「生き方」人間として一番大切なこと(稲盛和夫著、サンマーク出版)

2007年03月27日 03時37分53秒 | Weblog
 全てに赤ペンを引きたくなる人生の教科書である。著者は言わずと知れた京セラ、KDDIと時代に残る会社を作った人だ。名前や功績は知っているが、どんな心情や考えを持ってここまで来たのかは知らなかった。それをふっと考えたのがきっかけでこの本を手にした。

 読み始めると言葉のひとつひとつが心の中にすっと入ってくる。いくつか挙げると「どんな職業であってもその仕事に打ち込むことが心を磨き、人格を高める事に通じる」「生きる意味を真正面からとらえ心を高めること」「現世は魂を磨く修羅の場である」「試練を機会としてとらえる事の出来る人」などだ。

 サラリーマンとして仕事をしたり、経営者として会社を運営してきた経験を振り返ると、胃が痛くなることやめげそうになることも多々起きる。でもそんな時、こうした言葉にあるような気持ちで理解し折り合いをつけることができれば、こんな心強いことはないと思う。前向きさと勇気を与える言葉は本当に感銘を受ける。

 勝ち組とか負け組などという表現が飛び交う今の時代、ちょっとずる賢かったり、計算高かったりする人が出世したり、評価されると感じてしまう人も多いかもしれない。本書ではそのようなこともバッサリと斬り捨てる。

 「感謝や誠実」「一生懸命働くことや素直な心」「反省を忘れない気持ち」「恨んだり妬んだりしない心」「自分よりも他人を思いやる他利の精神」などなど。よくよく考えると人間として基本的な事だが、我々は忘れてしまいがちである。

 「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」

 これが稲盛氏の考える人生をよりよく生き、幸福という果実を得るための方程式だそうだ。昔も今も変わらない「人としての基本」ではあるが、それがわかっていながらもできなかった人は、これだけの功績を残した稲盛氏の言葉だと思えば安堵して取り組むことができるかもしれない。私も今後の経営の中で、この本を糧として、謙虚に仕事をしていきたいと思う。

http://it.nikkei.co.jp/digital/column/weekendbooks.aspx?n=MMIT1h000008032007