哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

日めくり池田晶子 41

2011-07-09 00:03:00 | 哲学
 前に洋楽ポップスの歌詞を取り上げたが、池田晶子さんも、邦楽についてであろうが、ポップスの歌詞について話題にしたことがある。池田晶子さんらしい謂いなのだが、少し過激な内容ではある。




41 「生きるか死ぬか今覚悟決めなって」「そうでなければ自分何をやったって同じだって」


(はやりのポップスの)最近の傾向は、「癒し系」から「励まし系」へ移ってきているのだそうだ。「癒されたい」とか「励まされたい」とか、他力の構えでいる人は、その同じ理由によって、相変わらず落込んだり、あきらめたりを繰返すわけである。したがって、もし私なら、いっそこんなふうに歌ってみたい。

 しかし、これではさしずめ「脅し系」であろうか。けれども、歌われていることは、あからさまなほどの真実である。またじじつ、こういった脅しの文句がズラリと並ぶ池田の本によって、「励まされた」という人は少なくない。遅かれ早かれ人は一度死なないことには生きられないのだから、やっぱりすべてはその人の覚悟にかかっているのである。(『ロゴスに訊け』「生活すること、存在すること」より)