JAZZ最中

考えてみればJAZZばかり聞いてきた。いまもJAZZ最中。

あの夏の少年の様に KOAN / Lars Jansson

2012-07-19 22:32:16 | 聞いてますCDおすすめ


ラース・ヤンソンの新しいアルバムがでてしばらく聞いています。
東日本大震災の犠牲者・被災者に捧げたアルバムだそうですが、今日はこのアルバムが生き生きと伝わったきました。
1曲目、シンバルのリズムアルコのプロローグに始まるピアノ・トリオはヤンソンの以前のトリオとはすこし違っています。
ベース・ラインはウォーキングをしっかり、ドラムスのリズムを強調して、そこに若々しいピアノ・メロディ、切れの良さに一寸驚きます。曲名“只管打坐(しかんたざ)”ただ一念に座禅を組むということのようですが、この演奏リズムに乗る一念なのでしょうか。
2曲目は、憂いより好奇心の勝つ日、マンネリより創造意欲が勝つ日、朝の空気がみずみずしく感じた時に聞く音楽です。今日東京は、今年一番の暑さになったそうですが、朝はなんだか外に飛び出していくような感じでした。
塞いだ重苦しい出来事を引きずっていましたが、ヤンソンの音楽が力を呼び起こしてくれたのかもしれません。
3曲目、ヤンソンらしいピアノのメロディ、ベースとドラムスの行き方はこの演奏も同じです。生意気なようですが、この新しいリズム隊は合格だと思います。ヤンソンが新しい、それもカラフルなシャツに着替えた感じです。
4曲目、ベース・ソロが良い。良い音ベース好きには、にっこりさせるフレーズがその後のピアノを優しく感じさせて、まさしく曲名“A Gentle Heart”です。
5曲目は再びヤンソン・メロディー。
6曲目、4ビートのウォーキングにのせて、ピアノ・フレーズは切れのある若々しいもので、ここら辺が新しいトリオの行き方なのでしょう。
7曲目は静かだけれど、みずみずしいバラッド。
8曲目、シンプルで若々しい演奏、ヤンソンもう一つシャツをアロハに着替えたような感じ。
9曲目ベースとのインタープレーが楽しい演奏で、10曲目も長めのベースソロ、後半ベースの比重がまして、これがヤンソンのトリオの形と思います。
12曲目はしっとりと終わってこれで良し、13曲目はいらないと思います。

好奇心に満ちたみずみずしい心、これがヤンソンの新しい朝とは言わないけれど、夏の日の始まり、負けない跳ねるような力を感じて、思い出しました。

以前にも紹介した大好きな本
“たんぽぽのお酒”  レイ・ブラドベリ  北山 克彦訳 晶文社の出だしを再び引用します。

「静かな朝だ。町はまだ闇におおわれて、やすらかにベット眠っている。夏の気配が天気にみなぎり、風の感触もふさわしく、世界は、深く、ゆっくりと、暖かな呼吸をしていた。起き上がって、窓からからだをのりだしてごらんよ。いま、ほんとうに自由で、生きている時間がはじまるのだから。夏の最初の朝だ。」

KOAN / Lars Jansson

Lars Jansson(p)
Thomas Fonnesbaek(b)
Paul Svanberg(ds)

1. Shikantaza
2. Koan 3
3. El Piloto
4. A Gentle Heart
5. Iceland
6. He who sings and sobs
7. Too good to me
8. Romantic
9. Uroboros
10. Jamal
11. Koan 2
12. The Organist
13. Hippocampus (woodwinds5)
コメント (4)
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