哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『6 死をみつめて』(あすなろ書房)

2012-07-02 22:19:19 | 哲学
「中学生までに読んでおきたい哲学」というシリーズのうちの1巻として、掲題の本が書店に並んでいる。この本のことは先日ある新聞の広告欄で知ったのだが、いろんな人の文章の寄せ集めであり、なんと池田晶子さんの文章が載っているというので、入手してみた。

池田さんの文章は「無いものを教えようとしても」というもので、『考える日々』からの文章だった。編者があとがきで各文章を評しているが、池田さんの文章については面目躍如と好評価しているようだ。

ところで、気になるのは他の人の文章との相性だ。埴谷雄高氏や河合隼雄氏など、池田さんと親和性の強そうな人の文章もあるが、他の人の文章はどうだろうか。

かつて中学生向けの、いろんな人の文章の寄せ集めという点では同様な『中学生の教科書』という本で、池田晶子さんは自らの主著となる『14歳からの哲学』の一部にもなる文章を書いているが、それを後に「寄稿扱い」としている。その理由は、『中学生の教科書』に掲載した他の作家の文章内容が、池田さんにとって「同意しかねる」内容だったからだ(詳しくは、『考える日々Ⅲ』の「換金できない言葉の価値」を参照)。

今回の表題の本も、大変多くの作家らの文章の寄せ集めであるが、全体的に池田さんが同意してくれる内容なのか、池田さんは死についてよく書いていたから、ちょっと心配ではある。