哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

菅降ろし3

2011-07-10 00:41:14 | 時事
 先日の民放テレビでニュースキャスターが、首相も大臣も「辞める」と言っている政権は見たことがないから早く退陣すべきだ、というようなことを言っていた。


 見たことないから辞めるべき、という理屈にならない主張をよく言うものだと感心した。この発言に限らず、今メディアも政治家も、菅首相は退陣すべしと言っておけばとりあえず良かろう、という風潮が感じられる。みんなと同じことを言っておけば、失言にもならず安心なのだ。菅政権よりも財政や復興に手腕を確実に実施できる政権構想が、もう出来上がっているのだろうか。菅政権はすぐに辞めるべきという方々は、菅政権より速やかな対応が確実にできる代替案を示すべきだろう。それが誰が見ても良い案なら、菅首相だって譲るかもしれない。


 以前に塩野七生さんが書いていたように、菅政権の延命に資するからどうだと言っている場合ではなく、むしろいまやるべきことを、知恵を出しあって進めることしかないのではないか。ストレステストの話だって、より安全に資することなら、なぜ実施することに異論が出るのだろうか。急に政府がストレステストを持ち出したからとして、政治がぶれまくっているという主張がよく聞かれるが、必要なものがあれば方針変更を速やかに行うのも当然だ。むしろストレステストを取り上げなかったら、欧州で全て実施するとしているのに、日本でなぜ行わないのかという批判を絶対に野党やメディアが行っていたことだろう。


 それにしても菅首相の“しぶとさ”は、むしろ高評価をしてもいいかもしれない。あれだけのバッシングを受けながら、党内で孤立しつつありながらも自らの任務を信じて遂行しようとする強い意志は、他の多くの政治家では同じようにはできる人は少ないのではないか。これまで、首相の立場をすぐに投げ出した政治家が多かったのは周知の通りだ。小泉元首相だって、在任中はかなりバッシングを受けていたはずだが、側近の秘書官の強いサポートもあったとは思うが、乗り切って最後までやりきったのだ。菅首相は、国民の人気もないという状況では、ある意味小泉元首相以上の試練ともいえるが、やるべきことを最後までやりきる強い意志のもとに頑張っているとすれば、菅首相を応援する人がもっと現れてもいいと思う。