風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

口蹄疫

2010-05-20 00:20:24 | 時事放談
 宮崎県で口蹄疫被害が急拡大しています。またぞろ鳩山政権の失政だ、危機管理がなっていないと野党から批判され、対する政府側は初動の遅れはなかったと打ち消しに躍起になっています。しかし、鳩山政権の農相の動きを追ってみますと、4月20日に感染が確認されていたにもかかわらず、連休中の4月30日から9日間、中南米を外遊し、5月8日に帰国して、真っ先に向かった先は栃木県の民主党衆院議員の後援会会合で、宮崎県を訪れたのは10日、対策本部が出来たのは17日と、危機意識が乏しかったと批判されても、どうにも否定しようがありません。族議員がいればもっと対応が早かっただろうにと的外れな比較までされて、呆れられる始末です。
 それはともかく、川南町役場の方の手記を読みましたが、町役場の方々が、県や陸上自衛隊と一体となって、連日、肉体的・精神的にぎりぎりの対応を強いられている惨状、手塩にかけて育てた牛や豚を殺処分せざるを得ない農家の方のやるせない思いや生活不安には、切々たるものがありました。東国原知事が取材記者の心ない質問に吼えていた映像が繰り返し放映されていましたが、ポーズでもパフォーマンスでもない本音だったろうと思います。私たちには、どうしても遠い国の出来事と思ってしまうところがあります。
 予想以上にウィルスが強く被害が拡大しているのは、殺処分する資格がある獣医師が絶対的に足りないとか、処分した牛や豚を埋設する土地が足りないといったことが、更に被害拡大に追い討ちをかけ、感染疑いが判明したのに順番待ちをしながらそのまま死を待つばかりの家畜を育て続ける農家もあると言うのを聞くと、まさにやるせない思いを強くしますが、10年前の対応が素速く被害が軽くで済んだことが、今回の初動の甘さを生んだのではないかという懸念に対しては、真摯に反省しなければならないところだろうと思います。
 それに関連して思うのは、新型インフルにおけるアナロジーです。昨年春の突然の感染拡大は、薬品会社の陰謀だとか、あるいは本格的な鳥インフルエンザ感染被害に備えた予行演習のために意図的に広められた、などとあらぬ噂が飛び交いました。確かにこの冬の新型インフルに限ると、上手く抑えられ、予想外に軽く済んだように思いますが、それが油断に繋がらないよう、私たちは心しなければならないと、心から思います。
コメント
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