アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

帯屋

2005年07月27日 | 歌舞伎
2000年2月 歌舞伎座 
2005年7月 歌舞伎チャンネル

桂川連理柵/帯屋
(かつらがわれんりのしがらみ/おびや)

お伊勢詣りの帰り道
所帯持ちの40代男(京都の帯屋の主人・長右衛門)と、
あどけない14歳(隣の信濃屋の娘・お半)
たった一度の過ちが、ふたりの運命を狂わせてしまったのでありました。

帯屋の後妻(竹三郎)と連れ子の儀兵衛(坂東吉弥)は
店の乗っ取りを企んでる。

今日も今日とて長右衛門いびり。
お半が書いた恋文も、どうやったのか儀兵衛の手に。
長右衛門(吉右衛門)と女房お絹(雀右衛門)の前で
此れ見よがしに読む儀兵衛。

これがまた、いやらしい大阪弁でね~。坂東吉弥、本領発揮!
「さてさて何が書いてあるんや~。先日~◇◎◆■△▼。
この<長さま>言うんは兄さんのこっちゃな~」
と、お半との仲を騒ぎたてます。
そこへ女房・お絹が
「その<長さま>は丁稚の長吉の事です」
そう言い出したからさぁ大変ッッッ
「そんなら直に聞こうやないか!」

「あんな洟垂れ(と鼻水が垂れる仕草)なわけないやろ~」
と濃い上方演技をしている儀兵衛ですが、万人に受けたかどうかは不明~
皆もっと笑ったれよ~!

さて、隣の信濃屋から出てきた長吉~!!は雁治郎~!!
これがまた、もの凄~いメイク無しのメイク!!!
藤山寛美か~ッ松竹新喜劇か~ッ
何を隠そう丁稚の長吉は頭が弱~いのであった。

いやぁぁ まいったね~
雁治郎のあんな顔見たのは初めてだし
だいたい歌舞伎の中であんなメイクする作品他に見たこと無いよ。
上方歌舞伎やな~!!濃い~!!!ええやんッ!

阿呆の長吉は満座の中で
「これは~これは~俺の事や~」と言うから
儀兵衛は、またまた大変ッ
「そんなはずないやろよう考えてみぃ」

二人の上方世界が弾けますッッッ!!
楽しそうやな~。
そやけど、ものごっつい顔してんな~長吉。間近で見たいな~。
双眼鏡から目が離せないッ!

「懇(ねんご)ろしたからはお半は、俺が女房~」
とまで言う長吉
実は女房・お絹が、金を握らせて嘘をつかせたのでありました。
こんな出来た女房がいていいのか~??

このままでは治まらないのが儀兵衛母子。
またまた始まる長右衛門いびり。
果ては箒で叩いちゃうッ
長右衛門は「親には逆らえない」と叩かれるまま…。
じっと成り行きを見ていた御隠居(又五郎)が堪忍袋の尾を切って
後妻と息子を箒で叩きのめしま~す
もっと早よう助けたれよ~。
「いつもの居酒屋で一杯やろう」と去って行く母子。

耐える男、長右衛門…。ちょっと引いちゃうヨ…。

中年にはなっているが子娘にも好かれるような色気がないとダメ。
という役ですが…。
本人もインタビューで
「私は色気がないので色気の塊のような
雁治郎兄さんに、リードしてもらうしかありません」と言っている。

今さらながら驚きますが、吉右衛門“初役”ですッ。
作品自体も上演回数が少なく、今回は5年ぶり。

さて、お絹は“妻の鑑”なのか?耐える女…。
亭主が子娘とできても、ただひたすらかばう
♪芸の為なら女房も泣かす~♪じゃぁあるまいし。
「いつまでも見捨てずにいて欲しい」
そりゃあべこべじゃぁあ~りませんか~。

長右衛門が横になった所へやって来たのが噂の…
お半の登場ーッ!めちゃめちゃカワイイ~!!
信濃屋の暖簾からそ~ッと顔を出す。
さっきとはうって変わった鴈治郎の姿に、
どよめきッッ大喝采ッッッ!「成駒屋ッ」の声!

勝手知ったる他人の家。
枕元で「おじさん」と揺り起こすお半…。
“この娘、この男の事が好きなんだ”って感じるわ。

長右衛門はギョッとして半身を起こします。
でも、お半の顔はまともに見れない…。
身重になったお半を、どんな顔して見れると言うのでしょう…。

実は、長右衛門が「別れ」の手紙を出していたのでした。
お半も「思い切る」と返事をして去って行きます…。
でも本当は、独り、桂川へと向かったのでした…。

「お半は独りで死ぬ気だ」下駄と書き置きを目にした長右衛門。
一緒に死ぬのが定めだろう。
若かりし頃、心中に失敗して自分だけ生き残ってしまった
その同じ桂川に、再び身を投げる為、
お半の後を追って行くのでありました


雁治郎がアホ丁稚の長吉と娘お半の2役演じる
というのがお客へのサービスという事ですが
確かに一人の役者が180度違う人物になる
というのは非常に面白かったね。

雁治郎は「父のようなひょうひょうとした感じは出せない」と言っていますが、
そう、それは今より“もっと濃いぃドロ臭い大阪”ってこと。
「吉本新喜劇」でいうと岡八朗や花紀京やね~
継承する人がおれへんと思うと、寂しいわ~。

岡八朗逝く…。7月26日。67歳。
またひとつ灯が消えた…ほんま、めっちゃ寂しい…。
真夜中のTVでオール阪神巨人たち、弟子に囲まれて
楽しそうに笑ってた姿を見たのが最後やわ…。
永遠に忘れへんでっ!
ご冥福をお祈りいたします。合掌。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。