読む本がなくなったので、図書館の新書を検索したら面白しろそう。文庫なので本屋さんで買ってきた。
これが面白い、今年はデミルもトゥローもディーヴァーもアーチャーも読んだけれど、実はこれが一番面白いみたい。
航空機事故のことも書いているネルソン・デミルも絶賛しているそうです。
お話はポートランド空港を飛び立った飛行機がすぐ異常に、緊急着陸しようとする機長の努力も報われず多数の死者を出す事故になる。
ムアメリカ運輸省所属の航空機事故調査チームが調査に乗り出す。テロが絡んでいることは、すぐ書かれるけれど全然興味はそがれない。実行犯はわからないし、どのように墜落させたたかも解らないので、この調査チームの行動が実に面白い。
ということでいつものようにまずは気に入ったところの抜書きです。
航空機事故の犠牲者の場合には、その手順が少し変わる。まずはヴィデオによる撮影から着手する。遺体の全形を適切に撮影し、動画に残したうえで、さらに体表面に生じた損傷をすべて、ひとつ残らず略図に記入していく。次いで質量分析計もしくは金属探知機を使用して、体内に進入した金属片の存在を確認し、しかるのち、レントゲン撮影を行い、その後の手順は通常の検視解剖に準ずる。こうした過程には長い時間を要するが、航空機事故の検視解剖においては、金属片の進入経路と体内での分布状況を確認うることが、遺体そのものに劣らぬほど重要な情報源となる。
面白いでしょう。著者が巻頭に書いている謝辞を読むともっと面白みが増します。上巻いっきです。
謝辞
『ニューヨーカー』1996年8月5日号に掲載されたジョナサン・ハールの“墜落事故調査官”というすばらしい記事に出会わなければ、本書はうまれなかった。読む物の心にいつまでも残る報道記事というものは、確かに存在する。
もう少し抜粋します。
「テープを聴きました― 」アイザイアは言った。眼頭が熱くなり、視界に霧がかかった。「操縦室の音声を録音したテープです。それを聴かせてもらいました。ダンヴァース機長は全力で闘っていた。自分で飛ばしている飛行機を守るために必死で闘っていた。最後まであきらめずに、持てる力のすべてで」
とても人物描写もいいので、犯人が判ってしまうのが残念だけれど、それを関係なくいい本でした。