「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

震災の祈念広場や鳥渡る 佐々木經義

2019-11-13 03:11:00 | 日記
たくさんの命が奪われた震災の辛い記憶。日常を取り戻すための復興は進んでいるように見えるが、心に嘘をついて「頑張る」という足並みをそろえている方々の事を忘れてはいけない。詠まれた祈念広場が何処かということを探るつもりはない。神様に達成を念ずる祈りは、場所が違っても思いは同じだ。祈念広場は強い意志表目の「物」としてこの句なかで機能していると思う。鳥が渡ってくるという秋の当たり前の景を思いながら、震災からの八年八ヶ月を思ってみたが、今年の渡り鳥の眼下には巨大台風の被害が広がっている。人間も自然の中の生き物として生きていることを改めて認識する句でもあった。(博子)