すぐにビニール袋に詰めておいてくれ、それを産廃業者に渡してくれと指示を受けたということでした。このままでは隠蔽されて終わりにされる!そう思い、以前からコンタクトを取っていた市議に連絡。そちらを経由して連絡を入れてもらうと、市の対応はがらっと変わりました。そんな指示はしていない、すぐに現地へ向かうと。その間に研究機関へ正式に予約。試料採取は3日後となりました。私は現場を離れてしまっていたのですが、程なくして職員の方が現れ、私たちの会のメンバーのRadiを借りて計測。1.
4μSv/hが出ていたようです。とりあえず目の前にあった灰皿を移動し、コーンを設置、何となく立ち入り禁止っぽくなったものの、簡単に入りこめてしまう状況。全く危機感のない対応。

  この公園のすぐ側に息子が通う小学校があるので、学校へ連絡。すぐ近くに危険物が見つかったので、メール配信システムを使い、近付かないように通知して欲しいと依頼。教頭先生が対応してくださりましたが、そういったことは教育委員会の指示がないと出来ないというお返事でした。教育委員会へと連絡をいたしましたが、1保護者の言うことの信憑性を疑ったようで、事実関係を確認し、対応を協議してから折り返すと連絡先を聞かれました。ですが、これまでまだ電話はありません。プールの汚泥があんなレベルの放射線を出しているのだとしたら、近隣の小学校のプールも同じように汚染されていたはずです。汚泥はどのように処理されたのか、子どもたちが水着に裸足で入りヤゴ捕りをしたことはどうだったのか、うちの子にはやらせていなくても、他の子どもたちのことを思って私は不安でいっぱいなのに、学校も教育委員会も子どもを守る姿勢は全く見せてくださいませんでした。

  夕方、プールの営業が終わった後、市の職員さんが市の線量計で計測にいらっしゃるというので立ち会いました。市の計測器でも地表5cmで0.66μSv/h(5回計測の平均)、1cmでは0.98μSv/h。私は側で拝見し、動画を撮影しておりましたが、地表近くでは何度も1μSv/hを超えておりました。この時、職員さんの服装は普通の半そでシャツにズボン、マスクや帽子などの防御なし。線量計をずっと抱えて、その汚泥の中に入った職員さんはどうみても20代の男性。この対応にも本当に驚くばかりで悲しくなりました。土壌の成分検査を市も依頼しなくてはとお考えのようでしたが、行政の機関が手一杯で受け付けてもらえないとのお話。

  16日(火)、プールはそのまま営業中。市長にもこの一件は伝わったという報告がありました。立ち入り禁止の対応があれでは不十分ではないのかと再度指摘、私が1m離れれば線量は他と変わらないぐらいに下がるとお伝えしたのに基づいて、コーンの置く位置を広げてくださいましたが、貼り紙すらまだなし。若い市議さんと新聞記者さんがお話を聞きたいとのことでお会いし、私たちの活動のことや今回の経緯について聞いていただきました。

  17日(水)、今日もプールは営業中。会のメンバーを始め、この騒動を知った多くの方々が関係各所へたくさん問い合わせを入れてくださったようです。その際に公園管理課がおっしゃったことは、あれはプール汚泥ではなく、枯葉であるということ。ただちに健康に影響の出るレベルではないということだったようです。

 市議さんが市の危機管理室に情報を報告してくださったようで、危機管理室としてもすでに情報を把握し、何らかの対応を検討してくださるようだということを伺いました。何かが良い方向に変わり始めている。それなら良いなと思いました。

 本日18日(木)、10時頃に平間公園で試料採取が行われます。市も行政機関に無理矢理予定を突っ込まれたそうで、一緒に試料採取されるそうですが、プールは変わらず通常営業。その真横で、覆う、囲うなどの対策も全く取らずに行うとのこと。せめてプール側にビニールシートをとお願いしましたが、どうなるかは明日にならないと分かりません。9時30分か45分ぐらいから、IWJで中継予定です。

http://www.ustream.tv/channel/iwj-kanagawa1

 市の職員さん、市議会議員さん、地元テレビ局、新聞社が立会いの下です。これで何かが変わっていって欲しい。協力し合って、より良い環境作りができると良い、そんな希望を持って臨みます。

  私はただの普通の子どもを愛する母親です。私は長崎の原爆3世で、そういうバックグラウンドがあったからこそ、人よりもこの問題に過敏に反応したのかもしれませんが、ヒステリーでもノイローゼでもなく、冷静にこの問題と向き合い、毎日を子どもたちと明るく笑顔で過ごせるよう努力している1人に過ぎません。

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福岡に講演会に伺うように言われました。主催側より下記の通りという事です。参加希望の方は受付HPよりお申し込み下さいとのことです。

木下黄太氏講演会in福岡(春日グローバープラザ)

◆日時:9月3日(土)15時~17時、懇親会17:30~19:30

◆受付HP→http://t.co/Liy6i22