「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

鐘楼の鐘は戻らず敗戦忌 梨子田トミ子 「滝」10月号<滝集>

2015-10-24 04:07:33 | 日記
 戦時中、あらゆる金属が軍に供出させられた。それこそ鍋
や釜までも、だったと聞いている。
 掲句の鐘もその一例と見た。全国の鐘楼から鐘が消えた。
供出した後のがらんとした鐘楼。なんとさびしい風景だろう
か。鐘楼の鐘を突いたり聞いたりすることは、日本人の心の
習慣であった。
 戦争が終わって徐々に村や町の人々の努力であらたに鐘が
作られた。しかしいまだに鐘が作られない鐘楼もあるのだ。
戦後七〇年の節目を迎えた。鐘が戻っていない鐘楼を見ると
戦後は終わっていないとおもう。(鎌形清司)

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