アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

1月 国立文楽劇場 第1部

2006年01月19日 | 文楽

新年迎えて3日目。
大阪ミナミの日本橋にあります“国立文楽劇場”が、
ちょっとした賑わい!
ここは文楽(人形浄瑠璃)の本拠地。
18世紀は歌舞伎より人気があったんでっせ。

ご近所、大阪の台所・黒門市場から、
縁起物の“にらみ鯛”が届けられ、人間国宝の笑顔で“鏡開き”。
樽酒を振舞うのは文楽人形!
間近で見れる、またとないチャンスッ!チャンスッ!
そんなウホホな体験が出来るのは、
“枡”を手渡たされた幸運な人達だけ。
だから凍てつく寒さの中、長い時間並ぶわけやね。
…という気力もなくなって久しいぃ~。今年も寒~。

劇場に入ると、
舞台の高~い所から大~きくって真っ赤な鯛が、
2匹こっちを睨んでる!ウピョ~。
これ、関西では新年の縁起物やねん。
それに挟まれて“戌”と書かれた大凧が! メデタイ!
「こっちを睨んでんの?目の向きがちゃうんちゃう?」と女性。
「見るともなしに全体を見てるんやと思うで」と男性。
なるほど~。兄ちゃんええこと言うやん。

『寿式三番叟』

 √ とうとうたらりたらりら、たらりあがりららりとう

新春の舞台を清め、我らお客のご多幸をお祈りしてくれるんやって。
能と同じ形で松羽目物として、破風、橋懸、松、揚幕が設置されてる。
千歳(せんざい)が重々しく面の入った箱を掲げて登場。
続いて翁と三番叟。
千歳の踊り、面を付けた翁の長久円満、息災延命を祈願する舞いが終わる。

ここからが文楽ならでは!
三番叟は、髭をたくわえた中年&若者。
これだけでも歌舞伎と違うのに、
三番叟が賑やかに動きだしたっっ。
連れ舞いが華やかっっ。軽々と舞うっっ。跳ねるっっ。
♪飛びます。飛びます♪(by坂上二郎)
客がワ~ッとなって、思わずニッコリしちゃう。
この感覚が、人間では味わえんのやなぁ。

千歳から鈴を受取ったら最後、踊りまくりっっっ。
この鈴は三段。鈴の数は上からお目出度い七・五・三なんやって。
種を蒔く仕草をして舞台中を飛び回る。
三味線6丁もスピードアップ!!
客席にも鈴を振って幸運祈願してくれるっっ。
♪宇宙の海は~俺~の海~♪(byキャプテン・ハーロック)を垣間見る、
この三次元空間がたまらん!

あんまり動くから途中でダレル。ダレたら休憩したくなる。
橋懸かりにもたれて、ゼ~ゼ~肩で荒い息する若いヤツ。
それをみつけて窘(たしな)める中年。
お、今度はそ~っと中年が休んでんで~。
三味線のリーダーは、人形の動きをチラチラ見てる。
成り行き流しなんかなぁ。上手くセッションしてまっせー。

お客は大笑いっっ大拍手っっ。
もう楽しくって楽しくってたまらないっっ。
歌舞伎の荘厳さは微塵もナシナシ。
そんなもん無くてええやん。
皆で幸福祈ろうや~~ハッピーハッピー♪

笑った後は気持ち良ーく休憩。さ、弁当弁当。
おっといけない、”あれ”があったのだ。
場内アナウンスも「お席をお立ちになりませんよう」

中堅演者の威勢の良い一声「あけましておめでとうございます!」
舞台から“手拭い”が撒かれるんやで~!
「くれッ!」って手を振る人。背伸びする人。立ち上がる人。
アッ、外国のお客さんが長い手を使って。お見事!
チェ~、2年連続でキャッチ出来たのに、今年はかすりもせ~へんかったわ~(笑)

『太平記忠臣講釈』   
”竹本住大夫文化功労者顕彰記念”

「大夫になって今年でちょうど60年。
81歳の私は、大夫・三味線ではいちばん年かさになりました。
でも、60年を長いと思うたことはおまへん。
怒られて怒られてやってきましたけれど、
親の反対を押し切って文楽へ入りましたし、辞めたら笑われる。
なんとか成し遂げないかんと、がむしゃらにやって来ました。(中略)
こんなええもんやらせてもらえるのは私の幸せです。
何百年も続いている古い芸に
今もお客さまが来てくれはるのは情やと思います。
情を出すには40年~50年はかかりまんなあ(略)」
(番附より)

じっくりたっぷり聞かせます住大夫~。
待ってましたっっ。って拍手し…た…よ…。
♪とんでとんでとんで~まわってまわってまわる~♪(by円広志)
まわった~まわった~。どこまで行くんや~。
ヒロポン打ったかシャブやったかどっちやん!なんのこっちゃ~。
みたいな幻覚すら見れず、爆爆爆爆睡~っっっ!!
横ではオイオイ泣いている人もおったというにぃぃぃ。
これ観に来たんちゃうんけっ。ボケっ。
またしても”不覚をとったぁぁぁ”
ってこの言葉、今年は何回使うかなぁ。まず1カウントや。
てなことで、何も覚えていませんので~ごぜぇます…。

『卅三間堂棟由来』 

自分の妻が、僕の母ちゃんが人間じゃなかった!
ホントーは何、何、何やったん~?
「奥様は魔女だったのです!」そうそう、って違~う。
”柳の精”でごせぇました。

仏教で柳は聖木。
白河法皇の持病は頭痛。
柳は頭痛平癒の効能がある。ってことで
卅三間堂を建てて前世の髑髏を納めたならば、
あ~ら不思議。ケロリンと頭痛が治るっつーの。
OH~!松竹座に続いて、ここにもドクロ現るッ!

父親は消えてしまった母親に。
正確には彼女の面影に、息子を会わせようと柳の下へ急ぐ。
途中、木遣り音頭を耳にした…。
どーも切り倒した柳の木が言うことを聞かず、動かなくなったらしい。
で、息子がやってみると、う…動いたっ。
『実盛物語』でも母子の奇跡があったの~。

 √ 無惨なるかな稚(おさな)き者は、母の柳を都へ送る、
   元は熊野の柳の露に、育て上たるそのみどり子が
   ヨイヨイヨイトナ
  「ヤアこりや俺の母様か」
  と、綱引捨てゝわつと泣き、縋り歎けば
  父親は、涙に声も枯れ柳、引けば引かるゝ恩愛の(略)

野澤喜左衛門 病気休演のため、竹澤弥三郎が代演。
ガンバッテはりましたで。ええやん。って思いましたで。

ふあ~(あくびちゃん)「まあまあやったな」
あっ、ちゃうちゃう、ちゃうで。舞台の事ちゃうで!さっきより
♪とんでとんでとんで~まわってまわってまわる~♪(by円広志)
が襲ってきても、撃退率高かったから~。
なんで、お眼めは、終わったらパッチリ開くんかなー。
♪お前はアホや~♪(by横山ホットブラザーズ)

2月の文楽は東京。
玉男さん『曽根崎心中』ではお会いできると嬉しいな。待ってまっせ~。

「初日のイベント」に参加」された方の詳しいレポートをどうぞ
和、輪、話 : http://wawawanet.exblog.jp/2382606