「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

浅学や広場の隅に葱太り 成田一子

2019-11-04 04:13:36 | 日記
 <えっ!どうして広場に葱が植えてあるの?>そんな句だろうか。自分の知識内で処理できない光景にうろたえ、知りたい衝動に駆られ、誰か訊く人がいないかときょろきょろする作者が見えて来る。実感がしっかりあり、場面もしっかり見えて、この「以外」に一緒に首をひねらされることになる。「浅学や」と謙遜しているがこれは知識に繋がらない事実として葱の景があるのだと思う。実は同じような光景が身近にあった。我が店舗の真向かいの廃業した二階屋は東日本大震災で大規模半壊して二年後に更地になったが箱に収まった50音積木で言えば「あ」「い」「か」「き」の部分が畑になっていた。今は家が建ってまた見えなくなったが、訊けば売ってもらえなかったとう単純な理由だったが、広場という公共の場所にある葱畑。「地区民葱鮪鍋の会」など開かれるのなら素敵なことだと思ってもみた。(博子)