「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

砂に書く五輪のマークさえづれり 池添怜子

2020-05-11 18:58:54 | 日記
「砂に書く」と、いっ時形をとどめて崩れる五輪マーク。「砂に書く」と書いてあるのに私の心の目は、三月二十日のオリンピック聖火の到着式のブルーインパルスの描いた五輪マークの空に向いていた。砂に書く→砂浜→松島→聖火の到着式→地球の祭典→新型コロナウイルス→強風→ブルーインパルス、そんな連想を止められなかった。あの日、聖火の到着式は新型コロナウイルス感染防止のために縮小され、「ブルーインパルスは飛べるのか」と心配されるほどの強風が吹いていた。それでも描かれたカラースモークの五輪マークはすぐに風に流されはしたが美しく、囀りの空に溶けていった。新型コロナウイルスパンデミックで五輪は延期になった。外出自粛要請で家籠りの毎日だが、努力することで叶う五輪開催を囀りの明るい空におもおうと思う。新型コロナウイルスの感染リスクを負いながら、医療従事者以外にもたくさんの方々が暮しを支えて下さっていることに本当に感謝しているし、経済活動が止まって、解雇や雇い止めによって仕事を失う人が増えていることに心が痛む。早く皆が普通の生活に戻れるように願っている。(博子)