この作品の大部分は、戦いの描写で占められている。「強い者が弱い者に勝つ」という事実。それこそが、正義になっている。
おもしろいのは、戦いに勝った方が、敗者の命をしばしば助けるところだ(エイリーク侯とヨームスヴァイキングのエピソード)。力を認めた相手には相応の配慮をする。それだけ「力への信仰」が強いのだ。
敗戦後の日本がすぐにアメリカと同盟を結んだのも、これに近い心理からかもしれない。当時の人々は、力を崇拝していた。だから、アメリカの力が自分たちよりも勝っていることが実証された途端に、アメリカになびいたのだ。