寿初春大歌舞伎 昼の部 20(土)
平家女護島/俊寛
√ もとよりこの島は、鬼界が島ときくなれば、
鬼ある所にて、今生より冥途なり。
たとえいかなる鬼なりと、このあわれ、などか知らざらん。
南海の孤島・鬼界ヶ島
海草を取りながらヨボヨボと歩く男
下手の岩の影から登場
吉右衛門の俊寛僧都
花道からの登場は
丹波少将成経(東蔵)・平判官康頼(歌昇)
キョエェェェ!
この3人が、そこにいるだけで
”俊寛ワールド”が出来上がってるぅ
キラッ!と”お正月の文楽”が浮かんだ!
文雀・文吾・住大夫・錦糸
いぶし銀でゾクゾクしたのさ~ → 壺坂観音霊験記
それよそれ!
吉右衛門・東蔵・歌昇
滋味深~い味わい~
成経が若手俳優じゃないところがナイス!
客席にビンビンくるよ、濃厚なその空気。
スカイ・ハイ・スカイの空じゃない
ドンヨリしてる気がする…。
成経が海女の千鳥(福助)と恋い仲
「結婚したい!」と申し出る
俊寛は満面の笑みで
「恋いとは良いもの。是非、千鳥に会いたい」
康頼が花道に向かって
「千鳥ここに来~い」
いそいそと小走りで駆けてくる千鳥~
3階B席からは全く見えないんだけどね
アッ、見えたぞぉ千鳥がッ!
と思った途端、
あまりの恥ずかしさに、また揚幕へ…。
ハハ。戻ってきた、戻ってきた。
おどおど本舞台へ。
父とも慕う俊寛に
「りんにょぎゃってくれめせ」
え?…
通訳、通訳っと、「可愛がってくださいね」
千鳥にチャレンジしてるのは福ちゃん!
QOO~
みごと”島娘”に!
前回は”おきゃんな町娘”だったもんだから…。
苦節8年、待っててヨカッタ!
え…微妙…?…
オオ!大丈夫大丈夫
「祝言なのに酒が無いとは」
残念がる俊寛に
「島の山水も清いもの」
酒の替わりに勧める千鳥。
固めの杯を交わす。
Congratulations!
お祝いに、一差舞う俊寛
オットット!転んじゃったぁ
空腹だからかな…
優しく笑っちゃってるぅ。
そこへ!遥か沖に船がっっ!御赦免船だっっ!
皆で驚喜乱舞っっ!
追っかけて行っちゃった。
下手から小さな船がドンブラコッコ~
沖をグル~っと周って、上手に到~着!
お船はBIGに変身。
出てきたのは
赤いお顔の瀬尾太郎兼康(段四郎)
赦免状を読み上げ~る
待てど暮らせど
「俊寛」の名だけが出てこない…
「ええぇぇ??」と俊寛
「ええぇぇ!」と成経と康頼
自分の目で
端から端まで舐めるように見る俊寛
無い…
その時、颯爽と現れたのが
着物の裾を太股までたくし上げた、
そう、提灯ブルマっぽい御姿。
白いお顔の丹左衛門尉基康(富十郎)
「俊寛は備前国まで帰参すべし」
高らかに御状を読み上げるっ!
Thank you~!
ルンルン!乗り込もうとする4人
その前に立ちはだかかったのは瀬尾
「お前は乗れない」
千鳥を指して言ったのさ。
「夫婦だから」
その言葉にも情けを示さないのさ。
「千鳥が行けないなら私も残る」と成経
「流人は一緒だ」残る二人も乗船拒否っ。
「何言ってんだ!おめぇらぁ」
怒ったのは瀬尾!
ただでさえ、俊寛にイラついてんのにぃ
フン、いじめてやれぃ。
「お前の恋女房の東屋は
清盛を拒否して自害したんだぞ~」
これみよがしに言っちゃった
呆然とする俊寛…
♪3人を乗せて船は行く行く♪(byアンコ椿は恋の花)
出航しちゃうよ~。
ええ!今度は千鳥が呆然っ!
そんな福ちゃんに
提灯ブルマの(違うって)富十郎
「再び迎えに来るから」
慰めているところへ
吉右衛門が降りて来て
「自分の代わりに千鳥を乗せてくれ」
どうせ女房とはこの世じゃ会えない…。
都へ帰っても意味無い俊寛…。
「とっかえっこは無し!」
意地悪く拒み続ける瀬尾
俊寛の眼差しがキラリッ!
瀬尾に近づくや否や刀を抜いて
グッサリ~~
それであっさり死ぬ瀬尾じゃぁござんせん。
衰弱してる俊寛を追いつめる!
千鳥が助太刀~!
竹杖を振り回~す
砂かけ~る
ちょっと笑え~る
必死に止める俊寛…
千鳥ぃ、あんたジャマなんじゃぁ…
遂に瀬尾はあの世へ…。
新たなる罪を自らの手で作ってしまった俊寛
「これで私はまた罪人。貴女が乗りなさい」
「私が替わりに乗るなんて…」
でもね。やっぱり、愛しい人と同船する事に。
そうして
船は出て行く 去って行く
おもわず、波打ち際へ走りより
ザザザ~っと波が押し寄せて…
花道に浪布が!
じっと見守る俊寛…
小さくなっていく船
岩場に登ろうとする俊寛…
ここ!文楽だと
もっともっとズルズル落ちては這い上がるのヨ。
ダイナミックだよ~
舞台廻って、
やっとの思いで、岩場の上に辿り着いた俊寛…
遥か彼方に
小さく見え隠れする船を…
波飛沫を…
彼方を…
ただ じっと…
幕
涙を流すわけじゃない、あの瞳…眼力あるっっ!
わたしゃ泣いたよぉぉぉ
ご近所の男性も目頭を押さえてたぁぁ
初代吉右衛門が復活させた物語だもん
きっちり引き継いでるんだろうなぁ。
「僭越ながら役者紹介をさせて頂きます!」
小劇場みたくやって欲しいくらい。
一人一人に拍手を送りた~い。
吉右衛門・富十郎・東蔵・段四郎・歌昇・福助
この座組は”香木の香り”。ウウ~ン
この後
吉右衛門は、楽屋でひと眠りするのかも
♪眠れ良い子よ~♪
夜はハツラツ東吉くん(「金閣寺」)演んなきゃいけないし。
これ観に来たんだから、もう帰ってもいいや。
わたしゃパワーを使い果たした…。
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1/2~26
昼の部 松竹梅 俊寛 勧進帳 喜撰
夜の部 廓三番叟 金閣寺 春興鏡獅子 切られお富