ノルウェーのキリスト教化を徹底的な暴力によって果たした、オーラヴ・ハラルズソン王。国民に憎まれ、死んだ後になってから「聖王」と呼ばれるようになったのも、仕方のないことだ。
遺された彼の髪や爪は伸び続け、それらが納められた櫃に触った盲人の目が、見えるようになった・・・・・・等さまざまな奇跡が起こった。
暴力と奇跡。宗教を人に受け入れさせるには、これだろう。教理を学んで信じるようになった・・・・・・というだけでは、弱い。それでは、小説を読んで好きになるのと何ら変わらない。後でもっとおもしろい小説を読めば、前に読んだ小説のことなど、人はすっかり忘れてしまう。
暴力と奇跡。現代では、積極的に肯定しにくい。だから、宗教も。