アッパレじゃ!

大好物は舞台観劇♪ようござんすか?ようござんすね。”私見”バリバリ入りますっ!ネタばれアリアリ~。

かさね

2005年08月31日 | 歌舞伎
1977年   NHK芸能百選
2005年8月 歌舞伎チャンネル

色彩間苅豆/累
(いろもようちょっとかりまめ/かさね)

夏。
恋人を追いかけて木下川(きねがわ)にやって来た、腰元・累(かさね)。
だが男は女を裏切ろうとしている。
上流から流れてきたのは卒塔婆と髑髏。
男が髑髏を手にして鎌を引き抜く。すると累の顔がっ…。
卒塔婆を折ると、体にまで異変が生じて…。

累(るい) 好ましくないかかわり
累家(るいか) 代々続いた家
累加(るいか) かさね加えていくこと。次第にふえていくこと
累月(るいげつ) 時を重ねてゆくこと

因果応報物語。『真景累ヶ淵(しんけいかさねがふち)』の1部分。
怪談好きには外せない演目なのだ!大大大好きだっ!
ナマでは「吉右衛門&ジャッキー(雀右衛門)版」「橋之助&福ちゃん版」
歌舞伎chで、「若かりし頃の仁左衛門&玉三郎」
今回は、NHKのスタジオで収録された「八世幸四郎(現:白鴎)&梅幸版」

そーしてビックリ!ズングリむっくりっっ。
現代の基準で考えるとビジュアル的にダメなはずなのに、
メチャクチャカッチョイイ!
あの太くて短い足に、累がすがりつくとこなんかイイ!
梅幸の手。大きくて男丸出しなのに、なんだか女なんだよなぁ。
恐い。っていうより色っぽいゾ。
初見のカップルだったけど\(◎o◎)/\(◎o◎)/\(◎o◎)/
先代三津五郎の舞踊を見た時と同じ衝撃!

“今から見ると過去は常に素晴らしい”という意見には賛成ですが、
現代人の体型も感覚も、あまりに変化してしまって、
今でいうところの右近と段治郎の違いか!
でも、あの体型に合わせて「歌舞伎」や「舞踊」が創造されたんだろー。
ハハ、思い込みすぎか。
どうにかして、未来ならぬ昔に行きたくなるのよねぇ。ドラえも~ん。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

どんつく

2005年08月30日 | 歌舞伎

2005年2月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

どんつくとは、鈍な男と太鼓の音を合わせた言葉。
太神楽で滑稽な役割を演じる荷持ちが、
太夫から「どんつく」と叱られて、
「どんつく」と囃しながら踊る事から来ている。

今月は”九世三津五郎七回忌追善狂言”として
当代三津五郎・菊五郎・仁左衛門・時蔵・秀調・菊之助・巳之助他
賑やかに、常磐津に合わせて大道芸だ~い。太神楽だ~い。

菊五郎なんて、昼の部これしか出てないの!
仁左衛門もそーだゾー。スゴイゾー!
菊五郎は
太神楽の親方で、芸をきち~んと披露!ブラボー。

大工・仁左衛門はニコニコして、どんつく・三津五郎の踊りを見る。
その横の芸者・時蔵もニッコリ。

ヒャ~。一昨年の8月納涼歌舞伎で、これヤッタ時、
福ちゃんが完全オブジェ化した芸者だったの思い出した。
笑う余裕なかったのよね。休憩タイムだったのよね。
その前に『怪談牡丹灯籠』で大ハッスルしてたからサ。

時蔵芸者は、福ちゃんの様な派手さ全然ないのに
静かな美しさにグッときちゃった。落ち着くわ~。
仁左衛門と並んでステキよー。

♪どんつくどんつく♪って、横一線に並んで皆で踊っちゃうし、
三津五郎ったら楽しそーだ。愉快っ爽快っのってるかい~ッッ!!

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。


築山殿始末(つきやまどのしまつ)

2005年08月29日 | 歌舞伎
2001年9月 新橋演舞場
2005年8月 歌舞伎チャンネル

昼の部がおせおせで、入り口は"夜の部"の客で膨れ上がってパンパン。
開場は4:25!!
あっ~!と言う間に開演した!!
だって開演時間は4:30なんだもぉん。
<5分押し>っちゅう言葉を知らんのか歌舞伎は!
客は息をつく暇なし!
トイレもそこそこに席に着いたら始まった~
だから…というわけか、芝居が…というわけか
舞台に集中できないのよ~。

大佛次郎といえば“鞍馬天狗”しか知らない…。
あ“たぬき”は知ってる。観たばっかだからね(同月昼の部)。
しかしなぁ。同じ作者の作品を
何故に同じ月に上演しなければならんのか?
作品沢山持ってるはずなのにね、歌舞伎業界って。

徳川家康が織田信長と組していた時代の物語
徳川家康(團十郎)の息子・信康(当時:新之助)は親父の生き方、
武士の生き方が嫌で嫌でしょうがない18歳。
父と母の築山御前(田之助)の不仲も嫌。

そんな時、鷹狩りで、母の侍女に会い。
「俺の子供を産んでくれ~」

でも信康は女房持ち!この夫婦仲も悪い悪い。
浮気がバレて、自らの不誠実を謝る信康。
許さない妻に、遂に逆キレ!!侍女を斬り殺すー!!

おりしも城下は祭りで大フィーバー(死語…)
キレた信康は、そこに突っ込んで行くのであった。

日頃から姑との折り合いも悪かった信康の妻。
こっちもキレて
「姑(築山御前)の武田(敵)への裏切りと旦那の浮気を
おと~さまにチクってやるぅぅ」
なんと、その父こそ織田信長。

信長は激怒し、信康を討つ事を家康に命じるのであった。
父・家康(團十郎)の苦悩。
納得し切腹して果てる信康(新之助)
夫を死なせるつもりなど…。ショック状態の妻。
彼女への怒りを押さえる家康(團十郎)
「誰よりも可愛かった」と、苦渋に満ちた声を漏らすのでありました。

渋い話だったけど退屈した~。

ここに出ていた宗之助、高麗蔵が
歌舞伎座の夜の部にも出ていてビックリ!!
なんで~?歩いて数分だから、移動なんてなんちゃない。
だけどね~。他の役者をバッテキして修行させればいいのにィ。


歌舞伎の国になくてはならぬ人市川団十郎白血病再発の疑い。半年休演!!
醍醐寺薪歌舞伎やったり、十一代目海老蔵襲名披露で、
北海道から岐阜まで東日本28カ所を巡業したり。働き過ぎなんだよぉぉぉ。
でもって、これから西日本25カ所を回る予定だったなんて。
西は残暑厳しいんだっちゅうの。
息子の為に、ガンバッテるんだよな。夏雄ちゃん…。
(熱心なご贔屓の方ごめんなさい!彼のことをどうしてもこう呼びたくなるの。
人がイイでしょ。ほのぼのしてしまう人でしょ。つい、一方的に親しんじゃって。)
11月の国立劇場『絵本太功記』楽しみにしてたのにぃ。
復帰して『お祭り』演ったら「待ってましたッ!」て声掛けるから(ホント~か!?)
ゆっくり静養して下さい。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。


夏の夜の夢

2005年08月26日 | 歌舞伎
 「夏の夜の夢」 
2006年3月5日~14日 日生劇場
       18日~26日 大阪松竹座
原作:W、シェイクスピア 脚色:小池竹見 演出:加納幸和
出演:尾上松緑 ほか

ビビビビックリ~!!
1980年代は空前絶後の“演劇ブーム”。
バブルに乗って大企業が文化的イメージアップを図り、
劇場を次々開場、劇団も次々と作られた。

‘87年『ネオかぶき』なる造語を掲げて『花組芝居』が誕生。
普通じゃつまらない。
男が出てきて”女です”って言うと、お客が“え~!?”って思う。
歌舞伎は見た目も、動きも非現実的。
そうやって違和感と違和感を重ねていくと、
人間の真実や想いが見えてきて同化するのが面白い
そう語るのが、座長の加納幸和(かのうゆきかず)だ。

なんと3才から歌舞伎に夢中!
「おかしいなぁー。変だぞぉー。♪なんでだろー♪」って。
曰く、教養として出会わなかったのがヨカッタ。
TVで“オバケのQ太郎”を見た時、
「裾引いてる!歌舞伎と一緒だ!」って思ったんだと。
ドヒャヒャヒャヒャ~。

親が与えてくれた本は『野口達二著「歌舞伎」文芸春秋刊』
(この本は、数ある専門書の中でも優れもの!オススメ)
親も親だゼ!やってくれるよなー!
加納少年は、写真や絵を見て楽しんでいたそう。
だろーなー。だって大人用の本だもん。

大学時代に観た『天井桟敷』(寺山修司)も、『紅テント』(唐十郎)も、
『夢の遊眠社』(野田秀樹)も「これは歌舞伎にあるじゃない」
そう思った加納青年。
ヨーロッパでも取り入れられているんだから、日本人の僕がやったっていいじゃない。
歌舞伎ド素人の男集団『花組芝居』の作・演出&女形を担当することに。

《伝統歌舞伎》は型やテクニックを忠実に伝承しなければならない。
一方《ネオかぶき》は、伝承芸能になる以前の歌舞伎。

歌舞伎俳優達にも「好きなことできていいね」と言われるとか。
うん。傾(かぶ)く精神持ってるもんな~。

「何かひとつにまとめろ」と評論される。
でも、まとめる気はサラサラなくって、オモチャ箱ひっくり返してるわけだし、
お客の方が頭をフル回転して下さい。
確かに。上演時間長いし…。

劇場は、裏方やお客さんも含めて呼吸している。
大向こうが掛ける「ニ子玉屋ッ!」(加納の屋号)の間が悪いと
舞台上から「やり直しッ」ってダメ出しするんだって~。
タイミングがドンピシャな時は、公式HPで礼も言う。

外での活躍も盛ん。TVにも映画にも出る。他劇団に出演、演出あたりまえ。
そんな彼が、『ネオかぶき』精神を『伝統歌舞伎』へ注入!?成功を祈るっ!
東京公演なければ歌舞伎チャンネルで放映してくれ。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

五斗三番叟

2005年08月25日 | 歌舞伎
2005年2月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

義経腰越状/五斗三番叟
(よしつねこしごえじょう/ごとさんばそう)

歌舞伎では定番の”時代背景の嘘偽り”。出ましたー!
義経の話。なのに本当は大坂夏の陣なのサ。
義経は豊臣秀頼。五斗兵衛は後藤又兵衛。
泉三郎は真田幸村。わ~!全て仮の名。

五斗兵衛役は吉右衛門。
『石切梶原』(一月大歌舞伎)の古風さが忘れられずにいたところ、
藤山直美&沢田研二『夫婦善哉』(新橋演舞場)の帰り道に、
立ち止まってしまった歌舞伎座で、楽日の3階席がありましたのー。
あの時、私にはもののけが憑いておったのか、
気がつくと手にしていたのだヨ、チケットを。
先月に引き続いて吉右衛門。どーなりますやら…。おためしコース。

軍師として雇ってもらおうと、義経の屋敷にやって来た五斗兵衛。
しかし、敵の計略に嵌まって、酒でベロンベロンになっちったー。ってやつヨ。

富十郎の時は、飲みっぷりがごーかいで、つーかいだったんだなぁ。
團十郎の時は、敵の手下の”竹田奴(つめ人形)”達の顔が、
アンパンマンファミリーのメイクで
♪ありゃせ、よいせ、よいせ、よいせ、
ありゃりゃんりゃんりゃん、やーっとな、よーいよい♪

って踊るの、大爆笑だったけー!!。

さて、吉右衛門。…。
酒飲むと人格変わってご機嫌ウハウハ~って役は
やっぱり盛り上がりに欠けるな~。
この日の竹田奴達は皆同一のジェイソン(by13日の金曜日)顔。
…盛り下がったしな~。
お酒を飲む気持ち良さは、ありましぇんでした、残念…。切腹ッ!


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

ヨーロッパ企画 第18回公演

2005年08月24日 | 演劇
2005年8月17日~29日 下北沢・駅前劇場

予備知識なしで劇場へ突進。
スタッフの喋り言葉は関西弁だっ。
なんと、京都は同志社大学出身の劇団らしい。

『標準語のセリフでノリは関西』ああん?オモロそうやんけ。

「サマ-タイムマシン・ブルース2005」
夏休み。大学のSF研究会部室。
リモコンが壊れてクーラーが使えない。
部員達はあの手この手で“涼獲得作戦”にでるが、ことごとく撃沈…。
誰かが見つけた奇妙な物。
タイムマシン?。
俄然昨日に戻って、壊れる前のリモコンを持って来る気満々にっ。
でも、それってやばいんじゃないの?
判っているのかSF研っ!

若さ爆発っ!顔にシワないもんなー。
大学。タイムマシン。ゴチャゴチャしてるセット。舞台の狭さ。
明るさ。音。その諸々がノスタルジー…。
世代ごとに必ずあるんだ、こんな題材の芝居。

これが、都会的になっちゃうと
「遊◎機械/全自動シアター」の初期が入ってくるのかなぁ。
それより生田萬の「ブリキの自発団」か?
如月小春の劇団「NOISE」もチョコッとくるかなぁ。
もっと斜に構えると竹内銃一郎の「秘法零番館」?。これは外れるな。
「南河内万歳一座」で初期のドロ臭さを削いだ感じかなぁ。
冷蔵庫を開けると…とか、押入れを開けると…とか、ゴミ箱とか、銭湯とか。
そんなのあったなぁー。って、私がタイムトラベラーになってどーする!?

これ、映画化もされてるんだよね!
監督は「踊る大捜査線」シリーズの本広克行
主演は瑛太、上野樹里で9/3公開!

しかし、世の中変わったもんだわねぇ。
公式HPは当たり前、携帯サイトでも発信中、
各種雑誌の取材もあり、ラジオ、シアターテレビジョンにWOWOW。
ぴあでも、“理系の匂いのするエンターテインメント”って紹介されてたし。

この“夏の陣(サマーフォーメーション)”公演ツアーは、
京都・東京・大阪・札幌・福岡までっ。行くのかっっ!
スゴイ~!「ヨーロッパ企画」!!
ファンの皆様今更ごめんなさい…m(_ _)m

出演者は男8名・女2名。
男性群が個性派だと、女性が希薄になるもんだけど、
濃い~キャラ軍団の隙間をぬって顔出してた。イイゾ~。
“ラジオ体操第1”みたいな集団ダ。
1つ1つの動きにちゃんと流れがあって、どれもこれも欠かせないのヨ。
最後まできっちりやると達成感あるでしょ。あれよあれ~。
これは作・演出の上田誠氏の手腕も大きいな。

みんな何処にでもいそうな顔なのもイイ!
知り合いのそっくりさんが2人もいた!諏訪雅君と石田剛太君。ガハハ。

“カッパのドリームブラザーズ”(「ズームインSUPER」にカッパが出演中)以来、
ひさびさ関西発の劇団にのめり込みそ~。
愉快であった。余は満足じゃ!

アンケートに興奮度を殴り書きしてる私の横で、友人がニヤニヤしながら
「26日からの「囲むフォーメーションZ」は180度違うゾ。」
「なぬ!?行かいでかーっ!」

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

岡山城天守閣 大お化け屋敷

2005年08月23日 | 美術館・博物館

400年の歴史を誇る岡山城 ~城下町幽霊伝説~

東海道四谷怪談牡丹燈籠真景累ヶ淵怪談乳房榎

そんな怪談を観るより聴くより、

この夏、本物のお城で本物の怪奇体験を…。

現代の肝だめしは去年よりグレードアップ!

道は途中から“極楽の道”と“絶叫の道”へと別れる。

これぞ運命の別れ道っ。

より恐怖を味わおうと“絶叫の道”へ!

真っ暗闇の中、互いの眼と歯が異様に光って…キャ~!!

墓の中から髑髏がザザッと現われたり、

真上で長い黒髪がワサワサ揺れたり、

鏡にニュ~ッと幽霊の顔が映ったり、

人間が化けてガバッと襲ってきたり、

模型だと思って手を出すと「触っちゃいけんヨ」と声がしたり、

ついには子供が「助けてー!」と絶叫!

「助けてッ。助けてッ。助けてーッッッ!」

その4連発で恐怖は絶頂へ!

タダひたすら光を求めて出口へダッシュ。

ウッヒョ~。ウッヒョ~。ウッヒョ~。怖かったー。

岡山城イベント実行委員会様。来年も楽しみにしています。

岡山城の“歴史ビデオ” 宇喜多秀家物語も夏にこそ見るべし。

結構コワイです。

お問い合わせ:岡山城天守閣

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。


勘九郎版・四谷怪談

2005年08月22日 | 歌舞伎
2000年8月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)
作者: 四世鶴屋南北
初演: 文政八年(1825)

夏の夜の納涼といえば花火や盆踊り、そして…肝だめし。
昨今のホラーブームの原点は、約二百年前の江戸時代にありました。

三遊亭円朝の人情噺を劇化した「牡丹燈籠」や「真景累ヶ淵」も有名ですが、
やはり怪談狂言の総本山とされるのは「東海道四谷怪談」

ケッ。最近の怪談って、「笑い」がつくんかい。
呆れてものが言えない。けど言うっっ!

友人が「恐くなかったからヨカッタ」と宣った。
そんな“緩い恐怖”を現代人は所望しているのかえ?

昔は沢山TVで “怪談物”を放映してた。
震えながらも画面から眼を離すことが出来ない。
1人でトイレに行けなくなる。
そんな恐怖を散々体験しても、また見てしまう。
これが私にとっての“怪談”。

演者によっては、背筋が凍るもんなのです。
歌右衛門は貞子よりコワカッタよぉぉぉ。
なのに、勘九郎(現:勘三郎)が演じてみせたお岩には、
恐さより、笑いがつきまとう…。

痩せてないから、貧乏暮らしにみえないし…。
ビジュアル大切な世の中じゃないですか。
ゲッソリと肩が落ちて見るからに痛ましい姿。
でも性根は燐としている武士の妻。
これってさぁ“立女方”向けではありませんか?中村福助!
いやいや、歌舞伎は顔や体型だけが勝負の芸術ではないはず。

お岩さんの“情”と“念”。これが見えなかったってこと。
女のそれは、どこまでも深いブッラックホール。
眼に見えぬ畏怖の力。
森の中の、吹雪の中の、井戸の中の闇。
肝をわしづかみにされた様な冷たさ。
そんな非日常が存在することを、たまには思い出した方がイイ。
ネオンギラギラ明るい世界だけがこの世じゃぁないヨ。

おどろおどろしい…
得体のしれない…
気味が悪い…
何かを怖れ恐がる気持ち…
これを『様式美』と、女の『黒髪』で表現するのよ!歌舞伎では!

薬飲む時にね、ちょっとでも無駄にしたくない気持ち。
それ解りますよ。
顔を上にして口開けて一生懸命なの。
でも、セコイ女。意地汚い女。笑える女。
そんな人に見えちゃぁブチ壊しだわさぁ。(-_-)/~~~ピシー!ピシー!
笑い演出しないで恐怖演出してヨ。
なのに、去年再演しよったのぉ。思えば思えば、エェ怨めしや

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

摂州合邦辻

2005年08月12日 | 文楽

2005年7~8月 国立文楽劇場

社会人のための文楽入門・ういーくえんど文楽“つづき

摂州合邦辻/合邦庵室の段
(せっしゅうがっぽうがつじ/がっぽうあんじつのだん)

作者:菅専助(すがせんすけ)・若竹笛躬(わかたけふえみ)
初演:安永二年(1773)二月
場所:大坂北堀江市の側の芝居、豊竹此吉座

題材は、仏教説話で『今昔物語集』の説話、謡曲『弱法師』、
説法節『しんとく丸』『愛護若』など

この邪恋。嘘か真か。

花の顔(かんばせ)に毒を盛り
闇の底へと沈めおく
我を愛せばよいものを
ただ誓えばすむものを

なんなの、この女!この人こそ継母・玉手御前。
なんでも急に俊徳丸に恋焦がれてしまったらしい。

俊徳丸はついに行き方知れずに。
血眼になって探す玉手御前が辿り着いたのは己の実家。

俊徳様の御事は寝た間も忘れず恋焦がれ

両親の目も憚らず、俊徳丸に言い寄り、擦り寄り、猛烈アタック!
父・合邦はあまりの怒りに大魔神化っ!

耐へかねて駆出る合邦、娘が髻(たぶさ)引掴み、
ぐつと差込む氷の切先。

斬られた玉手は以外にも、満足気に邪恋の真相を語り始めた。

全ては俊徳丸を守るため。家督争いを終わらせるため。
わざと演じた恋狂い。
玉手の生き血を飲めば、俊徳丸の醜い顔も元通り。
スッと俊徳丸の顔が変わる「面落(めんおち)」は一瞬芸!
思い残すこと無くあの世へ旅立つ玉手御前…。

百八煩悩夢覚めて、涅槃(ねはん)の岸に浮かむ瀬と、
形見に残る盃の、逆様事も善知識、仏法最初の天王寺、
西門通り一筋に、玉手の水や合邦が辻と、古跡を留めけり

玉手は、必死に策を練ったのでありましょうが、
もひとつピンとけぇへん。何度観てもあかんー。
頭の中に柔軟剤でも入れよかなー。

でも「真相を語る」台詞は、文楽の方がテンポがいい。
歌舞伎だと、ついウトウトしてしまうのだわさ。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

 


社会人のための文楽入門・ういーくえんど文楽

2005年08月11日 | 文楽
2005年7月・22・29日 8月5日 国立文楽劇場

夏の文楽は3部制。
会社帰りの人にも門戸を広げようと午後6:30開演。
でもいつも閑古鳥鳴いてます、鳴いてます。

今年は初の試みっ。
”社会人のための文楽入門・ういーくえんど文楽”
公演中の金曜日 午後7時開演 合計3回!

最終回に参加してみました。
補助席が出る超満員っ!外国の人もっ。
ナビゲーターは住大夫っ!!
だからこそ、どーせ常連さんばかりなのでしょー。

「今日初めて文楽観る方、どれくらいいてはりますか?」
住大夫の声に挙手がっっ。
50人はいたぞぞぞっっ。ビビビックリっっ。嬉しいやないかいなぁぁ。
そういえば、スーツ姿の男性をお見掛けいたしました。

さて、人間国宝の竹本住大夫。
喋り口調は、生粋の大阪弁。
私なんぞ到底喋れない言葉遣いがワンサカ。
気取らない姿は、ご近所のオモロイお爺ちゃんなのだ。
「若手を育てんならん。それがストレスでんねん」と笑いを誘ったりする。

聞き手の高木浩志氏(文楽研究家)と、熱く楽しくお喋り。
人形浄瑠璃は”情の世界”っっ!
様々な人形の頭(かしら)を前に、浄瑠璃の使い分けを披露。
女性では、第2部「桂川連理柵」の女房のお絹。姑の婆。14歳お半。
「14歳に聞こえますか?聞こえへンとは言われんやろけど」
場内は温かい拍手で答えます。

「泣く場面で太夫が本当に泣いてはいけない」
難しいと思うんですけど。じゃぁどうすんのかな?
「音(おん)です」
例えば一昔前の駅のアナウンス。実演付き!
そういえば、今は味気ない声やなぁ。

「声はここから出します」
住大夫が指を差したのは、オデコの真ん中。
腰とお腹も大切。
ふむふむ。それってクラシックを歌う時と同じなのでは?
「歌手では、美空ひばりさんがそうでしたな」

”文楽作品の舞台は大阪にある”と続きます。
「曽根崎心中」も「夏祭浪花鑑」「冥途の飛脚」などもそう。
そうして今から観る『摂州合邦辻』は、天王寺界隈の話。

でも、お初の人の心をキャッチできんのかなぁ。
動き少ないし、派手な連れ弾きもないし、
なんてったって、眼の前で喋ってた住大夫が出えへんやん。
あのお爺ちゃんのお仕事拝見。っつうのがオモロかったやろに。
「第2部を観て下さい」と盛んにアピールしてましたけど…。

ロビーで貰った団扇には、11月公演『本朝廿四孝』の宣伝が!
これでパタパタやったら文楽の事忘れへんかもしれん。
でもって、裏面に印があった人には”文楽グッズ”進呈!
ハズレた…。

『摂州合邦辻』へつづく。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。



平成若衆歌舞伎 第4弾 

2005年08月10日 | 歌舞伎
2005年8月6・7日 シアター・ドラマシティ

『花競(はなくらべ)かぶき絵巻』

真夏の大阪梅田で年に1度の平成若衆歌舞伎。
今回は、ナナナント!タカラジェンヌと競演~ッ!

でも正直ドキドキもんやった。
愛ちゃんの後援会に入っていない身としては、ヅカパワーは脅威なのである。
4回公演の全てに足運ぶのは鉄則でしょ~ヅカファン。
やはり発売と同時に完売っ。補助席をどうにか確保して、
去年の『義経と知盛』に続いて劇場へっ。

入り口の霧矢大夢(きりやひろむ)後援会受付には長蛇の列。
もうここからヅカ色に染まってる!
客席の熱気はまさにヅカ!!

世は徳川時代の寛永の頃。
真田雪村に遣えた忍一族の若者七人は、
変わり行く時代に取り残されようとしている。

京では阿国一座が大衆の目を釘付けにしていた。
反発しながらも、阿国(霧矢大夢)の舞に魅かれる大伴新三(片岡愛之助)。

「剣で世の中は変えられへん。芸で人の心を掴んだる!」

あっちが女なら、こっちは男や!
そんな彼等の舞を見て、阿国はせせら笑うのだった。

「恋はうたかた。芸は一生」
そう言うお梶(片岡秀太郎)のバックアップで、『若衆歌舞伎』としてデビュー。

大衆の心は、吹く風の様に移い易いもの。
剣術をミックスした舞は、たちまち注目の的となった。

一方、阿国は追放されることとなる。
そこには彼女の出生の秘密が絡んでいた。
権力になびかず、ただ芸に精進するのみ。
阿国と一座の者達は決意を新たに旅立った。

時代の寵児となり、『歌舞伎役者』と名乗るまでになった新三。
阿国の去った河原で「連れ舞ってみたかった」と呟くのでありました。

宝塚歌劇団と歌舞伎。
曲調・台詞・踊り・動き。互いに犯すことなくラストは連れ舞!

艶やかなキリヤン(霧矢大夢)と、爽やかな愛ちゃん。
”関西のビューティーカップル”誕生ー!!

夜空に彩なす花火だゼ~!
華麗に打ちあがる花火に声を掛けるのは”上方の大向こう”

「霧矢っ!」新国劇っぽくて良いっ。
ヅカファンはビックリ。異文化コミュニケーションやね。

松嶋屋の掛け方も東京とは違うよ。
「マツシマヤッ」と均一に発するのではなく、
「…シマヤッッ!」と三音を強調するの。

これ無くしては”上方歌舞伎”になれへんのよ。
大向こうのオッチャン達、おおきに。

若衆では、舞台で滑るヤツがいたり、
阿国一座では踊って草履が脱げたり、
若さでゴーゴーレッツゴー!(by仮面ライダー)

アンコールつきで、約130分。中身はショボかった。
“コラポ”って名前のお皿はバッチリ。なのに
盛り付けてあるのは、具が少ないカレー。
大阪文化を紹介する“イベント”としてなら、これでエエと思うけど。

まぁ、芸を仕事としている人たちの心の叫びってことで収めよう。
題名どおりの”絵巻物”。ビジュアル命ヨ。
深く考るのは止めよう。

ヅカの代表がキリヤンで嬉しかった。
お鬚キャラも見ちゃったから、女に戻った姿はよけい新鮮っ。
声のトーンも魅惑的。歌ももちろん唄っちゃう。

愛ちゃんも、本当の女性が相手だとドキドキしたでありましょーか。
まさかね。禁欲的な世界でもあるまいし。歌舞伎の国が…。ハハハ。

タカラヅカニュース(スカイステージ)で、記者会見が流れた時は、
演出家以外の男性が画面に映るやなんて、
しかも秀ちゃんと愛ちゃんやなんて、こそばゆくて夢の様でしたな。

愛之助もイイけど、秀太郎もイイ。なぁんて思った方。
もう歌舞伎の虜でございますよ。

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。







桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)

2005年08月09日 | 文楽
2005年7~8月 国立文楽劇場

宝暦十一年(1761)四月

京都の桂川で四十代の男性と十代の女性の遺体が発見された。

この事件を脚色した上下二巻の世話物作品。


作者:菅専助(すがせんすけ)

初演:安永五年(1776)十月

場所:大坂堀江市の側の芝居、豊竹此吉座


石部宿屋の段

お伊勢参りの帰り道、宿屋にて。

14歳のお半は、洟垂れ丁稚の長吉に夜な々言い寄られ大迷惑。

偶然一緒になった隣家の長右衛門の部屋へ逃げてきた。



「ヲゝ、嫌な、寝間へ去んだら、またどんな事しをろやら、

お前の傍でとつくりと寝さして下さんせ。もう長吉づらにかかつて、

ろくに寝ぬのでわたしや眠たい」

「いかさま道理、ヲゝ、子供の事ぢや、そんならここへ入つて寝や」

と、一つ蒲団に仮枕、これぞ因果の始めとは、



♪男は狼なのよ 気をつけなさい♪(bySOS)

朝飯を呼び掛ける声に、長右衛門とお半が帯を締め直す。

お半は袂で顔を隠し、長右衛門はばつが悪そう。


20分休憩


なんだかロビーが暑くなってきたゾ。

これってクールビズ対策なのか?


六角堂の段 

既にあの夜の出来事は、噂となって駆け巡っている様子。

長右衛門の女房・お絹は、

「長」という字を使ったトリックを思いつく。


あ、暑い~。

寒がりの私が感じているのだ。やはり変なのだ。

冷房効いてないやんけぇぇぇ。


帯屋の段 

それは、お半の色の相手を長吉へ摩り替えること。

義理の弟・儀兵衛は笑いとばして信じない。

笑って笑って笑い尽くす。「横腹へこむら返りや~」客席も大笑いや~。


愉快なチャリ場で、暑さも忘れたゾっっ。

嘘です!ほぼ満席の場内、扇子ハタハタはためいてる~。


「アア、いかさま因果は車の輪、十五年以前、

宮川町の芸子岸野にのぼり、詰らぬ事で桂川へ心中に出たところ、

先へ岸野が身を投げたを、見るよりふつと死に後(おく)れ、

人の知らぬを幸ひに、その場を逃れ今日までは生き延びしが、

思へば最期の一念にて、岸野はお半と生れ変り、場所も変わらぬ桂川へ、

われを伴ふ死出の道連れ。ホウ、これこそ因果の罪滅し、さうぢや、さうぢや」

と観念し、桂川へと急ぎ行く、哀れを筆に書留め、噂の種とぞ


住大夫の声が遠くに聞こえる…。汗がたらりと…。

演者の方がライトでもっと暑いのだろうけど…。


長右衛門って、1度ならず2度までも”心中”するのね。

余程女どもが放ってはおかぬ良い男なのでありましょう。

初恋実らし、惚れた男と死ぬお半。

亭主亡き後、針のむしろで生きて行くであろうお絹。

どちらが女として幸せなんでしょーね。


道行朧の桂川 

なんと、長右衛門がお半をおぶっている。

年齢差をグロに見せます、感じます。


♪このひとだけは 大丈夫だなんて うっかり信じたら

駄目 駄目 アー駄目駄目よ♪(bySOS)


14歳といえども女は女。

狼の懐に自ら飛び込んでくる子羊が悪い。でもなぁ。

「間がさした」そう言い訳する。でもなぁ。


長右衛門は、最長老吉田玉男に代わって吉田玉女。

人形と人形遣いがドッキングしたような感じ。

さっきまでの色気とは、また違う色気がム~ン。


ム~ンとしてるのはそこだけやない。暑いぃぃ。

三味線さん大変やろーなー。手が汗ばんで。

全っ然、冷房入ってないわぁぁぁ。


石を袂に糸と針、繻子の帯屋と信濃屋の、娘々と呼ぶ声に、

見つけられじと足早に、転けつまろびつうしがせの、水上へとぞ




「本日は落雷のため、冷房が故障いたしましたことをお詫び申し上げます」

なんとっっ!!

”粗品”と書いた文楽劇場のタオルを貰って帰った。


大阪府内8万9000世帯が停電したんだと!

舞台に支障が無かったことが不幸中の幸い。

ま、貴重な経験したってことで。


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。



一條大蔵譚

2005年08月08日 | 歌舞伎
2005年3月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

十八代目中村勘三郎襲名披露

鬼一法眼三略巻/一條大蔵譚
(きいちほんげんさんりゃくのまき/いちじょうおおくらものがたり)

平家が牛耳る世の中。
阿呆を演じることで“打倒平家”の心を隠し、生き抜こうとする大蔵卿。

♪どうせバカなら元気なバカがいい。
海パンで国際線乗っちゃってー♪(bySMAP)

そーいうんじゃないか。“作り阿呆”だ。
今でいう“アホの坂田”だ!…舞台降りたら正常になるって噂やねんけど。

前半のアホ面を、観客の頭にインプットさせておいて、
素に戻った時にお客を驚かせ、
ラストにまたアホ面にスーッと変化して、唸らせる。

これをやってくれると信じておりました新・勘三郎。
アチャ~。私の期待が大き過ぎたのね。
十八番のお笑いに通じる見せ場じゃないのっっ。

狡猾でもなく愚鈍でもなく。軽すぎず重すぎず。
水面に浮くブイの様に、劇中で漂って欲しかった。

もーいいわ!
仁左衛門と玉三郎のビューティーカップル見て楽しむから。
スパイ夫婦をこの2人で!襲名披露ならでは!
もっと出てきて~!

一條大蔵卿は、蛭子(能収)さん(by大河ドラマ「義経」)に
お任せってか?(笑)



☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。

一幕見

2005年08月04日 | 歌舞伎

1999年9月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

九月大歌舞伎の楽日。
吸い込まれる様に、“一幕見”に並んでおりました。

溯ること1週間前、あんまり良い席で観すぎちゃって 
『二人道成寺』なのに「1人」しか観れなかったので…。
今度こそセットで!

待ち人の人数を気にしていましたが…。
アレレ…。楽日で、しかも日曜なのに…。20人程かなぁ。
例の如く、人員整理の小父さんが
「昨日の方が多かったねぇ」とか
「初日は少ないんだよ。口コミで人が増えるんだよな」
なんて事を語っておりました。

4F席は、前の『弁慶上使』からいる人が席を離れず、
2列しかない椅子がほとんど埋まっておりましたよォ。
OH~侮れぬ休日&楽日の一幕見!

『二人道成寺』
なんと、大向こうが一幕見席にーッ!
感激にござりまするッ!
自腹を切ってここまで登り、掛け声を掛ける人々がいたんだッ。
皆が皆「大向こうの会」に入って3Fでタダ見しているわけじゃないんだッ。
しかも、ここはすぐ上が天井。
大向こうの声がゴツゴツあたるのよね。
こんなコト1等席では判らないよォ~。

あそこは、諸々の声が上から降ってくるだけだもんね。
一幕見からなのか?3F席からなのか?
なんてコトは見当がつかないもんなぁ。侮れぬ一幕見!

さすが!…遠いよなぁ~。
雀右衛門の滑らかな手の動きは
やっぱり、あの席!でないと解りませんなぁ~。

所化の皆サマもお元気そう。
雀右衛門の孫であり友右衛門の息子2人もとっても楽しそう。
特にお兄ちゃんが、花道出る時からニコニコでね…。
あっと、これは1等席にて目撃した事であった。
勿論、今日は見えるわけありまっせん。

何もかもが遠くではありますが、
でも、今日は“二人とも”見れるし…
でもでも、着物の美しさはやっぱり先週だったよなぁ。

目の前で見た時は驚いたのですヨ。
なんだか舞踊劇の着物は派手だ!って先入観があってね。
卯の花色に鼠色なんて、頭の中に置いてなかったので…。
しかもそれが美しい配色なのであったッ!

「『京鹿子娘道成寺』を2人に分散するなんて邪道だ」
的な事を考えていたのでありますが、なんのなんの美しいッ!
7月の『奴道成寺』も面白いと思ったし…。
侮れぬ道成寺物の数々!

鐘の上で二人して見得を切る!
それを見る所化の寝っ転がりポーズも、
加藤茶の「ちょっとだけよぉ」系で色っぽくって美しいではないかいな。

手拭い投げは、遠くから見ると面白いよね。
「高麗蔵~。私はここよ~ッ!」と叫んでみても届くわけはなし…。
彼はやはり、力を抜いて超前列の客にチョイッと投げていたよ…。
あの時キャッチ出来なかったのは不覚であった。
もうないよ、あんなコトッ!

上手のグループは妙に元気で、3F席に飛ばしてるーッ。
結構スゴイゾ!このビュンビュンは!

終わると皆帰って行った…。
次の『名月八幡祭』観る人はいないの~。と泣いていますと、
1人また1人と老いも若きもゾクゾク登って参りました。
やっぱり凄いぞ“一幕見”!

☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。


二人道成寺

2005年08月03日 | 歌舞伎
1999年9月 歌舞伎座
2005年8月 歌舞伎チャンネル

さて、今回は“市川高麗蔵(こまぞう)と私が大変だった!お話”
ところは歌舞伎座。

“中村雀右衛門(じゃくえもん)傘寿を祝うて向かい雀”と題して
息子の中村芝雀(しばじゃく)と踊る『二人道成寺』

二人がキッと鐘を見る。
「京屋ッ!」と大向こうの面々の揃った掛け声ッ
鳥肌もの~ッ!今日もアリガト大向こうさ~ん。

目近過ぎて2人が同時に観れな~い…。眼を瞬きながら観てました。
どこに座ったかって?ア~タ、
前しか席が残ってなかったんだから仕方ない
“ろ”の席だぁぁ。

そうしてフッと気が付いた…。
これって、もしや“手拭い”を放り投げるのでは…。
私は前から2列目にいるのだッ。もしや、GET出来るのではッ。
ワクワクするやらドキドキするやら。

雀右衛門が投げた手拭いは取れませんでした。
いかんせん、私は中央寄り。ジャッキーは両サイドに投げたのだ。
しかも、1個舞台上に落としちゃって…

いよいよ、所化が皆で投げる場面がやって参りましたーッ!
思わず手を上げる私ッ!!
そうして、私の目の前には市川高麗蔵がッ!

1個目は前の御夫人へ…。

2個目は「次は君だよッ」と高麗蔵の目が私を見ているッ!
「いいわよッ」と大きく手を伸ばす私。
惜しくも右横の御夫人の太腿脇へ…。

3個目も「よ~し今度こそッ」またまた私を見る高麗蔵。
「ここよ~ッ」大きく大きく手を伸ばす私。
…またしても同じ御夫人の同じ場所へ。

いよいよ最後の4個目ッ
「くそ~今度こそ~」
「お願い~ッ」
高麗蔵も私もいつしか必死になっていたのでありました。
しかし無情にも最後の1個は、最初と同じ前列の御夫人の前に…。
2人とも笑ったよぉ。顔が引き吊ったよぉ。

あそこまで頑張ったのにぃーッッ。
身体をポッポいわせていると、同じく貰えなかった左側の御夫人が、
「私めがけて投げたのに取れなかったわぁ」と話掛けてきた。
「ええうぇうぇ????私を見てたのよ~!高麗蔵は~!」
そう思いながら健闘を讃え合いました…。

はたして高麗蔵は誰を見ていたのか?
今となっては誰にも判りませんねぇ。永遠の謎。
メチャクチャ集中した数分間でありました。

嗚呼、立ち上がれば良かった…。
大阪松竹座では、最前列で立ち上がったオバサンが
玉三郎から、しっかり貰ってたっけ。

だいたい、手拭いの折り方が問題なのでは…。
必ず最後にカーブした。フリスビーかッ!と思いつつ、
二人の京屋が鐘の上で見得を切って、無事に幕が降りたのでありました。

まだまだつづくよ『一幕見』へ


☆あくまでも主観で書いたものです。特に他意はありませんので平に容赦下さい。