たかが入れ物、されど大きな皮カバン。

 一人でお葬式に行くようになったのは、25歳の頃だったと思う。その頃、父が「お前にこれ、やるよ」とくれた本皮の法衣カバンがこれだ。

 爾来四半世紀…、ぜんせん手入れなんかしなかったのに、よくもってくれたと思う。衣や仏具や、お香や、筆や和紙のハガキなど、色々なものを詰め込んで、さまざまな悲しみや、あきらめの席に同席してくれた大きな法衣カバン。

 今日、把手が切れた。よく見れば、アチコチ剥げているし、皮が伸びきっている。お疲れさまでしたと、ワックスをかけてから別れをつげた。
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