「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

一斉に咲きたる百合のうるさかり 鴨 睦子 (10月号渓流集)

2010-10-05 19:31:24 | 日記
 視覚が聴覚にまで影響を及ぼす。言いえて妙な「うるさか
り」であると思った。
 子供の頃、縁側のある大きな茅葺屋根のお宅に父と一緒に
行った時、縁側から見える山の斜面に地肌が見えないほどに
山百合が咲いていて、あとは空しか見えなかったことが、強
い香を伴って蘇ってきた。
 この句の百合をなぜ「山百合」と思ったかについては自分
でも良くわからないが、山百合は一年に一つづつ花を増やす
と言われており、長年たった株はたくさんの花をつける。庭
にある一本であれ、部屋に活けた一本であれ、その一本が一
斉に開いただけでも、その存在に目を止めるだろう。そっく
り返って笑っているような感じからも「うるさい」は、私の
中で納得の一因としてある。(H)

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