このアルバムが出た時には本当にびっくりしました。いやこれができても当然のことだろうけれど、運命の結びつきのように心をを揺らしました。
それは何かというとヤーロン・ヘルマンとエミール・パリジャンの競演していること。
私がエミール・パリジャンと出会ったのは2006年、彼のデヴュー作「Au-revoir poc-epic」が出たばかりの時です。オクサンがパリのお土産として、出たばかりのこのアルバムをパリの店員に薦められて持ち帰ってくれたのが最初で、その凄いサウンドは続いています。
もっと日本で人気が出ていいはずの人、やっとメジャーでのアルバムです。
そしてもう一人のヤーロン・ヘルマンは2007年、これも翌年同じくパリお土産のアルバム「a time for everning」での出会い、来日ソロコンサートにも行きました。
ですからこの二人とのめぐり逢いはどちらもパリ、パリ15区のルーブルのショップからなのです。
どちらも大好きになった二人が競演するとは、何とも感慨深いものです。
そして運命の連なりはこの二人が2002年から互いに顔見知り、この15区のルーブルのとなり、59リヴォリ通りの区域で演奏していたということです。
二人のパリのめぐり逢いから10年がたってこのアルバムが届いたということになります。
2曲目、重たいベースのリズムに入るソプラノ、その音を聞いたときにブアッと喜びが広がりました。(一曲目はテナーなのでそれほど親しみがない。新作でふいているけれど。)そして続くピアノ・ソロ、まさに今そのもののフレーズです。
3曲目、ソプラノでバラッドを吹くコルトレーンのおもむき、そうするとヘルマンがタイナーに聞こえてくるからたのしい。
4曲目はピアノ・ソロ十分にこれで一枚作れるのは実証済です。
6曲目ベースのソロが短いけれどこの人もなかなか面白いフレーズです。この人は結構昔からの人で、最近ではジョン・テーラーとのデュオアルバム「Patience」で出会ってます。
7曲目ヘルマンのピアノを聴いていると、エスヴョルン・スヴェンソンの喪失感を埋めてくれる人だと感じます。
9曲目ではしっかりしたベースソロが入ってうれしい。
この二人の競演が続くのがどうかわからないけれど、最強の双頭バンドになることは間違いない。
パリジャンは自分のグループでアルバムを出す傍ら、ダニエル・ユメールのバンドでも吹いていて、そちらのアルバムももうすぐ届くことでしょう。
パリでめぐり逢った人たちも、キースの会場で逢った人も、応援している人がキャリアを上げていくことはうれしいことです。
Alter Ego / Yaron Herman
Yaron Herman: p
Emile Parisien: ts & ss
Logan Richardson: as
Stephane Kerecki: b
Ziv Ravits: ds
Recorded by Philippe Gaillot at Recall Studio,
Pompignan, France, February 25 - 28, 2012
1 Atlas and Axis
2 Mojo
3 Heart Break Through
4 Your Eyes
5 La Confusion Sexuelle Des Papillons
6 Ukolébavka/ Wiegenlied
7 From Afar
8 Sunbath
9 Homemade
10 Hatikva
11 Mechanical Brothers
12 Madeleine
13 Kaos