原作は井伏鱒二なんだって!!
『ジョン万次郎』とか『黒い雨』とか『山椒魚』とか…。
作品名は言えるのに、読んだことないんだよね…。
ってことで井伏鱒二初体験♪
2013年9月24日(火)
紀伊國屋サザンシアター 18:30開演 9列センター
劇団民藝
集金旅行
原作:井伏鱒二
脚本:吉永仁郎
演出:高橋清祐
装置:堀尾幸男
キャスト
十番さん(ヤブセマスオ・小説家)……西川 明
太宰治(作家志望の学生)……塩田泰久
五番さん(富士荘の居住者・勤め人)……小杉勇二
七番さん(コマツランコ・職業不詳)……樫山文枝
香蘭堂(荻窪の地主・文具店)……今野鶏三
岩国の宿の女中……箕浦康子
杉山良平(岩国の金融業者)……みやざこ夏穂
相原作之助(岩国の名士)……水谷貞雄
福岡の宿の女中……有安多佳子
ミノヤカンジ(下関の医者)……竹内照夫
阿万築水(福岡の没落地主)……内藤安彦
阿万克三の妻(築水の弟の妻)……河野しずか
紋付の男(広島・加茂村)……肉倉正男
鶴屋幽蔵(加茂村の地主)……吉岡扶敏
津村家の番頭(広島・新市町)……伊藤孝雄
昭和の初め頃の東京・荻窪。
アパートで将棋を指すのに夢中になっているのは、
中年男性と制服姿の学生。
学生が、今度の面接でダメだったら大学退学だぁ。
って嘆いてる。
女と心中とか死にたくならなければとか言ってるし…。
客席には、中年男性のナレーションが聞こえてくる…。
ヒャァア!その青年って太宰治やないかいなぁあ。
そうしてこの冴えないおっさんこそが主人公のヤブセマスオ。
イブセマスジとどこか似てるよね。ククク。
どうもこのアパートの主人が借金を残してぽっくりと…。
地主はここを取り壊すって!そりゃぁ大変!
ってことで一計を案じたのが五番さん。
あ、部屋番号で呼び合ってるんだよ。面白いわあ♪
部屋代を踏み倒して郷里に戻った住人が日本中にいる。
しかも実家が相当な資産家揃いだったりする。
その滞納金を集めれば、借金が返済出来るんじゃぁ…。
そこで白羽の矢がビシっと当たったのが十番さん。
ヤブセマスオのことね。
ほら、小説家ってフリーじゃない。だから、ね。
お喋りは苦手そうなんだけど、
大丈夫なのかなぁ、そんなミッション…。
そこへ七番さんことコマツランコが、一緒に行くことに!
彼女の目的は過去を清算すること。
昔の恋人たちから慰謝料をふんだくるんだって!
そうして1部を家主の借金返済に寄付するって!
まずは西方面から。岩国をスタート地点に選んだ二人。
さてさてどんな事件が待っているのやら…。
それがさぁ、めっちゃ珍道中なんだよぉ。アハハ。
でもその全てが”大人のテイスト”♪
何故なら、スポットを浴びているのが中年の男女だから。
そんなシチュエイションって、珍しいわぁ。
もうこれだけでグっとくるうぅ。
こういう世代の俳優がメインっていうの、いいねぇ♪
ウィット、エスプリ、ユーモア。
そのセンスの良さにクラクラぁあ♪
こん風にゆったりと時間が流れる芝居って、
どうしてあんまり無いのかしら…。
ステキなのになぁああ♪
沢山の人に味わってもらいたいのになぁあ♪
岩国→下関→福岡→尾道→福山
お互いの集金に精を出す2人。
明るくコケティッシュな魅力溢れるコマツさん。
ヌボ~っとしてパっとしないヤブセさんのハートが、
ドキドキしてくるっての、判るなぁあ。
樫山文枝って”おはなはん”だよね。
え、いや、私は知らないよ。1966年の朝ドラだもん。
この間NHKでチョコっとやってたっ。
あれ観てキャワイイなぁ。って思ったもんねぇ♪
今お幾つかしら…1941年生まれ…72歳!!じぇじぇじぇ!
その土地々の風景が浮かぶのって楽しいね。
私は下関と大宰府しか知らないんだけど…。
岩国と尾道は1度行ってみたいと思ってるんだよねぇ。
2人が出会う人を見てると、本当に人間って十人十色だなぁ。
しみじみ感じたりする。
アパートの主人を捨てて、若い男と駆け落ちした奥さんとも
ヤブセさんは会うんだよぉ。ジ~ン…。
コマツさんが急にお見合いすることになって、
その産婦人科医が後をつけてきたりさぁ。アハハ。
集金先が母親のお葬式の最中で…。
でも息子はそんなことそっちのけでね、
憧れの作家ヤブセマスオに会えて狂喜乱舞。
お金はこれで!…差し出したのは香典袋の山っ。キャハハ
そうそう、知る人ぞ知るヤブセマスオの職業は作家。
志賀直哉とか、芥川龍之介とか、小林多喜二とか。
そういう作家の名前がチラチラ出てくるのも一興だし、
昭和初期の時代を感じるなぁ。
どうやって生きてきたのかミステリアスな女性コマツランコ。
とっかえひっかな着物がね♪美しい♪
こりゃまっちゃ時代の風景だよねぇ。
時々流れてくるヤブセさんのナレーションで、
物語の渋みが増すね♪
劇団民芸の役者の声ってふんわり柔らかいんだよぉ♪
脳みそが気持ちイイ♪
旅は道連れ…。
アパートでは挨拶程度だった2人の仲も…。
このままどうにかなっちゃうのかぁ。
そんなこと思ってたら…。
えぇえ!!コマツさんったら、そりゃないよぉ。
いや、やっぱり彼女らしいかなぁ。
何ってね、途中でさぁ、昔の男と寄りを戻してさぁ、
集金をリタイアしちゃうんだよぉおお。
しかも、サヨナラの言葉は手紙なのっ!
布団の上にバッタリ倒れるヤブセさん。見事に失恋…ぅ。
処は荻窪のアパート。
五番さんが算盤をはじいた所によると、
なんと!半額は地主に返済出来そうな。
まだ東も残ってるし。明るい未来を夢見る五番さん。
でも、太宰と将棋を指すヤブセさんの心は…。
突然、何処からか聞こえるコマツさんの明るい声♪
帰ってきたぁあああ!
ラストはおもわず吹き出したぁあ。
スカッと爽やかな気分になったぁああ。
これは大人の人情喜劇だぁああ♪
民藝ってこういうタッチもお手の物なんだね♪
アッパレじゃ!
井伏鱒二がこんなにユーモア溢れる作品を書いていたとはっ。
1度きちんと何か本を読んでみたくなったぞい。
舞台でも、下関の夜景を見て「言葉にならない」
って言いながら、手帳をだして言葉に綴るんだもんなぁ。
コマツさんそこでツッコミ入れてたわぁ。アハハ。
小説のネタ探しもしていた”集金旅行”
井伏鱒二…じゃなかったヤブセさんは、
この後、何か作品を書くことが出来たのかなぁ。イヒ♪
2013年9月18日(水)~30日(月)
一般 6,300円
夜チケット 4,200円(夜公演全席)
学生割引 3,150円