富谷教会ホームページ・礼拝説教

富谷教会は宗教法人の教会です。教会は礼拝室と二つの茶室からなる和風の教会です。ゴルフ場に接する自然豊かな環境にあります。

「悪霊追放」 使徒言行録16章16~24節

2018-06-10 14:01:07 | キリスト教

          ↑ 古代デルフィ(デルポイ)神殿の遺跡は、ギリシャのユネスコ世界遺産に登録されています。デルフィは、アポロンを祀る神殿で下される信託で知られていました。古代ギリシャおよびローマ時代においては、アポロンの託宣を伝える巫女は多く居ました。「大地の裂け目」から吹き出すガスを吸った巫女は神がかりになって神託を告げました。その言葉を神官が書きとめ,伺いを立てた者に伝えていました。デルフォイの予言は、よく当たるということで、多くの巡礼者が殺到し、庶民の日常の悩みごとから、国家の政策に至るまで、多くの相談が寄せられました。

  981-3302宮城県富谷市三ノ関坂ノ下120番地12  TEL:022-358-1380 FAX:022-358-1403 

       日本キリスト教 富 谷 教 会    週  報

 年間標語 『日々に、刻々と、肉の思いに生きようとする自分に死に、霊の思いに従って歩む者とされましょう。」

聖句 「キリストの平和があなたがたの心を支配するようにしなさい。この平和にあずからせるために、あなたがたは招かれて一つの体とされたのです。いつも感謝していなさい。」(コロサイ3・15)

      聖霊降臨節第4主日 2018年6月10日(日)     午後5時~5時50分 

     礼 拝 順 序

                司会 田中 恵子姉

前 奏             奏楽 辺見トモ子姉

讃美歌(21) 496(しずけき夕べの)

交読詩編   32(いかに幸いなことでしょう)

主の祈り   93-5、A

使徒信条   93-4、A

司会者祈祷

聖 書(新共同訳)  使徒言行録16章16~24節(p.245)

説  教     「悪霊追放」   辺見宗邦牧師

祈 祷     

讃美歌(21) 355(主をほめよ、わが心)

献 金

感謝祈祷              

頌 栄(21)   24(たたえよ、主の民)

祝 祷             

後 奏  

                                次週礼拝 6月17日(日) 午後5時~5時50分

                              聖書 使徒言行録13章1~12節

                              説教題 「宣教への派遣」

                              讃美歌(21)204 403 24 交読詩編107篇

     本日の聖書 使徒言行録16章16~24節

 16:16わたしたちは、祈りの場所に行く途中、占いの霊に取りつかれている女奴隷に出会った。この女は、占いをして主人たちに多くの利益を得させていた。 17彼女は、パウロやわたしたちの後ろについて来てこう叫ぶのであった。「この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。」 18彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。」すると即座に、霊が彼女から出て行った。 19ところが、この女の主人たちは、金もうけの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕らえ、役人に引き渡すために広場へ引き立てて行った。 20そして、二人を高官たちに引き渡してこう言った。「この者たちはユダヤ人で、わたしたちの町を混乱させております。 21ローマ帝国の市民であるわたしたちが受け入れることも、実行することも許されない風習を宣伝しております。」 22群衆も一緒になって二人を責め立てたので、高官たちは二人の衣服をはぎ取り、「鞭で打て」と命じた。 23そして、何度も鞭で打ってから二人を牢に投げ込み、看守に厳重に見張るように命じた。24この命令を受けた看守は、二人をいちばん奥の牢に入れて、足には木の足枷をはめておいた。

           本日の説教

 パウロの宣教旅行は三回行われましたが、今日の聖書の箇所は第二回の宣教旅行(15:36~18:22)中の出来事で、初めてヨーロッパのギリシャ地方マケドニア州のフィリピでの出来事です。アレクサンドロス大王の父、フィリポス二世の名にちなんで、フィリピと名付けられた町です。紀元前42年からローマの植民都市おなっていました。最初の安息日、パウロの一行(パウロ、シラス、テモテ)は、町にはユダヤ教の会堂がなかったので、町の門から二キ離れたところにあるアンギテス川のほとりにある<祈りの場所>に行きました。そこにリディアという婦人が集まっていました。彼女は紫布を商う裕福な女性実業家であり、神をあがめていました。彼女の心はパウロたちの話を聞いて福音に開かれました。彼女も家族の者も洗礼を受け信者となり、自分の家を解放してパウロを泊まるように招き、その後も伝道者たちを迎え入れました。フィリピの伝道はこの家を根拠地として展開され、彼女の家はヨーロッパ最初の教会になりました。

 「わたしたちは、祈りの場所に行く途中、占いの霊に取りつかれている女奴隷に出会った。この女は、占いをして主人たちに多くの利益を得させていた。」(16:16)

 <わたしたち>という記述があります。16章10節から始まって17節まで、次に20章5節-15節、21章1-18節、27章1-28章16節で用いられています。使徒言行録の著者ルカがパウロの旅に同行したのかどうかは確言できないが、<わたしたち>を用いることによって、者がありに劇のようあ感じと直接性を与え、物語をことに力強くするルカの手法であることは確実です。

  パウロとシラスは、祈りの場所に行く途中、占ないの霊(ピトンの霊)をもつ女奴隷に出会います。当時、デルフィ(アテネから西北へ122kmの距離にある)神殿に託宣を告げる神アポロンが礼拝されており、神がかりになった巫女(みこ)によって告げられるその託宣は、神意として古代ギリシアの人々に尊重されていました。「ピトンの霊」は、託宣の神アポロンが化身した大蛇なので、彼女は「デルフィの歩く託宣」でした。この女は、人々の運勢を占うことができたので、主人たちに金を儲けさせていました。

「彼女は、パウロやわたしたちの後ろについて来てこう叫ぶのであった。『この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです。』」(16:17) 

   彼女は、パウロとシラスにつきまとい、彼らのことを、<この人たちは、いと高き神の僕で、皆さんに救いの道を宣べ伝えているのです>と叫びました。汚れた霊につかれた者が聖霊に満たされた者にふれた時、狂乱状態に陥り、そこに超越的な力の存在を発見して叫び出すことがあります(マルコ1:23-24)。この女奴隷は、自分の持っている超自然的な力のゆえに、パウロが担っている福音の力を知ったのです。<いと高き神>という表現は、ユダヤ人の間では「いと高き者」と言って、神という言葉をつけないのが普通でしたが(使徒言行録7:48)、異邦人の間ではゼウス(ギリシャの最高神、アポロンはその子)の称号でもあります。

 「彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。『イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。』すると即座に、霊が彼女から出て行った。」(16:18)

 彼女は、心の病、精神の病、「悪霊」に捕らえられ、その虜にされている犠牲者です。おなじことを幾日も繰り返す若い女性のわめき声にうんざりして、パウロは、その霊に<イエス・キリストの名によって>この女から出て行けと命じました。イエス・キリストの主権と力によってこの女に内在する霊に命じたのです。すると即座に悪霊は出て行き、この女は癒され、悪霊から解放されました。

 「ところが、この女の主人たちは、金もうけの望みがなくなってしまったことを知り、パウロとシラスを捕らえ、役人に引き渡すために広場へ引き立てて行った。」(16:19)

 女奴隷は悪霊から解放されて喜んだが、今まで占い女と取り引きをしていた彼女の所有者たちは、利益が得られず損害を被ったので、パウロとシラスを捕らえ、役人に引き渡すために広場(アゴラ)に連行しました。

 「そして、二人を高官たちに引き渡してこう言った。『この者たちはユダヤ人で、わたしたちの町を混乱させております。ローマ帝国の市民であるわたしたちが受け入れることも、実行することも許されない風習を宣伝しております。』」(16:20-21)

 二人はイタリア法(ローマ植民都市法)に基づき、司法・行政を執行する二人の「都市政務官」に手渡されました。二人に対する告発は、クラウディウス帝がユダヤ人をローマから追放した(紀元49-50年)ことを利用し、二人がユダヤ人であることを指摘しました。町を混乱させていると騒乱罪を適用し、ローマ植民都市では許されなかった外国の宗教、つまりユダヤ教の風習を宣伝していると訴えたのです。この風習は、割礼ではなく、主の晩餐における<聖なる口づけ>(ローマ16:16)と思われています。

 「群衆も一緒になって二人を責め立てたので、高官たちは二人の衣服をはぎ取り、『鞭で打て』と命じた。」(16:22)

 反ユダヤ的感情に動かさて群衆が騒ぎたて、騒乱になろうとしたのを見て、二人の都市政務官は、パウロたちの衣服を剥ぎ取り、、鞭で打つことを命じました。

 「そして、何度も鞭で打ってから二人を牢に投げ込み、看守に厳重に見張るように命じた。この命令を受けた看守は、二人をいちばん奥の牢に入れて、足には木の足枷をはめておいた。」(16:23-24)

 鞭打ちと投獄を行ったのは下役たち(35、38節)でしょう。下役たちは看守に厳重に見張ることを命じました。二人は<いちばん奥の牢>に入れられ、<木の足枷>をはめられました。

 物語は次のように展開します。真夜中頃、パウロとシラスは、賛美を歌って、祈っていると、突然地震が起こり、牢が揺れ動き、たちまち牢の戸が開き、すべての囚人の鎖も外れてしまいます。看守は目を覚まし、牢の戸が開いているのを見て、囚人たちが逃亡したと思い込んだ看守は責任をとって自殺しようとするが、パウロとシラスによってとどめられます。パウロは、「自害してはいけない。わたしたちは皆ここにいて、歌っている」と叫びます。この二人の前に看守はひれ伏し、この二人を外へ連れ出し、「先生方、救われるためにはどうすべきでしょか」と尋ねます。パウロとシラスは、「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます」と言います。パウロたちは、主イエスによるたましいの根源的な救いの方法を示したのです。罪からの救い主として主イエスを信じ、イエスの十字架の贖いの死と、新しい命を与えるイエスの復活を信じ、主イエスにすべてを委ねて生きることを、「主イエスを信じなさい」という言葉の中で語っているのです。この看守と家族はパウロたちの語る「主のことば」を聞き、洗礼を受けたのです。看守とその家族は、二人を家に迎い入れて食事のもてなしをします。それは、「全家族そろって神を信じたことを心から喜んだ」ことの具体的な表れでした。

  夜が明けると、政務官たちは、下役たちを差し向けて、パウロたちを釈放するように、看守に命じました。政務官たちは、二人がローマ帝国の市民権を持っていることを聞いて恐れ、出向いてきてわびました。牢を出た二人は、リディアの家に行き、兄弟たちに会い、彼らを励ましてから出発しました。

 パウロたちがヨーロッパに足を踏み入れ、フィリピの伝道で最初に遭遇したことが占いの霊につかれた女奴隷との出会いであり、この霊の追放でした。パウロのフィリピにおける占いの霊の追放は、まさにキリスト教信仰による呪術からの解放の出来事でした。私たちの住む社会は、依然として呪術的な伝統が強く残っています。青森県の恐山のイタコの口寄せは有名です。不安のうちに人生を送る多くの人々の中には、自分の運命判断を占ってもらう人たちがいます。唯一の神を信じ、仲保者イエス・キリストに寄り頼むならば、人はすべての不安から解放されて自由になります。得体の知れないものを恐れて、占い師の鑑定を仰ぐ必要はなくなります。本当の平安への道がそこにあります。聖霊により、キリストの名によって、占いの霊の追放と、悪霊からの解放を祈り求めなければなりません。神の介入によって宣教の業が進められことを願わざるを得ません。

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