哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『魂とは何か さて死んだのは誰か』(トランスビュー)

2009-03-28 13:00:00 | 哲学
 池田晶子さんの著作の最終三部作が刊行され、表題の本はそのトップバッターで、残りの2冊もすぐに刊行される。今回は絶版となった本の再刊で、さらに単行本未掲載の原稿も多く載っており、ファンとしてはうれしい内容だ。

 中島義道氏が追悼文で触れた大森勉強会のことも、今回掲載されている。その「大森荘蔵氏の印象」という文章に、大森研究会の議論を聞いているだけで面白かった、と確かにある。

 その文章での「大森荘蔵氏の印象」は、その「すがた」が美しいという。もちろん見た目というよりは、語られるその「すがた」が美しく、清潔だというのだ。

 語られる「すがた」というものは、言葉の論理の行き着く先ではないのだから、言葉では語りえないものである。その「語りえぬもの」とはどういうものなのか。

 池田さんは大森氏に問いたいという「善という語が存在するということはどういうことなのか」が、その同じ問いであろう。そして池田さんは、問うまでもなく、その「すがた」を美しいと感じるそのことが答えだという。