「滝」の俳句~私の心に見えたもの

220728 佐々木博子(「滝」瀬音集・渓流集・瀑声集 推薦作品より)

躓きし石も史蹟や花木槿 横田みち子 「滝」12月号<滝集>

2015-12-24 04:18:34 | 日記
 作者は吟行で史蹟を訪ねた。壷の碑で有名な多賀城跡であ
る。古代多賀城の中枢でもある政庁跡も歴史の重みがある。
 作者は壷の碑を訪れ、古代の大路痕を古代人と同じように
歩いて政庁跡をたどった。見るもの、聞くもの、触れるもの
すべてが史蹟である。その貴重な歴史の中を歩いているうち
に自分も古代の人になっている。そう、夢遊病者のようにな
って歩いている。小さな石に躓いた。そうなのだこの石でさ
え史蹟の一つなのである。という確信が一句となった。大路
の道を上って行くと、木槿の花が頻りに咲いていた。
(鎌形清司)