文七元結が好きだぁああ
松竹創業120周年
芸術祭十月大歌舞伎
2015年10月3日(土)
歌舞伎座 11時開演 3階A席:4列下手
昼の部
二世尾上松緑二十七回忌追善狂言
人情噺文七元結 (にんじょうばなしぶんしちもっとい)
左官長兵衛 菊五郎
女房お兼 時 蔵
鳶頭伊兵衛 松 緑
和泉屋手代文七 梅 枝
娘お久 尾上右近
角海老手代藤助 團 蔵
和泉屋清兵衛 左團次
角海老女将お駒 玉三郎
”高校生のための歌舞伎鑑賞教室(H13・国立劇場)”
客席は笑いで弾けてドッカン!ドッカァァン!
舞台に立ってるのは菊五郎だぁあ!
”笑い”のスイッチを押せば、
客は百発百中の大爆発っっ!
この作品のグランドチャンピオンベルトは、
音羽屋が保持しておるのじゃぁあ!
他の役者でも観たけれど、
やっぱり菊五郎ぉおお!!
「巡業公演で(三世市川)左団次おじさんの
長兵衛で文七をしたのが最初で、松緑おじさんの
長兵衛も拝見しています。お二人とも師匠の六代目
菊五郎の芝居を受け継がれていました」(筋書より)
序幕 第一場
本所割下水左官長兵衛内の場
薄暗がりの舞台の真ん中に…
ポツンと立ってる男が1人。
身包み剥がされて
スッテンテンな格好だぁあ。
寒そうだぁあ。
客席からはクスクス笑いっ。
博打にハマッタ哀れな男。
その名は長兵衛(菊五郎)
貧乏長屋に戻ってみれば…
家の中は真っ暗…
女房お兼(時蔵)が言うには
愛娘が行方知れずに…ぁあ。
2人揃って真っ青になって…。
ってんじゃないんだよね、
なんじゃかんじゃと
夫婦喧嘩になっちゃうんだぁあ。
「お前さんに愛想が尽きて
出ていったんだよ」
なんて女房が言うんだもんなぁ。
クハハ
時蔵ぉお。
女房役を田之助から引き継いで
どれくらいなのかなぁ。
筋書の上演記録を見ると、
H21年がNEW夫婦結成だって!
今回が4度目。
ついさっきまで
常盤御前(by一條大蔵譚)だったのに…
幕間たったの20分で大変身っ。
長兵衛ってさぁ、
腕のいい左官の棟梁なんだよ。
でも今じゃぁ落ちぶれまくりぃい。
年の瀬だっていうのに
方々に借金しちゃってさぁあ。
八方塞がりなもんだから、
ここで一発当てて
女房子供に新しい着物でも…。
って思ってたんだけどねぇ。
女神は長兵衛に微笑んではくれなかった…ぅ。
夫婦ですったもんだしてる所へ
誰かやってきた!
借金取りだっ!追い帰えせぇえ!
おっと違ったぁ、
吉原の角海老手代藤助(團蔵)
お久を預かってるんだって、
女将が呼んでるから迎えにきたんだって。
ヤッタァア。
娘の居所が判って一安心だぁあ!
おっといけないっ。
着ていく着物がないっっ。
ここでもえらいこっちゃの大騒ぎさぁ。
アッハッハ
團蔵は元気になったんだね。
ヨカッタ♪
やっぱり菊五郎劇団に
團蔵がいないと寂しいもんなぁ♪
序幕 第二場
吉原角海老内証の場
処変わってここは吉原ぁあ。
白い粉を塗りたくった女郎達の中に、
隅っこでちっこくなって俯いてる女の子が…。
お父ちゃんは頭ごなしに怒るっ!
それを諌めるのが…
角海老女将お駒
玉三郎だぁああ!!
女達を束ねる店の女将らしく
なんちゅうか…こう…
ちょっとつっけんどんにも聞こえる
低音の声を出すんだよねぇ。
クラリっとくるわぁあ♪
そうして…
こっからがまたエエんやぁ。
長兵衛はこのお店の修繕担当なんだけど、
ホラ、あっちの方が忙しくって
最近は全然仕事しに来てないのよぉ。
根は善人だって知ってるもんだから、
噛んで含める様に、玉様が諭すのさぁ…。
娘のお久(尾上右近)が
どういう姿で、どういう想いで、
この店に来たのか…。
なんて言ったのか…。
気がつけば客席は啜り泣きぃぃ
私の目からもボタボタァ…
台詞だけでこんなに
ジ~ンときちゃうなんて…ぅぅ
なんて親孝行な娘なんだぁああ!
こんな子が身売りしに来たなんてぇえ!
さすがの長兵衛も、
客席と一緒に涙涙ぁああ…ぅぅ
女将は娘の心に感心して、
来年の三月までは店には出さない。
それまで必死のパッチで働いて、
このお金を返しておくれ。
ポ~ンと50両貸してあげたよぉおお。
うぅぅう…
またまたウルウルだぁあ
よっしゃあ!
今日から酒も博打もやめだやめだぁ。
改心だぁあ!
長兵衛は生まれ変わった気持ちで
店を後にし…て…。
さぁ、こっからだよぉ。
二幕目 第一場
本所大川端の場
若い男がヨロヨロやってきた…。
懐に石を詰め込んで…。
身を投げようと…。
通りかかった長兵衛が、咄嗟に助けたよ。
そいつの名は文七(梅枝)
小間物問屋の手代なんだって。
得意先から50両を受け取って帰る途中、
風体の悪い男がドンっ!とぶつかってきて…
気がついたらお金がっっ!
もう店には帰られないぃいい。
身寄りも無いから、
誰にも助けてもらえないぃいい。
「いいんでございますよ。私さえ死ねば…」
サッと川辺に走って行くぅぅ。
「お前はその50両がないと死ぬんだな」
懐をそっと触って…。
でもやっぱりこいつは…。
長兵衛の心の動きが、
客席にビンビン届くよぉおお。
どうするのぉお。どうしちゃうのぉお。
娘のお久に謝りながら…。
長兵衛は文七に、
お金を投げつけて去ってっぁあ。
文七は狐につままれた様な…。
いぃや!
あんな貧乏な身なりの人が
そんな大金持ってるはずがないっ。
からかわれたんだっ。チクショー!
でもよくよく見てみると…。
ほ…ほ…本当だぁあああ!!
もう…もう…この場面もねぇ。
笑ったり泣いたり忙しいのよぉお。
何回観てもジンジンくるよぉお
二幕目 第二場
元の長兵衛内の場
ここは…勿論…
ド派手な夫婦喧嘩でしょう。
そうでしょぉおお。
グハハハハ
家主もオロオロするばかり。
イヒヒヒヒ
そんな時に訪ねてきたのが、
和泉屋清兵衛(左團次)
その後ろにいるのは文七だよ!
実は、取られたと思っていたお金は、
文七が囲碁に夢中になって、
掛け取り先に忘れてたっ!
ほぉぉらぁぁあ!
俺の言った通りだろうがぁあ。
鼻高々なのは長兵衛さぁ。
お客さんが来たもんで、
屏風の後ろに隠れたお兼が、
頭を出したり引っ込めたり。
アハハハハ
ホラ、1枚しかない着物は
亭主が着てるもんだからさぁ。
人前にド~ンと出られないわけよ。
クククク
こっからがまた江戸っ子なんだよねぇ。
50両の金を返す。
そう言ってるのに、
1度上げたものは受け取れねぇ。
なぁんて跳ね除けちゃうんだぁ。
そこへ、鳶頭(松緑)が登場。
駕籠の中から出てきたのは娘のお久!
清兵衛が文七から聞いたんだって。
お久の親孝行っぷりを。
でね、お礼にって身請けしたんだってぇ。
喜びながらも戸惑う長兵衛に、
これでいいんだよ。
って笑顔で頷く鳶頭。
いやぁあ、松緑が笑ってるのって
なんだか…初めて観たような新鮮さ♪
喜ぶ話がもう1つ。
清兵衛が、
文七とお久を夫婦にさせたい。
オオォオ!
なんてめでたいんだぁあ。
クハァアア♪
世話物はこうでなくっちゃぁあ♪
VIVA!菊五郎!
4演目ともウッハウハ♪
自分の好きな演目ばかりがズラリ!
こんなにこたぁ
滅多にお目に掛かれるもんじゃぁ
ありやせんぜぇ♪
至福の時間だったわぁあ♪
眼福♪耳福♪心福♪
歌舞伎が大好きだぁああ
芸術祭十月大歌舞伎
平成27年10月1日(木)~25日(日)
昼の部:音羽嶽だんまり 矢の根 一條大蔵譚 人情噺文七元結
夜の部:阿古屋 髪結新三
歌舞伎座 2階 吹き抜けロビーの名画たち (2015.10.25記)