風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

シブコ節

2019-08-31 13:37:35 | スポーツ・芸能好き
 いつの間にか「シブコ節」なる言葉が生まれている。「なおみ節」にあやかってのことだろうが、いずれにしても日本人女子アスリートの飾らない人柄は魅力的だ。いや、ゴルフ専門誌ALBAが渋野日向子をここぞとばかりにプロモートしているだけなのかも知れないが(笑)、関連記事の末尾に「きのうのシブコ節」などとサブタイトルをつけている。
 当初は「渋野節」と呼ばれていたが、海外メジャー覇者となった今も庶民的な性格は変わらず、「シブコ節」という名誉ある愛称に変わった。その全英では、笑顔を振りまく底抜けに明るいキャラと、ごく普通の(と見える)20歳のルーキーが初の海外遠征の海外メジャーで大躍進し、彗星の如く現れたことと引っかけて「スマイリング・シンデレラ」と名付けられたが、実際のところ、その攻撃的なゴルフと、パターにも時間をかけることのないきびきびした動きで、海外のレポーターからは、「彼女は何をすべきか分かっているし、深く考え過ぎていないように見える。とても驚いている」、「この20歳の選手は、コースで隙のないゴルフを見せている」、「メジャー初出場なのに、彼女はコース上でずっと笑っている」などと絶賛されたのだった。そのプレースタイルそのままに、記者会見で単純明快にテンポ良く繰り出される回答は、海外記者にも大ウケだったようだ。(コースのイメージは?の問いに)「全英はリンクスだと思っていた」、(大会の目標は?に)「予選通過できたらいいかな、くらい」、(何歳でゴルフを始めたの?には元気良く)「エイト!」・・・てな具合いで、物怖じしない普段通りの、むしろさっぱり!?の受け答えは大物には違いない。
 全英から戻って休む暇なく、北海道meijiカップに出場し、熱が出て3日目ぐらいから声が出なくなるなど体調が十分ではない中でも、「明治さんから大好きなチョコレートがもらえるから」と笑わせ、その実、「優勝するとは思わなかったけど、海外の試合は初めてで、直後の週はどういう感覚なのか体験してみたかった」などと、結果こそ首位と8打差の13位に終わったが、したたかなところを見せた。その翌週にはNEC軽井沢72に出場し(本人の直接コメントは見かけないが、軽井沢に惹かれたのではないかと思われる 笑)、体調を戻しつつ、夜中に咳が出て目覚めることが多いとこぼしながら、最終日最終ホール、残り5メートル半のバーディーパットを沈めれば優勝と、全英を制した最終ホールと同じような見せ場を作った。固唾を呑んで見守ったが、強気に打ったパットは惜しくもカップを外して2メートル・オーバー、さらに返しのパーパットも外してプレーオフを逃し、3位に終わった。よほど悔しかったのだろう、その時の取材ではぐっと唇を噛んでいたが、後の会見では「人前で(涙を)見せるものではないので、我慢をしていました。(涙が)出たっちゃあ、出ました」と語っている。この根性は本物だ。
 そして一週休みを挟んで、今週末はニトリレディース(北海道)である(こうして見ると、気候が良いとところを選んでいるようにも見える)。大会前には発熱して急性副鼻腔炎と診断され、「今週は自信がないので、予選落ちしても仕方がないと思います」と弱気な発言も飛び出していたが、昨日二日目を終えて、首位と2打差の5アンダーで4位につけている。なにより、国内ツアーでの連続オーバーパーなし記録を「26」ラウンドまで伸ばし、アン・ソンジュが持つ日本ツアー記録「28」まで後2つと迫った。順調に行けば最終日に到達する。抜群の安定感である。昨日の記者会見では、(この日を振り返って)「疲れました」、(どういう疲れかと聞かれて)「昼スタートというのと、おなかがすいて疲れちゃうのと、コースにも疲れるし、変なところに飛んでいく自分のゴルフにも疲れるのと、歩くのが疲れるくらいです(笑い)」、(後半はバーディーを取ってもニッコリという感じはなかったと言われ)「取ったらうれしいけど、喜ぶ気力もない感じでした」、(首位と2打差の4位と言われて)「このスコアは予想していなかった。ようやってるな、とは思います」、(やっぱり、バックナインの女ですね、と言われて)「ですね。いつまで継続するのだろう(笑い)」・・・これぞ「シブコ節」(笑)
 プロアマで一緒の組で回った中嶋常幸は「ゴルファーとしても人間性もすごくいいなと思った。技術的に完成されていて、言うことなし」と褒めちぎった。
 折しもテニスの全米オープンでは、「節」の元祖(!)大阪なおみが奮闘中だ。一昨日の二回戦には、元NBAのコービー・ブライアントや元NFLのコリン・キャパニックら有名人が観戦に訪れていたらしく、「彼らが来てくれて本当に恐縮している」「すごくうれしい。実のところ、彼らをあまり長く太陽の下にさらしたくなかったので、できるだけ早く決着をつけたかった」と明かした。試合後、ファンサービスする中で、ある少女ファンが目の前を通り過ぎる大坂に感激し、感極まって涙すると、優しくハグ・・・大会公式ツイッターに「これぞ私たちが求める心温まる瞬間」(Heartwarming moments like this one is what we love to see… ←文法ミスは私のせいではない 笑)と題してわざわざ動画付きで公開され、ファンの間に感動が広がっているらしい。
 そう言えば渋野も、全英女子のときに始めたホール移動時のハイタッチは、安全のために控えるとしながらも、帰国後も子供達とはハイタッチを交わしている。全英女子・2日目16番ホールでは、寝そべっていた小さい女の子に笑いかけると、女の子も笑みを返し、最終ホールまでついてきたため、ホールアウト後にボールを渡したことがあった。記者会見で、小さい女の子を得意の笑顔で瞬殺したと問われ、「超かわいい!友だちができた!うれしい」と無邪気に答えた。子供好きで、地元の子供たちと、ゴルフよりも好きと公言するソフトボールに興じることがあるらしい。
 いやはや日本人女子アスリートの、世界で活躍する中で見せる自然体の、しなやかな強さには、脱帽するしかない・・・(笑)
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GSOMIA狂走曲

2019-08-27 00:22:08 | 時事放談
 文在寅大統領は、22日の国家安全保障会議で、GSOMIA破棄を決めた。2016年11月に朴クネ前政権時代に締結され、その後一年毎に更新されてきたが、朴クネ政権を全否定する文在寅政権によって、安全保障すら例外なく覆されたことには、日・米関係者の間に少なからぬ驚きが広がった。前回ブログに書いたように、中・朝への接近が、どのような時間軸で進展して行くのか憂慮している私は、ある程度は覚悟していたとは言え、それでも虚を衝かれた。
 韓国政府によると、日本が輸出管理を厳格化したことへの事実上の報復措置で、「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と指摘し、GSOMIA維持が「われわれの国益にそぐわないと判断した」と主張したという(産経Web)。しかし、そもそもGSOMIAと輸出管理厳格化は、河野外務大臣が指摘するまでもなく、全く次元の違う話である。韓国が、いつまでも輸出管理の何たるかを理解しようとしない、あるいは理解していないフリをするのは、飽くまで政治利用し、米国に対して日本のせいだと詰ることで米国の仲介を期待しているのかと思わせたが、G7で、安倍首相がトランプ大統領と会談した際、GSOMIAが話題にならなかったということは、日・米間では話が通じており、しかもトランプ大統領にとって、日・米・韓の安全保障協力より、日・米貿易協議での成果の方にこそ関心があったと言うほかない。それほどトランプ大統領にとって2020年の大統領選が絶対であり、もはや米・韓同盟など風前の灯火なのだろうか。
 従って、GSOMIA破棄は、日・韓の対立にとどまらず、日・米・韓の安全保障協力に綻びをもたらし、産経Webは「北朝鮮に付け入る隙を与え」「北朝鮮をさらに利するだけでなく、文大統領の対北外交の基盤を崩す可能性も高い」と言うが、これは日本側が希望的観測を以て語る論理に過ぎなくて、文在寅政権は、日・韓の対立どころか、日・米・韓の安全保障協力を捨てても、南・北協力に夢を託し、どれだけ金正恩委員長に足蹴にされようと、北朝鮮に秋波を送っている(と支持層に見せている)と見做さざるを得ない。文在寅大統領も、来年の総選挙に向けて必死なのである。経済がうまく行かないばかりでなく、側近で法相候補の娘さんの大学不正入学疑惑まで持ち上がり、直近の不支持率は5割を超えたそうだ。
 とまあ、米韓ともに政局に貶めてしまうのは理解しやすいが余りに安易でちょっと野暮なので、もう少し掘り下げて思うところを書いてみる。
 米・韓ともに安全保障の「現場」と「政治」とで、乖離しているということだろう。これは由々しき事態だ。韓国では、国防部も外交部も日・韓GSOMIA継続を進言したらしいが、大統領府が立ちはだかったようだ。文在寅大統領自身は、親北のバリバリの左翼で、革命政権だと解説される専門家もいたが、まさかそこまでのことはないだろうと私の中では留保していたところ、確かに、取り巻きの市民活動家あがりで政権を固める連中も含めて、大統領府はイデオロギーに凝り固まっていると思わざるを得ない。歴史認識にしても、従軍慰安婦や徴用工(あるいは出稼ぎ労働者)の問題にしても、自らが考える正義に従い、イデオロギーが優位し、平気で歴史的事実を踏み躙り、現実的なプライオリティ付けが出来ず、外交が成立しなくなる。そして米側、トランプ政権も、言わずもがな。国防総省にしても国務省にしても、報道される通り、失望を禁じ得なかったと報道される一方、トランプ大統領の真意はよく分からない・・・。
 もう一つ付け加えるなら、文在寅大統領が光復節の式典演説で、歴史問題での対日批判を抑制したにも関わらず、日本が無反応だったことが、韓国では問題だったらしい。ちょっと馬鹿馬鹿しいほどだが、続ける。大統領府国家安保室の金鉉宗第2次長によれば、「国家的自尊心まで毀損するほどの無視で一貫し、外交的欠礼を犯した」という。このあたりから見えてくるのは、国家間では往々にして「威信」がイタズラするということだ。これは、2400年前にトゥキディデスが戦争の原因として「利益」「恐怖」「名誉」の三つを挙げた中の「名誉」にあたる。
 更に「誤認」することがいつしかエスカレートして、終には戦争に至った悲劇として、第一次世界大戦のことが思い出される。誰も望まなかったし、予想だにしていなかったが、キッシンジャー博士に言わせれば、誰もが同盟に忠実であろうとしたということになるし、ドイツ参謀本部が帝国宰相に宛てた覚書(1914年7月29日)によれば以下の通りとなる。

(前略)ロシアは、オーストリアがセルビアに進攻すれば、軍隊を動員するつもりであると明言している。ロシアはオーストリアによるセルビアの滅亡を許容できないからである・・・オーストリアは、戦争に向かってあらゆる準備をしているロシアに無条件降伏をする気は恐らくないのだから、その軍隊の一端を対ロシアのために動員せざるを得ないであろう。その瞬間、オーストリアとロシアの間の衝突は不可避となる。ところが、このことはドイツにとって応援義務発生事由となる。もしドイツが、その約束に忠実であって、その同盟国がロシアの優越した手に掛かって絶滅することを許さないならば、ドイツもまた軍隊を動員しなければならない・・・ロシアはフランスの支持を確かめるであろう。同盟の盟約によれば、フランスはその盟友ロシアが攻撃されれば戦争に加わる義務がある・・・こうしてヨーロッパ文明諸国の相互虐殺が始まることになる(後略)

 実はこのときドイツは、ロシアが参戦するなら自ら加勢するとオーストリアに伝えていた。また、ドイツもオーストリアも、まさかイギリスが参戦するとは予想だにしていなかった。学生時代の歴史教科書が懐かしい、「独・(伊)・墺」と「英・仏・露」の争いである。
 ここまで大掛かりではないにしても、韓国の執拗な思い込みと日本の無関心(過去の日・韓関係を振り返れば分からなくはない、最近、政府筋が言って来た、韓国に対する“戦略的放置”に通ずる)との間のすれ違いは、気になるところだ。隣国同士、仲が良いためしはないのが世の常とは言え、ええ加減にせい、という私たち日本人の思いは、どうも韓国には全く通じていそうにない。GSOMIAそのものはともかく、韓国が北や中国の磁場に引き寄せられることになるとすれば、日本の安全保障に小さからぬ影響があるのが、やはり憂慮されるのである。
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哀惜:マスオさん

2019-08-19 00:03:24 | スポーツ・芸能好き
 今日放映された『サザエさん』を最後に、マスオさん役の声優・増岡弘さんが引退された。子供の頃に慣れ親しみ、その後、学生時代から独身時代までご無沙汰したが、子供たちがもの心つく頃から再び親しみ、今は子供たちも離れてしまったのに、家内だけは懐かしがって相変わらず見続けている(私はBGM代わりにして新聞なんぞを読んでいる)『サザエさん』だが、今日はしっかり見届けた(笑)。
 御年83歳だそうだ。それにしてはさすがに声優さんだけあって、最後まで若々しい、しかしサザエさんという実にインパクトのある妻を相手に、妻の実家に同居してご両親にソツなく気配りしながら、甥っ子(カツオくん)・姪っ子(ワカメちゃん)に頼られつつ、飄々と生き抜く夫役を演じて来られたものだ。マスオさん二代目を引き継いだのは1978年というから、私は交替を知らずに、40年以上も慣れ親しんで来たことになる。他にテレビアニメでは、1985年と1998年に「タッチ」の浅倉南のお父ちゃん役を、劇場アニメでも1986年「タッチ 背番号のないエース」「タッチ2 さよならの贈り物」、翌1987年「タッチ3 君が通り過ぎたあとに」で浅倉南のお父ちゃん役を演じておられ、それ以外にも挙げるとキリがないくらいご活躍されているが、マスオさん役と『それいけ!アンパンマン』のジャムおじさん役が代表作と言ってもよいのだろう。
 たかがアニメの端役と言う勿れ。マスオさんは偉大なのだ。因みに「マスオさん現象」とググると、コトバンクに(知恵蔵の解説として)「夫が、妻の実家に、婿入りという形をとらずに同居する家族形態」と出てくる。「嫁入りによる3世代家族では嫁・姑関係が対立しやすいが、舅・婿は平日は仕事のため、家庭内での摩擦は起きにくいといわれている。姓は夫方を名乗るため、夫や夫方の親の体面も保てる。また、同居による経済的余裕や、出産後の妻の仕事継続が容易となるなどのメリットもある。都会育ちの女性と地方出身の男性が結婚する機会が増え、2世帯住宅が一般化した1980年代から使われるようになった」といい、そのせいか、精神科医の和田秀樹さんは「パラサイト・ダブル(寄生する2人)」と呼び、こうした家族形態を推奨しているらしい。それはともかく・・・
 長寿番組(テレビアニメとして放映期間の世界記録をもつ)の宿命で、『サザエさん』に登場する人物の声優は、サザエさん役(加藤みどりさん)とタラちゃん役(貴家堂子さん)を除いて、二代目・三代目がご活躍される時代となった。フネさん以外にはそれほど違和感がないが、フネさんとて変わってもすぐに慣れる。問題は、サザエさんのあの張りのある声を代替し、またタラちゃんの舌足らずで甘えた声を代替するのは、なかなか難しいかも知れない・・・加藤みどりさんはこの11月で御年80、貴家堂子さんも御年78である。原作者の長谷川町子さんが亡くなってから四半世紀以上も「国民的アニメ」として続けて来られた関係者のご努力に敬意を表するとともに、気にしないようにしながらも、サザエさん役とタラちゃん役の後任が気になってしまうのだった。
 何はともあれ増岡弘さんにはお疲れさまと、心からお礼申し上げたい。
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水であれ

2019-08-17 01:18:52 | 時事放談
 香港の若者たちは、今なお逃亡犯条例・改正案を巡って(と報道されているが、その実、真の民主化を目指して)抗議活動を続けているようだ。
 中国政府は12日、「過激なデモ参加者が警官を攻撃した。重大な犯罪であり、テロリズムの兆候が出始めている」と非難した。将来的な武力制圧を正当化するかのように「テロ」という言い回しをしたため、トランプ大統領もさすがに座視するわけには行かず、13日、ツイッターで「米情報機関によると、中国政府は香港との境界に部隊を移動させている」と述べて中国側の動きを牽制するとともに、全当事者に冷静な行動を要求した。トランプ大統領としては、人権問題を懸念すると言うよりも、かつての天安門事件で武力制圧された結果、中国と西側との間で経済交流や諸々の交渉すらも止まってしまったことの再現(つまり米中貿易協議が停滞しかねないこと)を懸念しているようだ(結果として、当時は日本の天皇陛下が中国を訪問することで雪解けが始まったのは、アメリカの要請があったためと言われる)。日本の外務省も14日、香港への渡航について十分な注意を呼び掛ける「レベル1」の危険情報を出したのは、1997年の香港返還後、初めてらしい。そして昨15日、中国共産党の習近平指導部や長老らが集う北戴河会議がどうやら終わったようで、米中問題だけでなく、香港問題についても話し合われたはずで、今後、中国共産党がどのような対応をして来るのか注目される・・・とまあ、他人事のように淡々と書いてきたが、恐らく多くの日本人と同様、一国二制度の香港の行く末を案じている。日本人は、日韓関係では、韓国の国民が不買運動で盛り上がっているようには盛り上がらず(それが日本人の成熟だろう 笑)、香港に対しても盛り上がりを欠くとの批判的な見方があるが、いずれにしても、日本にいる日本人としては応援したくてもどうしようもないのが現実だ。
 今日の日経に、Financial Times紙のギデオン・ラックマン氏の論考「反自由主義こそ時代遅れ」が掲載され、モスクワと香港の市民デモに余りに共通性があることに衝撃を受けた、とあったのが興味深かった。氏は実際に香港と(一週間後に)モスクワを訪問したらしく、両都市での抗議デモの規模は違うとは言え、参加する人たちの士気が極めて高いこと、若者の多さが目立つこと、抗議運動に単一の指導者がいないこと、「見せかけだけの民主主義」に対して怒っていること、そしていずれも一つの不満に基づくものから広範な運動に展開して行った様子が見て取れる、といった点で似ているという。
 本ブログのタイトルはブルース・リーの言葉で、香港のデモ参加者たちのスローガンになっているらしい。まさかブルース・リーが出てくるとは思わなかった。私の世代でブルース・リーに憧れなかった男の子はいないのではないか(!)と思うのだが、私は辛うじて「死亡遊戯」を劇場でリアルタイムに見て、彼に憧れ、エキスパンダーなる道具を買って体力づくりに勤しみ、高校時代、陸上部で真面目に走る合い間に「ブルース・リーごっこ」をしては、亡き彼を偲んだものだった(苦笑)。ジャッキー・チェンは可哀想に中国共産党に取り込まれてしまって、国営中央テレビで「最近、香港で起きたことに心が痛む」「安全と安定」こそが大事だと語ったらしいが、ブルース・リーは既にこの世にいなくて(香港返還も、権威主義的な中国の存在も知らず)幸いだったかも知れない。抗議行動の若者たちは、「水のように柔軟であれ」という彼の言葉に倣って、固定的で予測可能な戦術を採らないようにしているようだ。移動に当たっては、鉄道利用をカード払いではなく現金払いにすることで追跡を逃れるようにしているとかねて報道されていたが、最近は、警察を消耗させるため、短時間で場所を変えながら道路封鎖などの抗議活動を繰り返しているともいう。私も、アメリカ駐在時(と言っても20年前のことだが)、2000人からなる工場を閉鎖するリストラ計画を決めて、別に私のようなぺーぺーが気にしても仕方ないのだが、株主である日本人の一味ということで、人事から、毎日の通勤経路を変えるよう指示されたことを懐かしく思い出す。実際に、私の上司は、自宅に駐車していた車を何者かによってパンクさせられたのだが、それだけで済んで良かったと思う。
 閑話休題。ギデオン・ラックマン氏の論考は、プーチン大統領がFT紙のインタビューで「自由主義的な考え方は時代遅れになった」と発言したことに抵抗しており、確かにトランプ大統領のハチャメチャな発言に接しているとプーチン大統領の言わんとすることも分からなくはないが、人類の歴史上、中・露の権威主義的なありようにこそ無理があり、それを跳ね返せない自由主義陣営にもどかしい思いをしつつ、戦後、アメリカを中心に築きあげてきたリベラルな国際秩序をなんとかして守って行きたいものだと切に思うのであった。
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政治家の本懐

2019-08-12 11:38:26 | 時事放談
 小泉進次郎氏が滝川クリステルさんと結婚することを発表したことには驚いた。二ヶ月ほど前、南海キャンディーズの山ちゃんが蒼井優さんと入籍したことを発表したことにも驚いたが、同じ意外性で驚いたとしても、山ちゃんの場合は、お笑い芸人が女優を射止めたことへの敬意を込めた「天晴れ」の気持ちが強かった(と言っても、必ずしも珍しいわけではなくて、田中美佐子も安田成美も鈴木保奈美も小川菜摘も乙葉も佐々木希も松本伊代も渡辺満里奈も芸人に射止められたのだったが)のに対して、小泉進次郎氏の場合は、ただ単に予想していなかっただけの、「青天の霹靂」だった(なんとなく「天」でひっ掛けてみた 笑)。
 既に彼女が妊娠していると知って二度、彼がまだ38歳だと気が付いて三度、驚いた(笑)。次はともかくその次くらいの総理大事を嘱望されるような人物だから、思わず若いなーと(しかし結婚するには若くないのだが)呟いてしまった。いみじくも石破さんが多少の皮肉をこめて「政治家としての幅がすごく広がるのではないか」と言われたように、政治家への内助の功に期待すると言うよりも、また小泉氏本人が「政治という戦場から離れ、鎧を脱いで、戦うことから解放され、ふっと力を抜いて、無防備な自分でいることができ、救われる思いがします」と言うのもよ~く分かるのだが、先ずは人として、結婚し、さらに子供を持ってこそ広がる視野というものがある。こればかりは経験しないことにはどうしようもない。そして政治がそんな多くの人々の生活にも目配りする必要がある以上は、当然に期待される経験なのだ。
 そうは言っても、内助の功にも期待してしまう。実のところ、滝川クリステルさんのことは、東京五輪誘致の「お・も・て・な・し」くらいしか知らない。しかし、皇后陛下が語学堪能で、世界の要人とも通訳を介さずに話が出来るように、将来の総理大臣夫人もまた英語・フランス語を自由に操るというのは、勿論、政治そのものを離れている(しかし政治に寄り添っている)からこそ、想像するだにexcitingな場面になるだろうと期待してしまうのだ。
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スマイリング・シンデレラ降臨

2019-08-06 00:59:41 | スポーツ・芸能好き
 ゴルフのAIG全英女子オープンで、昨年7月にプロテストに合格したばかりでルーキー・イヤーの渋野日向子(弱冠二十歳)が、あれよあれよと言う間に優勝してしまった。日本勢のメジャー勝利は、1977年の全米女子プロ選手権を制した樋口久子さん以来42年ぶり2人目の快挙だそうである。私の世代で言えば、1987年にアメリカ人以外で史上初のLPGAツアー賞金女王になった、あの岡本綾子さんでも手が届かなかったメジャー制覇である。凄いなあ。
 試合前は全くのノーマークで、先ずは同級生ながら先輩格で既に日米両ツアーで6勝をあげている畑岡奈紗、次いで前週のエビアン選手権でローアマを獲得した18歳の安田祐香が注目されていた。ところが初日に、7バーディー、1ボギーの66をマークし、首位と1打差の2位につけると、予選通過にとどまらず上位も狙える状況で迎える二日目・・・などと報じられ、そこでも4バーディー、1ボギーの69で回り、通算9アンダーで首位と3打差で2位を守り、三日目には、7バーディー、2ボギーの67と伸ばして通算14アンダーで、とうとう二位に二打差をつけて首位に立った。最終日も快進撃は止まらず、7バーディー、1ボギー、1ダブルボギーの68と、四日間を通して唯一人60台で回り、通算18アンダーの270で優勝をかっさらってしまった。
 英紙ガーディアン(電子版)は、笑顔を絶やさずプレーする姿から「スマイリング・シンデレラ」との愛称がを持つ渋野の強心臓ぶりに感嘆し、「(今大会は)スマイリング・シンデレラと呼ばれる選手のおとぎ話のような結末だった」と優勝を称えたらしい。米紙USA TODAY(電子版)は、対戦相手のプレーに対して力強く拍手を送る試合中の渋野の様子を伝え、「このような選手は見たことがない」と絶賛し、終始、笑顔を振りまく姿に「英国のファンは魅了された」と伝えたらしい。
 小学生の頃にソフトボールもやっていたというのは、岡本綾子さんと同じで、体幹が強そうだ。カー娘の「もぐもぐタイム」のように、よっちゃん食品工業の「タラタラしてんじゃね~よ」を試合中に食べていたというので、問い合わせが殺到し、お盆明けから増産するらしい。思わぬところで渋野日向子効果が出ている。
 黄金世代とされるのは、畑岡奈紗(6勝)、勝みなみ(4勝)、新垣比菜(1勝)、小祝さくら(1勝)を追って、一年遅れで渋野日向子(3勝)、河本結(1勝)、原英莉花(1勝)、大里桃子(1勝)と、ツアー優勝経験者が既に8名という錚々たる顔ぶれで、皆、1998年度の生まれで同級生というから驚きである。私の子供たちの世代だから、なんとなく分かるが、今までにない日本人(新人類は死語?)という感じがする。どうかこのまま伸び伸びと活躍して、日本の閉塞感を打ち破って欲しい(笑)。
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朝鮮半島情勢(後)

2019-08-03 11:30:57 | 時事放談
(後半部分を大幅に書き直しました)
 日韓の不幸とも言える歴史問題がで~んと横たわっているのは厳然たる事実であろうし、歴史的な東アジア秩序としての華夷秩序のもとで、本来の優越意識が屈折して却って劣等意識となって一部の韓国人の性根を歪めてしまっているのもまた事実であろう。極端なことを言えば、韓国が日本に対して、戦争あるいは何等かの別の形で明確に「勝った!」と思えるまで、続くことなのかも知れない。
 しかし、どうもそれだけでは納得しがたい。
 韓国の歴代大統領は、退任するや、自殺に追い込まれるか刑務所に送られて来たのは周知の事実で、近代民主国家では尋常なことではない。それだけ韓国という国は、これも儒教社会の故と言えるであろうが、三韓を起源として、内政における左右の対立が激しく(左右に北を加えれば三韓、三つ巴の争いになる)、この点にもっと注目されてもよいのではないかと思う。実際に、韓国内部でも歴史認識問題があって、文在寅大統領のようなバリバリの左派は、金大中氏よりも前のことを、独立した韓国の歴史だと認めていないと言われる。すなわち、朴クネさんのお父ちゃん(朴正煕)や1987年以前に保守・軍事独裁政権で活躍された面々は、日本統治に協力した「積弊」であって「清算」すべきものであること、従って、その当時締結された日韓基本条約を無視するとしても、文在寅大統領の頭の中では、独立国・韓国が締結したものではないから当然だと思っている可能性がある(もとより日本をはじめ国際社会は、外形的には1948年8月15日を以て韓国を独立国と見、従って、国内事情によって条約(日韓基本条約 1965年)をないがしろにするのは明確なウィーン条約違反と認識するのだが)。そして、韓国の内政の争いに、日本が政治利用されている・・・そんな被害妄想を、私は最近抱き始めている(笑)。
 さらに朝鮮半島の内政のレベルにとどまらない、地域の問題がある。
 学生時代、国際社会にはいくつもの(国の数だけ)「正義」(あるいは「常識」)があると学んだ。共通の価値観のもとに国家を形成し、憲法をはじめとして法整備し、警察制度と裁判制度を整えて、正義を認定して正義ではないものを取り締まって安定を図る国家のありようと、そうした共通の価値観を持ちにくいし強制力をも持たない国際社会のありようとは、明確に違うことを学んだ。それほど国際社会で合意を目指し、あるいは平和を語るのは難しい。ところが、中国や韓国の儒教社会では、自らに「正義」があると思い込んだが最後、相手を只管、非難する一方だから、始末に負えない。恨みは一代に留まらず、墓を暴くなど、一族の問題とみなすほど執念深い。すなわち自らが考える「正義」の前に時効はなく(盧武鉉政権の2005年「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法」で、日本統治時代に協力した韓国人の財産を没収するという、法の不遡及と財産権の双方に抵触するような立法を行っている)、自らが考える「正義」の前には国際的な約束も劣後する(従軍慰安婦問題や徴用工問題)。日本は、秀吉の頃にまで遡って、その恰好のターゲットとなっている(しかし元寇のときには元による日本侵略のお先棒を担いだのは朝鮮族ではなかったかと言いたいところだが 笑)。その文脈で、中国にとって日本は対米交渉のカードになっているように、韓国にとって日本は内政でのポジション争いのカードになってしまっている。カードにされるだけの価値がそれなりにあることは喜ぶべきだが(苦笑)、まともに正面から扱われないのは実に腹立たしい(爆笑)。まあ、それはともかく、中国や韓国といった儒教社会のそれぞれの「正義」については我々も一応は理解するから、日本にもまた「正義」があることを彼らは一応は理解するべきであろう。それが近代国際社会の相互主義というものだし、日本国民の怒りの根源はそのあたりにありそうだ。しかし、彼らに近代国際社会の道理が通じるのか甚だ心許ないし、彼らの内政の不安定あるいは政治の弱さは、そうした余裕を許さないところが実に悩ましい。日本が戦争を引き摺り贖罪意識が濃厚な時代には、日本が譲歩することで遣り過ごすという、穏当な解決の仕方が続いたが、さすがに70年以上も経てば環境は変わる。いや、400年以上昔の秀吉のことをつい昨日のことのように語る民族にとって、70年前はついさっきの出来事なのかも知れないが・・・
 東アジアの秩序観なり歴史認識が特異であるのは、マレーシア駐在時代、中国系マレー人の上司との会話からも類推できる。日系企業に勤めながら、日本式経営に興味を持たれて、50を過ぎてから大学院に通うような勉強家で、漢字は読めるが英語しか話せない、イギリスの大学院留学という、言わば東南アジアの典型的なエリートと言えよう。その上司とは妙にウマが合って、いろいろな議論をしたのが懐かしいが、その中の一つで、彼は、日本はもっとアジアでリーダーシップを発揮するべきだと言う。10年ほど前のことである。いや、日本は太平洋戦争でアジア諸国に迷惑をかけたから、そのトラウマがあって、前に出るのを躊躇する(だからいつも後ろから支える)のだと答えると、戦争は今の日本人の世代の問題(責任)ではないと一喝された。同じアジアでも、東アジアと東南アジアは違うものだと、また同じ中国系民族でも華人(東南アジアで原地化した中国人)は違うものだと、感心したものだ。恨みが消えているとは言わない。しかし、過去は過去、私たちが生きているのは現在であって、現実的に対処する。
 韓国の現状は、文在寅という個人の問題だと考えたい心理が働くのを抑えることが出来ないのが正直なところで、実際に政策が上手く行かず、さらに彼の活動家としてのキャラクターによって増幅されている部分は大いにあると思うが、アメリカがドナルド・トランプという個人の問題ではないように、やはり、以上に述べて来たように、ちょっと極端ながらも、その国が行き着いた一種の「結果」あるいは「現象」と言うべきだろう。それがまがりなりにも自由な民主主義社会というものだ。韓国社会は、日本統治時代も含めて、高度に、しかしイビツに発展を遂げ、社会の分断を深めてきた。最近はトランプ大統領が雪解けさせようとちょろちょろ刺激を与えている南北境界線に象徴されるように、東西冷戦時代が凍結されたままで、根本的な解決に至っていないという問題も抱えている。
 百田尚樹さんは「やったで!韓国、ホワイト国除外決定!さあ、韓国がどんな報復措置を取ってくるか、楽しみ。頑張れ、韓国。底力を見せろ!」とツイッターで韓国を挑発したのは、ちょっとおふざけが過ぎるが(苦笑)、「マジレスすると、2019年8月2日は、日韓関係のターニングポイントになるだけでなく、日本という国家にとっても大きなターニングポイントの日となる気がする。というのも、戦後、日本が外国に対して決然とした態度を取った初めての日となったからだ」ともツイートされているのは、これもやや大袈裟ながらも、今回の日本国政府の態度には、韓国、ええ加減にしいや、という悪弊を断つ覚悟を感じるのは事実だ。
 さらに今後5年あるいは10年というスパンで考えると、中国による華夷秩序になびく南北朝鮮と、何故か昔から西欧寄りの日本が対峙する場面が容易に想像されるのである。かつての米ソ冷戦ではヨーロッパが正面だったのに対し、新・冷戦とも言われる米中対立では東アジアが正面となる。今はその序曲で、これから益々厳しくなるのではないか、日本はその覚悟と備えは出来ているのか・・・ということが問われなければならないのではないだろうか・・・とは、実に悲観的なブログだ(笑)
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朝鮮半島情勢(前)

2019-08-03 00:39:29 | 時事放談
 北朝鮮は相変わらずミサイルをぶっ放し(7月25日、31日に続き、この1週間余りで3回目)、相当、欲求不満がたまっているようだ。短距離弾道ミサイルらしいので、トランプ大統領を刺激しないよう配慮していることは読み取れる。もしこれがオバマ大統領だったら一顧だにされなくて、トランプ大統領だからこそ、交渉相手として望みを繋いでいるのだろう。しかし、北朝鮮には、ICBMも、搭載する核弾頭の小型化も、当面は開発に進展なし、とアメリカに見切られている可能性がある。そのため、トランプ大統領はBig Deal(核の完全放棄)にしか興味がないこととも相俟って、これに反応しない以上は、北朝鮮のことは放ったらかし、というわけだ。他方で、国連安保理による対北朝鮮制裁は続いており、北朝鮮は抜け穴を通してなんとか食い繋いでいるものの、厳しい状況が続く。つまり、これまでも本ブログで何度か言って来たように、時間は明らかにトランプ大統領に味方して、放ったらかしにしても、自らは何も失うものがないと確信しているのであろう、まさにトランプ大統領の思うツボ、トランプ大統領お得意のディールの罠に、金正恩委員長はまんまと嵌ってしまっている。金正恩委員長の欲求不満は、こうした膠着状態に自らの意思を貫けない、やり場のない怒りを反映しているように思われる(このあたりは飽くまで米朝の問題であって、日韓のリスクは残される)。
 ところが、このあたりの状況については、トランプ大統領を貶めたいマスコミは完全に誤解しているのではないだろうか・・・と、前置きはさておき。
 今日、日本国政府は、輸出管理で優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を、粛々と閣議決定した(因みにホワイト国という呼び方も変えた)。この一ヶ月の経産省(とりわけツイッターで事実を正確に伝えようと努力された世耕大臣)と菅官房長官のブレない一貫した対応は見事だった。
 輸出管理の企業実務を担当する人の目から見ると、韓国の対応は酷いようだ。昨日も河野外務大臣と韓国の外務大臣との会談がバンコクで行われたが、日本が安全保障理由で輸出管理の運用を見直そうとしているのに対し、では韓国の輸出管理に懸念があるとする日本の問題意識が具体的にどこにあり、それを是認して対策を打つのか、それとも反論して現状の管理体制の妥当性を証明するのか、いずれかの対応になるだろうと一企業人として期待するところだが、日経などの報道によれば、どうもそうではなく、韓国は「ホワイト国」から韓国を除外する方針の撤回を求めた、閣議決定される場合には必要な対抗措置を講じるしかない、などと、およそ大臣クラスの協議には程遠い、子供のケンカとしか思えないやりとりだというわけである(実は、韓国の外交は大統領府に牛耳られ、日本では官邸に出向中の経産省出身者に牛耳られ、双方で外務省が機能していないと言われるのは、事実だとすれば問題である)。
この一ヶ月、こと輸出管理に関して、韓国は戦略的ミスを犯したのではないかという。
 韓国は当初から輸出管理を理解していない、と言うよりも、理解しようとしないか理解していない振りをして、政治問題化して、連日、マスコミを通して感情的に大騒ぎして来た。今日の閣議決定を受けた文在寅大統領の発言は、とても理性ある自由・民主主義国のリーダーのそれではない。曰く、「韓国政府と国際社会の外交的解決努力を無視し、状況を悪化させた責任が日本政府にあるのが明確になった以上、今後起こる事態の責任も全面的に日本政府にあることをはっきり警告する」(一体いつから国際社会が同意したというのか?)、「強制労働禁止と三権分立に基づく民主主義という人類普遍の価値と国際法の大原則に違反する行為だ」(一体いつから強制労働禁止が民主主義の要件になったのか? あるいは人類普遍の価値にまで、他をさし措いて、高められたのか? そもそもいま問題の徴用工は強制ではなかった人たちだとされるがどうなのか、国内にあっては遡及効を認め、あるいはウィーン条約を無視しているのは韓国の方ではないのか、実に疑問が多いフレーズ)、「深刻に受け止めているのは、今回の措置が韓国経済を攻撃し、経済の未来成長を妨げ打撃を加える明らかな意図を持っているという事実だ」(今回の運用見直しのどこが韓国経済を攻撃するのか? 韓国経済の不振を日本のせいにする言い訳でしかない)といった塩梅である。所詮、大統領発言は内向き、すなわち国民向けのメッセージでしかないところに、韓国という国の浅ましさと悲哀があるのだが、それは余談である。ともかく今日の経産省の措置は、さすが日本のお役人は優秀で、「ホワイト国からの除外」という、それほど実害はないが(手続きが多少煩雑になるにしても)象徴的意味合いの点でインパクトがあり、さらに当初の三品目のように包括許可が使えなくなる範囲を広げるといった発展可能な仕掛けも仕込んでいるという。ところが韓国は、当初から国際的な自由貿易からの逸脱だのWTO違反だのと全く筋違いの最大級の非難を注いできたものだから、実はそこまで騒ぐほど大したことではないのが事実だと判明しても、もはや引っ込みがつかなくなったのではないか、という。何ともお粗末な話だ。
 朴クネさんの告げ口外交は有名で、欧米のその筋ではどう受け止められていたか、単に信頼性を失っただけで、アメリカでは巷間Korea Fatigue(韓国疲れ)などと陰口を叩かれたものだった。今回の輸出管理を巡るWTO提訴も、その場で反応がなかったのを、韓国は「異議なし」と自己正当化するコメントを発出したが、ロイター通信は端的に「却下」と伝えた。なんというギャップであろう。韓国にとっては“恥晒し”でしかない。ことほど左様に一事が万事とは言わないまでも、どう見ても徴用工問題(あるいは戦時中の韓国人労働者問題)も、慰安婦問題も、レーダー照射問題も、同じように韓国は独善的で、論点をはぐらかし、政治問題化して、日本の譲歩を迫るばかりのように思えてならない。つまり、相変わらずではあるが、韓国では、とりわけ日韓に限れば、まともな外交が成立しているようにはとても見えないのだ。問題は、何故、かくも韓国の外交は、相手が日本となると、まともに成立しないのかということであろう。
(これ以降、書き直しのため、いったん切ります)
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