アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

疾風のごとく

2006年01月17日 | 歌舞伎

2002年3月 新橋演舞場

三之助としては最後の舞台。
しかし、お客は三之助ファンというより
原作(乙川優三郎「喜知次」)のファンという感じのおっさん多し!
何も知らない団体のおばちゃんもいるぞ。

私的眼目は
文学座の三田和代と元無名塾の若村真由美。
一緒に出てバトルを繰り広げる、
という場面は一場面しかなかったけれど、ちょっとステキだった。
実力ある女優が、こんなチョイ役ではもったいない。

三田和代の変わらない「四季口調」というか
「三田口調」というか、やたらと懐かしく…。
その昔「ハムレット」を劇団四季で上演した時
日下武史と三田和代で観て以来。
彼女の舞台を観るのは、それ以来だと思うのであります。

東北のさる藩。
身分の差を越えて友情を育む3人の青年武士達がおりました。
最下層武士(新之助)の「父親の死」を介して、
その真相を探るうち、藩内の派閥争いに巻き込まれ、
さらに、跡目を継ぐ運命にあるエリート子息子(菊之助)。
中堅武士の次男坊(辰之助)という各々の立場から、
微妙に意見がくいちがい歯車がずれてしまう…。
藩内の改革はなされるのか。また彼等の友情は如何に~。

主人公菊之助の母が三田和代。
心優しい母なのでありました。
父は団蔵ーッ!
よいカップルであったぞ。いいぞ歌舞伎俳優ッッ!

菊之助には、妹として育てられた許婚となるべき養女もいて
ほのぼのとしたステキな一家で、のほほんと育ったって感じ。

辰之助は、次男坊で将来が無い身分。
だから、剣の腕は立つのに、武士を捨て商人になろうとしている。
皆のアニキ分。

野獣のような性格の下級武士は新之助。
その姉が若村真由美。
父を不当に殺された上、復讐の為に父の同僚を殺した嫌疑を、
姉弟共々うけたことがショックで「狂人」となってしまう。
まさにオフィーリア。
しかし、これが後に「作り阿呆」と判明して、どんでん返し~。

三之助の見せ場は各自ありますが…
もっと流れを流暢に出来んのか!?
場面転換し過ぎっていうより、それに時間掛け過ぎッ!
両隣のおっさん達は退屈そうだったぞ。

二幕目が終わって25分間休憩。
「三幕目を観ずに帰ろ~か。あと1時間もあるぅぅ」
って思ったほど、スペシャルに退屈したのであった。

歌舞伎でなないので、鳴り物や、つけが入るわけでなし。
やっぱり、宝塚グランドロマン系の音楽。
転換暗転中、ズ~ッと流れている。

<場面転換>
小劇場なれば転換ナシ。
ヅカなれば転換中は、幕前芝居で繋ぐ。
スーパー歌舞伎も然り。
新劇だってこんなチンタラした転換見たことないぜ!
商業演劇と呼んでよいのでしょう、この舞台は。
何度も何度もやりやがってぇ。
「テンポが命」じゃないのか?(ないんです)

客もどうしてその「間」の大切さに気がつかないんだ?
集中が途切れるだろ!
家でTVを流し見しているんじゃないんだゾ!
客も創造者側も、タダの鈍感なのか!
それともこのような演劇のテンポは「これ」なのか?(ですね)

上演時間は、3時間15分(休憩合計55分)
休憩を1回にして、ぶっ続けで演れないのか-!!
と憤る私の感覚が、小劇場系なんだろうな。(だーね)

きっと、わざと休憩を何度もいれて
「くつろぐ時間」「お土産を買う時間」を設定してるんだろうな~。
これが一種の”伝統”というものか??(そうだね)

作品の完成度は、役者の演技レベルが高かったのでOK。
しかし、今一つツッコミが足りんっ!もったいない!
打てば響く役者陣なのに。

三幕目は、やっと話が大きく動いた…。
そしてッ!やっぱりこいつがッ!やってくれたゼ!

新之助の父の同僚であり、実は殺人者であった
風采のあがらない独身男の菊五郎ッッ!!がッ
脇でしっかり三之助を見守る。というより、
あんたが主役っっっ!!VIVA!VIVA!菊五郎ー!!

女を廓から抜けさせる為に殺人まで犯し、
二人で夜逃げしようとする姿ッッッ!!
これ、まさに『暗闇の丑松』っっっ
女を支えて逃げる男を演らせたら天下一品ッッ!
日本一ッッッ!!
ああ色っぽいわ~。格好ええわ~。『暗闇の丑松』観たいわ~。

ということで
歌舞伎俳優は、”こんな芝居チョチョイノチョイ”だったのね。ホント。
しっかりした台詞廻し、活舌の良さ。そして所作が美しかった!

三之助も、冒険心ナシといえばそれまでだけど
いつものキャラで、お笑いもある。
新之助なんて、
またまた左近の少将(by『おちくぼ物語』)ばりのお笑いしておったし。
若く!勇ましい!一直線新之助!
地のままっぽかった!そのままいけば危ないヤツ!(ハハハ)

菊ちゃんだって
いつもは女演ってるけど、僕は本当は美しいん男なんだゾォ-。
という真実を、飾らずおごらず自然体で示すボンボンであった。

辰は、いつもはちょっと浮いてるんだけど(笑)
その顔つきや、肩肘張ったあたりが妙にマッチしておった。

三人が本当に仲良く見えて、小犬の戯れであった。

そーして「質の良さ」を支えていたのは、やっぱり菊五郎劇団っっ!!
ア~ンド坂東吉弥ッッ!!
ひっさしぶり~ィ~。笑ったでぇ~。大和屋~ッ!

しかし、うっとおしかったのが<大向こう>
オイッ!演者が動いてる変なところで声かけるなッ!
うるさいっっっ!
センスないやっちゃなぁ!

紅貴代に「くれないッ」て掛けるんやったら
三田や若村にも掛けろッ!
歌舞伎と新派にだけってなんで?
中途半端なやっちゃ!声の暴力やわッ!
「自由」と「勝手」はちゃうで-!
ほんま腹立つ-!

あ~。またしても「劇空間」に恵まれなかった…。
席も3階の端で、思ったより見難かったし…。
もうイヤやわ~ぁ~。
こんなことで気持ちが削がれるなんて、勘弁してほしいわ~。

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