アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

怪談乳房榎 (かいだんちぶさのえのき)

2005年06月30日 | 歌舞伎
2002年8月 歌舞伎座
2005年6月 歌舞伎チャンネル

苦み走ったいい男。

見初めた女はすこぶる美婦。
なれど人の女房じゃぁどうにもならねぇ。どうにかしてぇ。

舌先三寸近づいて、まずは亭主を三途の川へ。
てめえはちゃっかり後釜へ。

善人面の化けの皮。
剥がれ剥がれて奥の顔。

夜泣きでうるせぇ子供も邪魔だ。
思い立ったが吉日だ。

ゴウゴウみなぎる滝の中、オギャァオギャァと落ちて行く。
浴びるは浴びる水飛沫。

お次に浴びるは血飛沫だ。

「こりゃなんだ!」

怨詈怨念引っさげて、地獄の底から這い上がる。
やって来るのは何ものぞ――。

「いかさま!」

成仏するのかしないのか。
冥土は近くになりにけり。


舞台上に滝が出現ッ!全身に水を浴びながらの大立廻りッ!
それだけじゃすまないの。
水だらけで早変わりまでやっちゃうの!
こりゃぁ 見物だっちゅ~の。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

毛谷村 (けやむら)

2005年06月29日 | 歌舞伎
彦山権現誓助/毛谷村
(ひこさんごんげんちかいのすけだち)

2004年 2月 歌舞伎座
2005年 6月 歌舞伎チャンネル

豊前国(ぶぜんのくに:福岡県東部と大分県北部)
彦山(彦英山)に近い毛谷村に住む六助は、
ヌボ~っとしてるんだけど腕が立つ!
なもんだから、
お城で召し抱えてやるって誘われてるのに断わっている。
なんでだろー。

ある日、
『六助に打ち勝ったなら、五百石を与える』とおふれが出た。

ひょっこり現われた男が言うことにぁ、
「身体の弱い母を喜ばせる為に、どうかあなたに勝たせて欲しい」
志しに感じ入った六助は、わざと負けてあげちゃった~。

でも、そいつは仕官が叶うと、急に態度がデカクなった。
六助の眉間に、わざと傷を負わちゃうッ。なんて野郎だぁ。
なのに、親孝行の手助けが出来てニッコニコの六助。人がイイよなぁ。


六助が中村吉右衛門で、男は中村歌昇。
いいわねぇこのコンビ。息ピッタンコ。
空気が同じ。”古風”な空気。

焼き物に例えると『唐津焼』
同じ佐賀県でも、『有田焼』の明るさやゴージャスさは無い。
“都会のきらびやかさ”の替りに、
“地方の大人しさ”がある。って感じ。
目新しくはないけれど、
いつまでも飽きがこなくて、そこにあるとホッとするもの。


日暮れ時、1人の少年が帰って来た。
六助が、盗賊に襲われているところを助けてあげたのだ。
連れの老人は、その時に死んでしまったので、
何処から来て何処へ行くつもりだったのか、
誰にも判らない…。

目印になるように、少年の着物を物干し竿に掛けているんだ。

やって来た一人の虚無僧。
着物を目に止めっ。
家の中へズカズカ入って「家来の仇!」と大暴れ。

天蓋を取った虚無僧は、なんと女であったっ。
「身に覚えがないこと」と、刀を避ける六助。
そこへ出てきた少年が「叔母様!?」

どーなっとるんじゃ?。
誤解を解く為に、一生懸命話しをする六助。
カッカしていた女虚無僧は、六助の素性を知ると、
突然しおらしくなっちゃった。なんで(・・?
彼は、お園が初めて会う許婚なのでありましたー(*^_^*)。


女虚無僧=お園を演じるのは中村時蔵。
いつ見ても手垢がついてない。
っつう感じなのは、全くマスコミに出ないからかね。
歌舞伎座の中だけで生息している、天然記念物みたいなもんだ。
貴重だ。


女房きどりで世話を焼く。
女武道家だから力持ち。巨大な石を何なく動かしちゃった。
でも、おさんどんは苦手みたい。
釜炊きしようと、尺八でヒーフー息を吹きかけてみたりする。

そのちぐはぐさがチャーミングなんだけど”、笑える”(^O^)。
これに反応する六助も、
ドーンと構えてるんだか、あたふたしてるんだか…。
右往左往する姿が、これまた”笑える”(^O^)。
この場面でこんなに可笑しいのは初めてだ。\(^O^)/\(^O^)/\(^O^)/

奥の一間から婆さんが現われた。
この人こそお園の父の後室・お幸。
めでたく、六助とお園を祝言させます。

でもお幸様ったら、ただの旅の人だと六助に思わせて、
奥で寝ていたのヨ。
こんなずうずうしいお婆さんに親切にする六助って、人が良過ぎじゃぁ??


その、お騒がせな婆さん役は、中村東蔵。
座をビシッと引き締めていたのでした。


村人が担ぎ込んだ死体から、
さっき六助が、わざと負けてやった親孝行男の嘘が判明。
しかもしかも!
奴こそ、お園達が命を懸けて探している仇っ!
お園の父であり、六助の師匠を殺した男っ!

「なんだとぉぉ~!!」
滅多に怒らぬ六助が大怒りっ!大沸騰っ!
衣服を改めた六助。
お園からは梅の枝。お幸からは椿の枝を貰い、
仇と御前試合をする為に、小倉城へ向けて発つのでありました。

『ビシッと観せて、ドバッと笑わせる』
この折り目正しい緩急のつけ方は、あっぱれ。
吉右衛門一座、やはりツボはしっかり押さえていたのでありました。
こういう感覚は滅多に味わえません。
“古風”。これって大切なんですわ。ホント。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

        


魚屋宗五郎 (さかなやそうごろう)

2005年06月28日 | 歌舞伎
2004年5月 歌舞伎座
2005年6月 NHK劇場への招待

『新皿屋舗月雨暈/魚屋宗五郎』
(しんさらやしきつきのあまがさ)

禁酒中の宗五郎のもとへ、
お城に妾奉公へやった妹がお手討ちにあったとの知らせ!
でも冤罪だったと判った宗五郎。
堪り兼ねて酒を飲む。
飲んだら止まらんベロンベロン。
勢いでお城に乗り込んでお殿様へ直談判!


“河竹黙阿弥”と言えば、世話物だ。
三津五郎が演じるんだから、期待するって。
女房役は芝雀。
このツーショット見てて、以前にもこんな風景が…。
嗚呼!国立劇場で『芝浜革財布』
あれは結構楽しかったよな。笑ったよな。
1等席で損した気にはならなかったよな。…たしか…。

しか~し、
今回は三津五郎が、どうしても魚屋に見えず、
突っ込み役の女房・芝雀の、馬力も足りず、
ボケ倒す小奴の松緑もピエロに成りきれず、
チームワークボロボロ…。

クスクス笑いはあったものの、ドッカーンとは弾けなかった。

あ~認めてしまいましょー。
勘九郎(現:勘三郎)&福助コンビの勝ちっっ!
勘九郎の事、上げたり下げたり忙しいけんどよ~ぉ、
本当の事だから仕方あんめぇ~。
夫婦喧嘩のア・ウンの呼吸が楽しかったし!

勿論、三津五郎&芝雀コンビを推す人もいることでしょう。
「どーせやるならとことんやって!」
ハチャメチャ好きな関西人としてはね、ダメでした。
狂言でいう茂山家と野村家の違いっぽいかな。
という事は、
東のお客さんはこの舞台で十分楽しめますな~。OK牧場。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。







関の扉 (せきのと)

2005年06月27日 | 歌舞伎
2004年11月 歌舞伎座
2005年 6月 NHK劇場への招待

『積恋雪関扉/関の扉』
(つもるこいゆきのせきのと)

久方ぶりにござりまする。
この作品と初めて出会った時、チンプンカンプンでございまして、
桜の中から誰か出て来た途端、眠ってしまったのでございます。
未だに何の物語だったのか、さっぱり判らず
5年ぶりの再会なのでございます。


ここは雪深い逢坂山。
侘び住まいに住むのは、関守の関兵衛。吉右衛門だ!
もう1人。良峯宗貞。富十郎だ!

ある日、宗貞の恋人・小町が訪ねてきた。

小町は亡き歌右衛門の十八番で、
魁春が演じるのは当たり前だそうな…。

宗貞は「関兵衛が怪しい」と小町を都へ向かわせた。


夜更け。
関兵衛が酒をガブ飲みしている杯の中に、何やら写った。
”今宵300年の歴史を持つ桜の大樹を伐って
        護摩を焚くと大願成就間違いなし”
これぞ占い星。「こんなんでましたけど~」(古ぃ~)


舞台中央にデデーンと立つ桜の樹。
セットは真冬だ!
雪がてんこ盛りになってんのに、桜が満開なのよ~。
こんな風景あるわきゃない。と思っちゃうけど、
H13年の3月末日に歌右衛門が亡くなった時も
桜の中に雪が舞っておりました…。


関兵衛が、その桜の樹を伐ろうとすると、
あ~ら不思議。
幹の中からスーッと浮かび上がったのは、
傾城。その名も墨染。と申します。

現われ出でたるは、中村福助その人なのよー。
それが、やっぱり美しいのよー。
この世の者ではない役演らせたら、天下一だわ!


そうして墨染が関兵衛をくどくのサ~。
これが舞踊でしてねぇ。
福ちゃん、時として悩ましく、なんだかイイのよ~。


福助が後々、歌右衛門という名跡を継ぐのであれば、
避けて通れない役という事であります。
だいたい、
小町と墨染って1人で演じるもんなんだってネ。


そのうちに、墨染は小町の精に変身ッ!
関兵衛も、天下を狙う大悪党・大伴黒主に変身ッ!
黒主は小町の精の夫の仇!なのでありました。


舞踊でバトル、吉右衛門と福ちゃん。
しぇぇぇぇ。
福ちゃんパーフェクトに美しいっす。
吉右衛門の懐に思いっきり飛び込んでます。
包容力大きいゾ!吉右衛門!
こんな中村福助を観れて、天にも昇る~。

宝塚の永遠のゴールデンコンビ
「麻実れい&遥くらら」の様だ。 

男は女を美しく見せる事が出来るの。
大きなオーラで包み込んでくれる。相手役大切です!

身を任せたら自由に出来るでしょ。
気持ちが良いはずよー。
福ちゃ~ん。貴方が何もしてなくても、
何かしてるように見せてくれてるんだヨ。
吉右衛門様が~。

こんなビューティーパ・ドゥ・ドウなら
毎日見たいもんです。ホント。
吉右衛門の女房役をGETするのだー。


「関の扉」の登場人物は、皆六歌仙の有名人。
江戸時代の観客は、
それを充分知ったうえで観ていたわけで、
私のよーに、
チンプンカンプンにはならなかったのでしょー。
偉いなー。

河内山 (こうちやま)

2005年06月24日 | 歌舞伎
2004年11月 歌舞伎座
2005年 5月 NHK芸術劇場

『天衣紛上野初花/河内山』 
 (くもにまごううえののはつはな)


でっかい店構えの質屋だ。

番頭に追いかけられている丁稚が助けを求めたのは、
御数寄屋坊主の河内山宗俊。
ヨッ優男っ仁左衛~門。

ちゃちい木刀を質に入れて、デッカイ金をせしめよーとする。
嫌味たっぷりに応戦する番頭に

「お前じゃぁ話にならねぇ、女将呼んでこい!」

ところが、
店の奥では親類縁者一同が頭を抱えておりました。

腰元勤めに出ている娘が、お殿さまの目にとまった。
ラッキ~!って、普通なら喜ぶはず。
なのに拒否しちゃったの。
短気なお殿さまはプッツン。娘を幽閉~。
ど~したら助け出せるの~。あ~神さま(by吉本新喜劇)

降って沸いた金儲け話に、乗っかっちゃったゾ。河内山。

「危険なミッションなんだから、お金をた~んとちょーだいね。」

八方塞がりだった女将達。
ワラ(藁)にもワル(悪)にも縋っちゃうわな。
前金。キャッシュで100両!


上野寛永寺の使僧に化けて大名屋敷松江邸に堂々潜入。
法衣は鮮やかな緋。クラクラきますね~。
そこはかと漂う空気は、“色気”ってやつじゃろーか。

片岡仁左衛門、青いハゲハゲ頭なのに、美麗とはこれいかに!

お殿サマは中村梅玉さまー。本日も端麗辛口!

腰元は片岡孝太郎ー。清潔さがなんとも美妙!
イイ趣味してるゾ。お殿さま。

「でも、やり過ぎ~」
殿に御忠告する白塗り家来は中村信二郎ー。
キリッとした美丈夫なり!

ほほー。全部まとめて目の保養~。


殿、腰元をブッ殺しそうであります!
「殿ガンバレ~」応援するのは腹黒い家来。
白があれば黒もある。殿を挟んで揉めている。

でも、使僧の登場で急転回。
娘を奪還せり。これにて一件落着。

「山吹のお茶が飲みたいなぁ」

肝っ玉座ってるね、お坊さま。
煙草なんてくゆらしちゃってさ。

「金で葺いた扇子1本、お納め下さい」

ウッシッシっ。金、金~。


ここまでくりゃぁもう大丈夫。
威厳の2文字を冠に、颯爽とおさらばするはずが…、
立ち塞がったのは黒い家来。

「お前の正体はお見通しだっ!」

嗚呼、絶対絶命の河内山宗俊…。
パタッと中啓(扇)が地面に落ちた。

「俺を知っていたのか。ガッハッハッ!!」

パキパキッッ。仮面割れましたー。
こーなったら仕方がない。ドッカと腰を下ろして

「とんだ所で北村大膳」 

正体バレても平気の平左。

「おめぇの殿サンのことベラベラ喋っちゃうもんねぇ」

恐喝してます。イイ根性です。
家老が真ッ青になって部下を怒るっ。
殿さん、またまたプッツン寸前じゃっ。

涼しい顔して、胸張って、城を後にする河内山。
花道七三で振り返って

「バカめっっっっ!!!」

仁左衛門のたった一声。
轟速急!ストレート150キロ!
グラリッと劇場が揺れた!ドッと沸いた!
気分爽快。息リフレッシュ。
シュガーレスガム100個口に入れた感じッ。

決め台詞は、2バージョンあるらしい。
吉右衛門の時はこうだった。

「バ、バ、バカめ~っ!」

”初役”の仁左衛門。
練りに練ったことでありましょー。

吉右衛門の『強暴なバイタリティー』がベストなのでは…。
ってドキドキもんだったけど、
仁左衛門の『憎めない悪魔』って感じ、
♪優しい悪魔♪(byキャンディーズ)気に入った!
惚れた、惚れた、惚れさせて頂きました。
前から惚れてるけど、容姿の艶美さばかりに
気を取られてしまって…。ハハ。

酒饅頭やね。
皮の食感と、キュッと効いたお酒にばかり心を奪われがちだけど、
餡が美味しくなけりゃ意味ないのだ。
あ~。十三駅前の酒饅頭が食べたい!


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。



菊畑 (きくばたけ)

2005年06月23日 | 歌舞伎
2004年11月 歌舞伎座
2005年 5月 NHK芸術劇場

『鬼一法眼三略巻 /菊畑』
(きいちほうげんさんりゃくのまき)

鬼一法眼の館で秘伝書“三略巻”争奪戦!
身分を偽って館に忍び込んでいる虎蔵(実は源牛若丸)と、
知恵内(実は鬼三太)は、目的を達成できるのか!?
虎蔵に恋する皆鶴姫(鬼一の娘)は、どちらの側につくのか!?



評価:もう少しがんばりましょう。
福ちゃんッ!…のこと。
スター吉右衛門。
芝翫・富十郎の両人間国宝。
この格付けの中にいると、さっぱりね~。

薔薇・蘭・百合の中の霞草になってる。
花園に咲き乱れながらも、他の花なしには引き立たん…。
このギャップ埋めがたし…。

いっつも一緒にいる勘九郎(現:勘三郎)とだったら、
なんちゃない雰囲気作りも、
ここでは、じぇんじぇん通用しな~い。

皆鶴姫は、可憐なだけじゃダメなの。
清楚でなきゃ~いけないの。

難しいわなアンサンブル。
でも『菊畑』ってそれこそが大切。
それこそ命っっ。
一幅の絵になってなきゃ、いけないじゃないっすかー。
張り扇チョップッッッ。

「目に艶やかな舞台」のはずが、
期待に答えてくれたのは、
舞台上で咲き誇る菊だけであったとは…。
無念…。

中村福助様、大の贔屓でございます。
それゆえ、つい辛口になってしまうのでございます。
それもこれも、愛ゆえでござりますれば、平にご容赦下さいませ。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

箙の梅 (えびらのうめ)

2005年06月22日 | 歌舞伎
2004年11月 歌舞伎座

11月って櫓が建つのよねー。いいわねー。
顔見世だわねー。

『箙の梅(えびらのうめ)』

OH!源平合戦! OH!岡本綺堂!
これだけお膳立てが整ったら、
表舞台に立てるのはたった1人。梅玉さまだよ~。


初演大正4年。帝劇。
昭和30年代に歌舞伎座と京都南座。
平成13年に名古屋御園座。
そうして今月!
き、貴重な上演でございますなぁ。


平家が陣取る生田の城に攻めているのは源氏方。

近所の農家では、

「合戦が近づいてきた。」「平家の味方だ」


噂話に興じる、吉之丞。歌江。男女蔵。
脇役のプロが勢揃い。だから雰囲気バッチリ。


梅の枝を伐ろうとする男を
この家の娘”梅ヶ枝”が、血相を変えて止める。


ホ~。孝太郎~。
なんとも素朴な感じでございますなぁ。


どうやら梅は、
娘の出生時に、生田の杜から植え替えたもので、
名もそれに因んで付けたのだ。という。

「この梅と娘は一心同体なのだ。」


そう語るのは、奥から出てきた父・段四郎。
メンバー集まって、益々雰囲気出てます!


そこへ、若武者が1人。
敵をバッタバッタと倒しながらやってくる。


え~っと、
イヤホンガイドの“20代の若者”って言葉に笑った方へ。
いーの!永遠の貴公子なんだから。
なんとなく“サマ”付けしたくなりませんか?
イマジネーションをフルに働かせましょー。
ほ~ら、シワ見えなくなったでしょ。


一心不乱に、井戸の水を飲み、一心地ついた若者は
やっと皆の視線に気が付いて

「やあ!僕の名前は梶原源太景季。
       パパと弟がここを通っていかなかったかい?」

「イ~エ」

「見掛けたら、僕が城へ向かったと伝えてくれ。ヨ・ロ・シ・ク!」


本当はこんなんじゃぁない。
“理詰めの台詞”だ。
カッチンコッチンに喋るところが「新歌舞伎」の醍醐味ねー。
聴かせて、魅せますわ梅玉サマ。


源太は、ふと思い立ち

「梅の枝、1本くれないか?ベイビー」

梅ヶ枝はジッとプリンスを見ていましたが、
手折って渡します。
源太の箙(矢を入れて背負う武具)に挿すお手伝いまで。

「坂東武者も風流が解るんだよ。どーんなもんだい」

そう言い残し、颯爽と敵陣へ引き返して行く。

そんな源太から目が離せなくなってしまった梅ヶ枝。
ハート。ハート。目がハート。

「あの方が心配。ちょっとだけ私もあっちへ」

赤い糸に引っ張られるように、
父の制止を振り切って、
ズンズン行っちゃったわよ!梅ヶ枝。
あんたの方が心配だわよ~。


平家方が源太をウォッチング!

一旦は弓矢を構えるが、矢種の尽きた箙に
梅の枝を挿している事を知り、

「東夷(京都の人が特に東国の武士の無骨さを
嘲っていう語)なのに風流が解る奴」

違いが判る。男の中の男(byネスカフェ・ゴールドブレンド)
と弓を降ろした。

源太~。梅ヶ枝の梅に命助けられてますからー!
「この梅は私の魂」そう信じる梅ヶ枝。
やっぱり魂こもっているのか!

花道を駆け出る源太。
箙の梅が、赤い花びらが、ハラハラハラハラと散って行く。


ワンダホォォォォォ!!!
どうやって花びらを散らせてるの?
そりゃぁ風力で舞うだろうけど。
結構な量なんっすよ。それぁ。

「深紫」の鎧と「真紅」の梅は良く似合う。


その頃、梅ヶ枝は父の腕の中にいた。

ちょっと!怪我してるじゃないのよ!
当たった!?流れ矢に!?
戦場の状況なんて見に行くから!

「あの人の箙の梅も散ったから、私も散るのヨ」

なんと無垢な、無垢な人でしょう。

父は梅の枝を折って、娘の手に握らせる。
安心したように息を引取る梅ヶ枝…。
うげげげ~。死んじゃったよー。


源太のパパ景時と、弟景高がやって来る。
梅ヶ枝に導かれた様に源太も現われた。

「源義経が鵯越から奇襲を仕掛ける」と伝令が。

遅れてならじ、とパパと弟は一目散。

源太は、残り少なくなった箙の梅と、
梅ヶ枝が手にしている枝を交換して…。

「格好つける為に風流を装った。
その結果がこんなことになろうとは。オーマイゴォッ!」

梅ヶ枝を拝み。
陣鐘の鳴る方へ駆けて行くのであった。


ぎゃぁぁぁ。泣いた~泣いた~。泣きました~。
幻想小説のような物語り。
寓話のようなお話。
陣鐘と合戦の声が印象的で効果バツグン!
約35分の一幕。
どっぷり浸かってしまいやしたー。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。




伽羅先代萩 (めいぼくせんだいはぎ) 

2005年06月21日 | 文楽
2005年5月  国立小劇場 

「若君を守れ!」
それが乳母・政岡の使命。

どこもかしこも若殿の命を狙う悪者ばかり。
毒蛇の陰謀ズルズル渦巻くお城の中で、
たった1人、幼き殿の身を守っているのだ。

いや!政岡は1人ではな~い。
千松という幼い息子もいるのであったー。

彼の役目は”お毒味”

修行を積んで、毒を食らっても、
我が身を守る術を心得ているわけじゃなし。

八代将軍吉宗お毒味唇役腕下主丞(かいなげもんど)―。
(by田村正和)
じゃないもんね…。

いざとなったら体当たりっ!
玉砕覚悟の親子なのであります。


『伽羅先代萩』は、
1658~73年、
仙台・伊達家のお家騒動(伊達騒動)を下敷きに、
1777年歌舞伎で初演。
翌年京都で浄瑠璃化したもの。


”念には念を入れるべし”
政岡は我が手でお米を炊いている。

でもタイマー付きの炊飯器があるわけじゃなし
「だいごろう、3分間待つのだぞ」
「ちゃん」 (by懐かしのボンカレー)
ではすまされんねぇ。
むちゃくちゃ時間かかるのよね。

でも、子供2人はジーっとジーっと待つ。
んでもって、ここ4、5日は1日1食だって!
グルグル~キュルキュル~。
お腹鳴ってるゾ~。

でも、子供2人はジーっとジーっと待つ。
「お腹が空いても、ひもじうない。なんともない」
言いながら、涙目だよぉ~。

若君と千松の我慢比べは続きます…。
健気だ…。

餌を食べる雀を見て

「俺もあのように早う飯が食べたい」

哀れだ…。

やっと出来たご飯が…おにぎり。
それだけ?
お味噌汁とか、沢庵とか、白子のり(by伊東四朗)
とか…ないのー?
たったそれだけかー。

そこへ、ふいの来客が。

「常々母が云う事、必ず忘れないぞや」

政岡は千松を奥の一間へ隠した。

お客さんは、”お菓子”を持参していたの。
「さあどーぞ」と言われて、
若君は悪魔の囁きに負けそうぉ。
「ええか~。ええのんか~」(by笑福亭鶴光)

その時っ千松ダッシュッッ。
ガバガバ食い散らかしっっ!
途端に苦しみだすっっ!

悪者は、毒入りとバレないよう、千松を刺したっっ!
七転八倒する千松っっ!

「可哀想に痛いかいのぅ。他人のわしさへ涙がこぼれる。
コレ政岡殿、現在のそなたの子、悲しうもないのかいの」

政岡を挑ー発してるゾー。

「なんのマァお上へ対して慮外せし千松、
ご成敗はお家の為」

「これでもこなたなんともないか、これでもか、これでもか」

ウゲェェェ。グイグイ刺し込んでるぅ。
拷問だ~。なぶり殺しだ~。

雪の女王か!政岡!
残虐シーンに顔色ひとつ変えないゾ。

悪の一味は「こいつぁ、子供をすり替えてる」
と思いこんだ。
陰謀をペラペ~ラ打ち明けちゃったよ~。

さて、1人になった政岡はどーしたでしょう。
魔女ならば、カラカラと笑ったでありましょー。

「よう死んでくれた。出来した出来した出来したナァ」

例え鬼と言われようと、
守らねばならぬものがある。
それが、我子を犠牲にすることだとしても…。
あまりにも非道なる武家社会…。

でも、やっぱり政岡も子の母親。
息絶えた千松をヒシッと抱きしめ慟ー哭!!

様子を伺っていた悪者が斬りかかる!
が、政岡は憎っくき相手を刺すのであります。

千松の死体に懐剣持たせ、これでもかっ!!
グサグサッッグリグリ~
繰り返す~。
グサグサッッグリグリ~

歌舞伎じゃこんなグロなことやんねぇ~。
いいねぇ。文楽はこうでなくっちゃ。
これで少~しは恨みが晴れるというものサ。

続く『床下の段』
若君の家臣が大鼠を足下にググッと踏む。
っつうやつ。

歌舞伎じゃぁお馴染みさんですね。
ホホ。
大きく動く人形とクルクル廻る着ぐるみ鼠。

ダイナミックだったわー。
この感じ、歌舞伎じゃ出ないわー。
楽しかったわー。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。