「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

菊食べて星空軽くなりにけり 石母田星人 「滝」11月号<瀬音集> 

2015-11-04 18:56:56 | 日記
 菊は中国原産で、古代から延命長寿の霊草とされ、日本へ
は奈良時代に薬草として入って来た。特に花は食用とした。
また、宮中では重陽の日の九月九日に「菊の節句として菊花
の宴が催された。菊花を浮かべた「菊酒」を飲んだりしたそ
うだ。
 今年の旧暦九月九日は、新暦で見ると十月二十一日に当た
る。中秋の季節である。大気が安定する頃でもある。作者は、
古事に習って重陽の日に菊を食べた。今年の夏は不順な季節
だった。誰しもが体調に変化を起こしたに違いない。それも
やっと落ち着いてきた。見上げれば星々が澄んだ夜空に輝い
ている。中七の「星空軽く」は体調がよくなってきたと感じ
られる。(鎌形清司)


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