ブルガリアには「コンビニにコピー機」という便利なものはありません。本や文具を扱う「クニジャールニッツァ」という店、または「フォト」と書かれた写真屋(フィルム現像店)、そして警察署や市役所の近くにある代書屋さんにあるかないか・・・「あるかないか」というのは、ないこともある、あっても故障してて動かない、トナーなどのサプライが届いていなくてコピーできない、などなど・・・油断ならない(?)のです。リューリンの地下鉄の駅にあるクニジャールニッツァのコピー機は日本製だけど少なくとも20年は経ってそうな・・・ 写りが悪い。
もっとビックリなのは、ブルガリアでは結構重要な書類が日本で言う普通のコピーで、それに本物か偽者か保証のないハンコがついてあり、これまた本物かどうか確かめようのないようなサインがしてあるのです。
「ホントにこんなんでいいの?」と思うのは毎年のリチュナカルタ(IDカード)の更新!! パスポートセンターに提出する書類はほとんどが原本ではなくてコピーで、提出前にノタリウス(公証役場)を個人でやってるような(行政書士とか司法書士に近いのかな?)事務所に行って、お金を払って「この書類は原本のコピーに間違いありません」というハンコとノタリウスのサインをもらいます。この仕事もなんだかいい加減に見えるのは私だけ? だって原本がいかにもコピー機でコピーされたような風合いの書類な上に、ノタリウスのハンコもサインも本物かどうか疑われたら仕方ないようなもの。(ブルガリアの名誉のために言いますと、もちろんノタリウスはそれぞれ登録番号があるようなので確かめられると思いますが・・・) だいたい、ノタリウス自身が原本が本物かどうか知らないし・・・(依頼人の持ち込んだ書類なので、依頼者の申告にかかってるから。) 唯一、「これこそ申請書類」という感じの専用フォームがあるのは「ザヤヴレーニエ」というリチュナカルタ申請用の書類。この一部が新しいリチュナカルタになるのです。
そんなことを考えながら今年もリチュナカルタの申請をし、パスポートセンターからの返事を待っていたある日、ドアの呼び鈴が鳴りました。開けると・・・ 警察官が!!
「セフタを探している。ここの住所にいるはずだが・・・」
セフタ・・・ ここに以前住んでいた、大家エンカの息子ルーメンの以前の妻です。最近分かったのは、このセフタ、ルーメンだけでなくたくさんの人をだまして銀行に連れて行き、何万レバもの借金をその人たちの保証の下におこし、現金を握ったら蒸発・・・ ということを繰り返していたようです。ルーメンと結婚したときセフタは再婚で、以前の夫との間に二人の子供(すでに成人している)がいるらしいのですが、この二人も警察に捜されていて、ウチにはこの3人を探して警察官や被害にあった友人たちがやってくるので、もう慣れちゃった(笑) 本人たちが現れたらゼーッタイ警察に電話してやるっ!! 捜しにきた人たちもアジア人が出てきたのでビックリして「もうここにはいないのか・・・」と納得。で、今回も警察官は、「じゃあ仕方がない。これ、大家に渡してくれ」と置いていったのが・・・ また!! コピーにハンコとサイン!! 銀行の代執行人からの督促状のようですが、古~いコピー機でいい加減に作られています。ずれてて端っこ切れてるし・・・ 持って来たのが制服を着て身分証明書を提示した警官だったから信用して受け取ったけど、そうじゃなかったら・・・ ナニコレ!?って感じ!!
で、大家のエンカのところにこの書類を持っていくと、たぶん怒りで血圧が20~30上がったっぽい調子で、「見てちょうだい!! これがあなたの今住んでるアパートの権利書と離婚調停書よっ!! もうあの女ったら!! もうぜーんぜん私たちの所有物に手を出す権利なんてないのに!!」と、私の目の前にその書類をドサッ・・・ また、みんなコピーにハンコにサインの紙の束。私はエンカをなだめて、「分かってるわ。全部あのセフタが仕組んだことでしょ?」・・・ でも、なんかこういう問題の原因のひとつに、このいい加減で誰でも作れそうなコピー書類って関係あるんじゃないの?!