を読む。アッリアノス著。岩波文庫。
数万の大軍を率いてインドを目指す大王の、華々しい戦いの数々。だが・・・・・・。
戦いには補給が付きものだ。現地で食料や資材を「徴発」するわけだが、具体的な描写はまったくない。いったい、どれほどの現住民が餓死に追い込まれたのだろうか。
自分が征服したペルシアの風習に染まっていく大王と、それを批判する部下との対立。このあたりの描写が生々しく、読ませる。あと、マケドニアへの帰りに突破する砂漠の過酷さも、リアルだ。
しかし、ひとことで言ってしまうと、この作品はBLだ。女性はほとんど出てこないし、大王の側近は美少年ばかり。その側近たちは、大王に対して愛憎相半ばする複雑な感情を持っていて、暗殺を計画したりもする。
一方、敵方のアケメネス朝ペルシアでは、兄妹婚が当たり前だったという。キリスト教以前の世界が、広がっているのにゃ。