風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

サヨナラ慎ちゃん

2019-09-28 15:13:17 | スポーツ・芸能好き
 巨人の阿部慎之助が現役引退する。
 昨日、DeNAとの本拠地での最終戦、東京ドーム最寄り駅のJR水道橋駅構内の電光掲示板にも「阿部慎之助選手 19年間おつかれさまでした。今後も巨人軍を永久に導いてください!! ♯ありがとう慎之助」という文字が流れた。この「ありがとう 慎之助」と銘打った試合で、懐かしい「4番捕手」のコールで先発出場した。先発投手は、阿部に今、受けたい投手に指名されたマシソン。4年前、相手打者のファウルがマスク越しに顔を直撃して首を痛めたことが、阿部が捕手を離れるキッカケとなったのだが、その時にマウンドに立っていたのがマシソンだった。続いて、2回には中央大の後輩でもある澤村がマウンドに。2012年の日本シリーズでサインを見落として頭をポカリと叩いた場面が、つい昨日のことのように蘇るが、昨日もサインが合わずに(と見せかけて)マウンドに駆け寄って叩くふりをするパフォーマンスを見せ、笑顔で握手を交わして、その後、阿部は一塁に引いた。4回の第2打席では、プロ通算406号となる今季7号ソロを鮮やかに右翼席中段に突き刺した。本人曰く「打たせてもらって、もう感無量。全球、真っすぐを投げてきてくれた。彼は若い投手。『申し訳ない』と思いながら『ありがとう』と」。この日は、阿部が入団したときの監督だった長嶋さんも観戦に訪れていた。思えば45年前、長嶋さんも引退試合でホームランを放ち、「まだいける、まだいける」という関西弁のおっちゃんファンの声援がテレビ放映で拾われて思わず苦笑したものだったが、まさにそう言いたくなるような、全盛期を彷彿とさせる阿部らしい弾丸ライナーだった。
 阿部慎之助と言えば、お父ちゃんはあの掛布と同級生で、3番掛布、4番阿部のクリーンナップを組み、お母ちゃんはピーター(池端慎之介)の大ファンで(私もそうだったが)、命名はピーターに因む(介と助が違うが)。Wikipediaからの抜書きになるが・・・2001年、巨人としては山倉以来23年ぶりに新人捕手・開幕スタメン(8番・捕手)し、初打席・初安打・初打点を含む4打点を挙げる鮮烈デビューを飾った。翌2002年には、8月の3度を含む4度のサヨナラ打を記録し、今日のブログ・タイトルの通り「サヨナラ慎ちゃん」と呼ばれるようになった。2004年4月はメモリアルな月で、6試合連続を含む月間16本塁打は、王さんの球団記録を更新した(門田などと並ぶ日本タイ記録)。2007年にはチームの主将に任命され(2014年まで8年間)、6月9日の楽天戦で巨人軍第72代目4番打者になった。その後も、捕手という過酷な、しかしチームの要となるポジションで、ケガに苦しみながらも活躍し、2010年には捕手として野村・田淵に次ぐ史上3人目のシーズン40本塁打を達成し(最終的に44本で、本人として生涯シーズン最多)、2011年には連続守備機会無失策のセ・リーグ新記録1709を達成した。2012年は本人にとって恐らく最高の年で、初の個人タイトルとなる首位打者、打点王、最高出塁率のタイトルを獲得した(後にも先にもこの年のみ)。本塁打はバレンティンに4本差の2位で、惜しくも三冠王を逃した。このときの打率.3404は古田の記録を上回る捕手の最高記録、打点は両リーグで唯一100を超える104、三振数は規定打席到達者の中でセ・リーグ最少、出塁率・長打率は12球団トップで、セ・リーグMVPを獲得した。2013年のシーズン終了後、年俸6億円(推定)は松井秀喜と並ぶ球団最高年俸タイ、両リーグ併せて史上2位タイとなる。2017年に史上49人目の通算2000本安打を達成したことはブログにも書いたが、巨人の生え抜き選手では柴田勲以来37年ぶり5人目、また21世紀に入ってからのドラフト指名選手で初の栄誉である。昨2018年は岡本の活躍もあって出場機会が減ったが、入団1年目から18年連続となるの二桁本塁打は、清原・張本に次ぐ歴代3位の長さである。そして今年6月1日のシーズン初本塁打で、史上19人目となる通算400本塁打を達成し、巨人在籍中の達成は王・長嶋に次ぐ3人目、捕手としての達成は野村、田淵以来、史上3人目、捕手で2000本安打と400本塁打をともに達成したのは野村に次いで2人目となる。
 長々と書き連ねたが、記憶に残る、球界を代表する強打の名捕手だ。かつてドラフト前に、あるスカウトは「阿部くんを獲得できれば、15年はキャッチャーの心配はいらないと本気で思っていた」と語ったそうだが、大袈裟でもなんでもなかった(ケガには苦しんだが)。権藤博さんは「打撃は天才的。高めの速球を逆方向に飛ばす選手は珍しくなくとも、低めの変化球を左中間スタンドに放り込む技術とパワーを持った選手は、阿部の他にはそういない。打者としては、天才の上に「超」をつけなくてはいけない選手だった」と称える。ベストナイン9回、ゴールデングラブ賞4回、オールスターゲーム出場13回。捕手としてのキャプテンシーにも定評があるが、自主トレに坂本勇人や小林誠司をはじめ多くの若手選手を自費で帯同させる面倒見の良い先輩でもあった。25日の引退記者会見では、記者たちが皆、背番号10のユニフォーム上着を着るサプライズで、周囲からも愛された選手であることが忍ばれる。その会見の模様を伝えるAbema記事から引用する。

(引用)
 「野球とは?」と問われると「野球とは…」と自問自答するようにつぶやき、さらに「ん~…」「野球とは?」ともう一度続け、およそ10秒の沈黙を経て静かに心の中にある思いを語り始めた。
 「一寸たりとも心の中から消えないものですよね。何かしている時も、たぶん心の中には野球しかなかったんじゃないかなと思います」
 さらに阿部は「死ぬ寸前まで野球が好きなんじゃないですかね」と続けると、自らの気持ちを確かめるように数回頷いた。
(引用おわり)

 華のある選手で、私にとっては清原の次の世代のアイドルだった(因みにイチローはその真ん中に位置し、三人とも野球小僧!)。私の気のせいに過ぎないが、彼の打球が描く弧の鋭さと美しさは随一と思わせた。ヒーローインタビューの「最高で~す!」はワンパターンで物足りないが、彼ならしゃーないなーと思わせた。
 昨晩のセレモニーで、最後まで涙を流さなった理由を聞かれて、「日本一になって泣こうかなと思っている。感極まるところはいっぱいあったが、自分にはまだこれから大事な試合があるのに、涙を流してしまうと気持ちが切れてしまうのではと思ったので我慢してます」と明かした。23日にチームメイトに呼び掛けたように、日本一となって花道を飾り、目いっぱい泣かせてあげたい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャック・マーの引退

2019-09-26 22:32:53 | 時事放談
 今月初めに、中国アリババ集団の創業者・馬雲(ジャック・マー)氏が引退した。予告されていたこととは言え、55歳とまだ若い。もともと杭州で英語教師だったこともあり、今後は教育慈善活動に活躍の場を求めるという。功なり名を遂げて悠々自適の引退だと見る人は、まさかいないだろう。そんな彼の引退スピーチがなかなか興味深かったようで、日経ビジネス・オンライン記事から引用する。

(引用)
 マー氏は引退に際し、アリババの社員たちに対して、ビジョンと社会に対する責任感を持ち続け、社会に貢献する企業であり続けるよう語りかけた。そのスピーチは高い志と説得力に満ちた内容だった。
だが、1カ所だけ引っかかりを覚える部分があった。「今日、私たち中国人は非常に自信を持っているが、自分たちの自己認識と、私たちに対する世界の認識は大きく異なっている。世界は中国を恐れている。技術を恐れている。強い会社を恐れている」という一節だ。その後には「技術が善意から出発することを望む」と続く。
(引用おわり)

 その後、福島香織さんによると、テンセント(騰訊)創始者の馬化騰氏やレノボ(聯想集団)創始者の柳伝志氏が、馬雲氏の後を追うように次々とビジネスの現場を去ることが明らかになったという。
 そして今朝の日経には、「中国、民営企業に政府人材」というタイトルの記事が出た。浙江省杭州市政府は、アリババ集団や、人口知能を使った監視カメラ・メーカーの杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や、自動車大手の浙江吉利控股集団などに、課長級を中心に100人を派遣することとし、河南省など他の地方政府でも同様の動きが始まったという。派遣される幹部は経営に携わるのではなく、その企業の政府窓口の責任者に就くという。新しいサービスを展開する際に必要な地方政府の許認可や補助金を素早く取得できるようにし、また資金調達や用地・人材の確保で地方政府の支援を受け入れ易くするなどの役割を果たすという。
 津上俊哉さんに言わせれば、停滞しつつある中国経済を浮上させるためには、資金調達のほか何かと政府の支援を独占して来た国営企業を中心とする重厚長大型のオールド・エコノミーではなく、GDPの6割を占めるに至った民営企業を中心とするネット関連のニュー・エコノミーを育てなければならないのに、共産党政府は逆のことばかりしている、ということだった。そういう意味では、正しい方向に踏み出したかに見える。
 フィナンシャル・タイムズは、アリババ傘下の芝麻信用と騰訊征信は、かつて共産党政府に顧客ローンのデータを提供することを拒否したことがあり、今回の馬雲氏や馬化騰氏の引退と関係があるのではないかと見る。共産党政府はかねて人民元の海外流出を警戒しており、個人としても海外投資に積極的だった馬雲氏に対する圧力があったとする見方もある。再び福島香織さんによれば、チャイナ・ウォッチャーの間では、中国共産党政権がいよいよ民営企業の改造に着手したとの見方が出ているらしい。これら民営企業は社会インフラを提供するものとして、もはや無視できない存在であり、共産党政府は体の良い私有財産の接収を通して、市場をコントロールせんとするものであろう。
 昨年10月、ペンス副大統領は、ハドソン研究所での有名な演説で、まるでルターが「95か条の論題」でカトリックを告発したように、あるいはアメリカ独立宣言でイギリス国王の悪行三昧をあれこれ追及したように、事例を事細かに挙げては「中国の特色ある社会主義(あるいは国家資本主義)」を糾弾した(のはプロテスタントの習性であろうか 笑)。馬雲氏の引退スピーチは、こうした米中ハイテク摩擦に伴うアメリカでの風当りの強さを捉えたものだろう。今回の中国の一連の動きは決して偶然ではないし、反中に舵を切ったアメリカに反発するかのように見えるが、恐らくそうではなく、直接には国内経済の引き締めと建て直しを図る善意のものと思われる。しかし結果として見れば、やはり米中摩擦の火に油を注ぐことになる。中国経済そのものの行方や米中関係の今後はとても見通せない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シブコ効果

2019-09-23 00:41:23 | スポーツ・芸能好き
 どうも日韓関係にはうんざりし、米中および米朝関係が膠着する中で、スポーツに逃げているつもりはないのだが、今週末は嬉しいスポーツ・ニュースが重なった(さしずめハットトリック)。
 先ずはタイトルにもあるように、シブコがデサント東海クラシックで、首位との8打差をひっくり返し、国内3勝目を挙げるとともに、今季の獲得賞金(生涯獲得賞金)1億円を突破した。ルーキー・イヤーだから、昨年は当然のことながら賞金「ゼロ」である。サラリーマンには夢のまた夢(笑)。目まぐるしく変わる天候をも味方につけた。シブコがスタートした時には風は穏やかで、快調にスコアを伸ばし、首位との差を着々と詰めていったのに対し、ホールアウト後は風雨が強まり、最終組のスコアは伸び悩んだ。前日の9番ホールでは、シブコ曰く「殺人ボール」が、男性ギャラリーの背中を直撃し、謝罪した上でサインボールをプレゼントして、その誠意ある対応に周囲から温かい拍手が湧き起こったというが、ことさらに強調するまでもない。
 続いて、「3回目の挑戦で大坂(なおみ)が大阪で勝った」(本人の弁)。東レ・パンパシフィック・オープンでの日本勢の優勝は、1995年の伊達公子以来、実に24年ぶり2人目の快挙だそうだ。降雨のため、前日は準々決勝と準決勝のダブルヘッダーをこなすという、テニスにしては珍しい一日となった。その準々決勝では、マッチポイントを握ったところで、対戦相手のユリア・プティンツェワが左足首をひねって負傷すると、大坂はすぐさまタオルと氷を持って駆け寄り、コート上にタオルを敷いて心配そうに寄り添うという、実に麗しい場面があったが、これもことさらに強調するまでもない。
 臨床心理士で明星大心理学部准教授の藤井靖氏によると、(シブコの)笑顔は、課題を克服し安定した情緒を維持するための対処行動なのだそうだ。笑顔にそのような効果があるのは、感情をコントロールする作用があるからで、通常は嬉しい・楽しいなどの感情が基になって笑顔が作られるが、逆に笑顔を作ることによって、ポジティブな気分に誘導されやすくなるということだ。また、(シブコの)笑顔はギャラリーや周囲の人の笑顔や激励をも引き出す。彼女は、ギャラリーの応援が力になったことをたびたび述べており、多くの聴衆に注目される環境が、自分のパフォーマンスを向上させることを経験的に知っているのだろうと言う。つまり、作られた舞台の影響が「良いスコアとして表れる」→「ギャラリーが盛り上がる」→「モチベーションやスコアが更に向上する」といった、本人と環境との好循環が生まれているということだ。
 もう一つ、藤井氏は、他のトップゴルファーと一味違うシブコの類い稀なる点として、「ゴルフに取り込まれ過ぎていない」ことを挙げる。お菓子を食べながら、緊迫した場面でもキャディーと談笑しながら、まるでプレー終了後であるかのようにギャラリー対応をしながら、どこか他人事のようにゴルフに向き合っているのではないかと言うのだ。これも一種の新人類かと私は思っていたが、自分のことであっても、物事を遠い空を飛ぶ鳥の目で俯瞰するようにしてみたり、他人事のように一歩引いて考えられたりするのは、強いメンタルを作り上げるうえで必須の要件だと言われると、なるほどと思う。こうしてシブコなりによい距離感でプレーと向き合い、良い結果につながっているのだろう。プロ・ゴルファーでありながら、今もなおゴルフよりソフトボールが好きだと言い切れるところにも、その微妙な距離感が表れているように思う。
 こうして(特に全英でのシブコの振る舞いは)、以前ブログに書いたことだが、最近ちょっと吹っ切れたように見える大坂なおみにも多少なりとも影響を与えているのではないかと邪推している。全米オープンの3回戦や今大会の準々決勝で見せた相手選手への思いやりは、もとより作りごとではなく、彼女本来の優しさが迸ったものだろう。しかし、いざラケットを握ってコートに立つと情け容赦しない(笑)、切り替えの見事さも、シブコに繋がるものがあるように思う。
 さて、この週末のハットトリックの三つ目は、(シブコ効果とは関係がないが)原・巨人が5年ぶりのリーグ優勝を決めたことだ。今さらとは思うが、巨人ファンは辞められない(苦笑)。今季は、原さんの采配に尽きるように思うが、前任監督の高橋由伸から引き継いだ若手が活躍したし、丸や炭谷やデラロサをはじめ、期待外れの岩隈や中島やビヤヌエバやクックなど、総額40億円になんなんとする大型補強のお陰でもある。優勝が決まって、選手が待つマウンドへ向かう原さんが溢れ出る涙を何度もぬぐい、「年を取ると涙腺が弱くなるのかもしれません」などと語ったようなバタ臭さが、案外、今年の巨人の結束を強めた最大の要因だったのではなかったかと思ったりもする(笑)。
 この三者に共通して言えることは、自然体を曝け出せるのは強いことの証ではないか・・・と思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シブコ渋滞

2019-09-20 21:58:55 | スポーツ・芸能好き
 ゴルフ稼業もなかなか忙しくて大変だ。4日間の日程の場合、月~水と3日間休むだけで次の大会へ、今週はしかし4日間休んで今日からデサントレディース東海クラシックが始まった。今日の初日は黄金世代の同級生、渋野日向子(シブコ)と原英莉花と新垣比菜との三人組だったものだから、和気藹々、大ギャラリーを引き連れてのラウンドだったようだ。
 先週のシブコは、全英を制してから初の西日本での、地元・岡山に近い神戸の大会初日に、国内女子ツアーでのオーバーパーなし記録を「29R」に伸ばして歴代単独トップに立ったが、記録はそこで途絶えてしまった。それなのに記者からの質問にはいつも通りの笑顔でハキハキと答えて、やはりタダモノではないと感じる。週末となった三日目以降は、周辺の道路が混雑する「シブコ渋滞」や、コースに向かうバスを待つ「シブコ行列」も起きたと報じられた。
 一体、私を含むオジサンたちを中心に、これほどまでに注目を集める魅力は何だろうかと思う。
 地元のゴルフ練習場でも、すぐにオジサンたちと仲良くなるのだと、本人はオジサン・キラーを自称していた。スマイリング・シンデレラと呼ばれる笑顔を向けられると、明るく幸せにしてくれるし、ついデレッとしてしまうのもよく分かるが、海外メジャーで優勝しようが、変わらない、大物らしくない、話しかけ易い雰囲気に包まれているのは事実だろう。全英女子では、ホールからホールへニコニコと最大限の愛嬌を振り撒きながら移動し、クラブを握るや表情は一変、集中してささっと仕事を片付ける、手際の良い仕事師振りがまた颯爽としていてカッコイイのだ。そしてインタビューを受けるとシブコ節である。こうしてルーキー・イヤーであるにも関わらず、プロとしての完成度が高いのは見事だ。いや、完成されているのではなく、天性のものだろう。
 「プロフェッショナル」とは、英語では「職業としての」というほどの意味だが、アマチュアと違って技量がずば抜けていることに加えて、客商売だからファンを楽しませることにも秀でていなければならない。その意味で、イチロー(最近メディアは「さん」付けにするが、気持ち悪いので、商標として呼び捨てにする)は技量が優れているのはもとより、インタビューも個性的で、私たちを存分に楽しませてもくれた。それを彼なりに計算しているようなところもあった。松井秀喜も同じスーパースターだが、インタビューは優等生的でイマ一つどころかイマ二つくらいだったのとは対照的だ(が、キャラクターはクソ真面目でもなんでもなく、お茶目だ)。シブコもまた、技量が並はずれている上に、ファンを楽しませてもくれる。ゴルフが楽しい!(今でもソフトボールの方が好きらしいが)と思わせてくれる。断筆(ならぬ断クラブ)宣言中の私にも、ゴルフって良いよなあ・・・と思わせてくれる。
 岡本綾子さん(私たちの世代にとっては世界のアヤコさん、だ)から、先週末、次のような見立てが伝えられた。「渋野さんはもう、いっぱいいっぱいでしょう。初優勝した5月の頃の歩き姿と比べて、今は背中が丸くなっているし、さすがに体が疲れています。今年最初、3月にツアーに出た時は一人もギャラリーがつかなかったのが、それが今は大勢になっているのですから。体を休めることもままならないでしょう。でもそれが“騒がれる人”の仕事。岡本綾子もそれを30年やってきたわけですから。時代は繰り返されるということ。乗り越えていくしかありません。途中下車はできませんからね。」 シブコ自身も全英から帰国後は「顔バレするし、プライベートはなくなったかな。ひっそり生きていきたかったのに」とジョーク混じりに戸惑いを漏らしたらしい。しかし今日は5バーディー(2ボギー)を奪って上々の滑り出しに、「久しぶりに良い気分。楽しくできた。回るメンバーが良かったのが一番大きい」と語ったそうで、良かったね。
 指導する青木翔コーチは「シブコはまだまだ下手くそ。やることはたくさんある」と話していて、本当にこれからが楽しみな、ゴルフ界の至宝だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マラソン・グランド・チャンピオンシップ

2019-09-16 13:08:26 | スポーツ・芸能好き
 東京オリンピックのマラソン日本代表選考レースMGCが行われた。瀬古さんが「日本一小さいマラソン大会だが日本一エキサイティングなレースになる」と期待を込めていた通り、四強の大迫傑(現・日本記録保持者)、設楽悠太(前・日本記録保持者)、井上大仁(アジア大会の金メダリスト)、服部勇馬(福岡国際の優勝者)を含む男子30人、女子10人の実力者が勢揃いし、最後までもつれる白熱した展開になった・・・と言っても、男子の30Km過ぎたあたりまでしかテレビ観戦せず、その後、外出してしまったので、残念ながら肝心の終盤戦を見ていない。YouTubeに、TV画面を外からビデオで撮ったらしい最後の8分映像が載っていて、辛うじて堪能した。
 東京オリンピックが(もっと言うと日本記録更新で1億円ボーナスが!?)モチベーションに繋がっているのか、最近の男子マラソンには少し動きが出ており、名前を覚えていなくてもなかなか有望な選手がいて、結果として、私には馴染みのない中村匠吾が優勝した。気温が30度近い暑さの中で2時間11分28秒は見事だった。2013年の箱根駅伝3区で駒大2年だった中村は、四強の内の三人、大迫(早大)、設楽(東洋大)、井上(山梨学院大)と同区間で対決し、同学年の井上には勝ったものの先輩2人に敗れて区間3位に終わっていたそうだ。今回、リベンジが叶ったことになる。
 テレビ観戦中にはぶっちぎりだった設楽悠太は、普段の振る舞いから「宇宙人」「異端児」と呼ばれる通り、また事前の会見で大逃げと予告した通り、この高温でも帽子やサングラスや飲み物でも暑さ対策をしているようには見えず1キロ3分ペースを刻むという異次元の走りでハラハラドキドキ楽しませてくれたが、25キロ過ぎからペースを落とし、37キロ過ぎで2位集団に吸収され、最後は14位に沈んだ。
 私が一番期待していたのは、大迫の走りだった。ここ一年半で二度の日本記録に沸いたとは言え、大迫の2時間5分台ですら世界で伍して行くのは難しい。3000mと5000mでも日本記録を持つほどのスピードにもう一段の期待をしたいところだが、今回の内定を逃がしてしまった。
 残る1枠は、MGCファイナル・チャレンジとして、国内の指定3大会(福岡国際、東京、びわ湖毎日)で、大迫がもつ日本記録2時間5分50秒を上回る最速タイムの選手が内定することになり、該当者がいなければ、今回3位の(そして日本記録保持者の)大迫が切符を手にするという、出来過ぎの展開となった(笑)。瀬古さんのマラソン経験者らしい弁が面白い。「設楽は事実上、30キロまでしかレースをしていないし、井上に至っては10キロほどだろう。体は回復する時間はある。一方の大迫は42キロを全力で走り切った。回復まで時間がかかる。もし、私が大迫のコーチなら、東京五輪本番のことも考えて(ファイナルに出ずに)『待て』と言うね」・・・果たして大迫は日本記録が更新されないのをじりじり待つ決断が出来るだろうか。設楽や井上は当然のことながら狙って来るだろう。こうなると3枠しかないのが実に気の毒だが、こうした敗者復活の楽しみを残してくれた。長丁場であればこそ準備がモノを言うマラソンで、そもそも一発勝負のオリンピックに向けた選考レースを、一発とは言わないまでも1.5発勝負として、とりわけ今回はほぼオリンピック通りのコースで気温や湿度などの条件もそれに近い中で実施したのは、理に適っていると思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台風15号と計画運休

2019-09-11 00:31:50 | 日々の生活
 関東に上陸した台風としては過去最強クラスの台風15号が、昨日未明、首都圏を通過し、大混乱に陥った。それでも寝ている間に台風が通過してくれたのは不幸中の幸いだっただろうし、気象庁が前日午前中に緊急会見を開き、昨年9月に近畿圏を直撃した台風21号に匹敵するとして最大限の警戒を呼びかけてくれたお陰で、JRや私鉄各社が予め計画運休を発表したのは画期的だった。しかし、運転再開予定が通勤・通学時間帯に重なった上、線路内に倒木等があって除去作業が必要だったために運転再開が遅れ、しかも情報の出し方がこなれておらず、さらに振り替え輸送をしないという見通しの甘さも重なって、午後まで混乱が続いたようだ(と報道された)。
 こんなときこそ、来年の東京オリパラ時の渋滞解消のために実証実験をやったばかりのテレワークを実行に移せればスマートで良いのだが、生憎、会社で使うノートパソコンの多くは社外で使えるセキュリティ仕様になっておらず机に置きっ放しだし、スマホでメール・チェックは出来ても会社のシステムにアクセス出来ないため仕事するにしても限定的というのが現実で、駅の混雑具合いを見る限りは、似たような状況の会社が多いのではないかと察せられる。インフラが整っていない上、首都圏と一口に言っても東京を中心に千葉・茨城から埼玉や神奈川まで幅広くて事情もさまざまなので、企業として明確な指示を出し辛いのは分からなくはないし、真面目な日本人は、なるべく早く会社(や学校)に向かおうとする。
 私はと言うと、実は昨日、割り切って休暇にしてしまったのは画期的なことだった。以前、電事故で、折悪しく朝から会議があったために倍以上の時間をかけて疲労困憊して駆けつけたものの会議に間に合わず、懲りたことがトラウマとしてある。昨日は会議も緊急案件もなく、それでも「運転再開は午前8時以降」とアナウンスされていたので昼頃には出社するつもりで運行状況をモニターしながら待機していたところ、何時に運転再開したのかしていないのか今一つはっきりしないし、駅名がいくつか羅列されて入場規制中としかメッセージが出ないし、一体、どんな状況なのか見当がつかないまま、ぐずぐずしている内に出そびれて昼になり、出社を諦めたのだった。家内からは白い目で見られるし、私自身もなんだか後ろめたい思いが残るし、頗る後味が悪い。
 かつてマレーシアに駐在していた10年ほど前、ペナン大橋の半島側と島側の出入口と中ほどに数ヶ所、ビデオカメラが設置され、渋滞状況を知らせるべくリアルタイム動画をインターネット上で流し続けていた(と言っても完全な動画ではなく何秒か何分か毎に更新を繰り返す)のを重宝したものだった。日本でもかなりの数の監視カメラが出回っているので、駅の構内外の何ヶ所かの、顔が映り込まない荒っぽい画像を見せることは出来ないものだろうか(だからと言って、日本の人口密度はタダモノではないから、ただの気休めにしかならないかも知れない)。鉄道会社の告知の仕方、企業や学校の対応、人々の心の持ちようや身の振り方・・・少しずつ改善していくのだろうけれど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

厄介な隣人?

2019-09-08 15:00:03 | 時事放談
 韓国情勢にいちいち拘うのはいまいましいので二週間纏め書きする(苦笑)。
 週刊ポストが謝罪したという9月13日号の韓国記事を、私もたまたまパラパラっと立ち見したが、「厄介な隣人にサヨウナラ 韓国なんて要らない!」というリード文の過激さ(韓国の左派系メディアでは当たり前だが)と文字の大きさに些か驚いたが、サブタイトルは「『嫌韓』よりも『減韓』、『断韓』を考える」「日韓両国のメリット・デメリットを徹底調査」とあって、内容もさほど過激なわけではなさそうで、まだまだ抑制が効いているように感じた。朝日・毎日・東京新聞の御三家は批判の急先鋒に立ち、「日韓対立の時流に乗れば、何を書いても許されると考えたのだろうか」「偏見やヘイト感情におもねり、留飲を下げる効果を狙ったのではないか。だとすれば、さもしい姿勢と言わねばならない」(毎日新聞)という批判は当たらないわけではないので、メディア繋がりで、是非、韓国の左派系メディアにも伝えて欲しい。
 折しも数日前、ダイヤモンド誌が日韓のビジネスパーソン2000人(日韓それぞれ1000人)を対象に実施した緊急アンケート結果が同電子版に掲載され、質問の第一は「相手国(韓国/日本)は必要な国か」と問うものだった。なんという奇遇(笑)。日本では「韓国は必要ない(それほど~および全く~の合計)」52%が、「韓国は必要(絶対~およびある程度~の合計)」41%を上回ったが、韓国で「日本は必要ない(同)」34%が、「日本は必要(同)」65%のほぼ半分と、対照的なのが印象的だった。これは日韓ビジネスの現実を反映したものだろう。ダイヤモンド誌は、「意外にも普段は寛容で穏健な国民性を持つと思われていた日本人の方が怒りの沸点を超えて『キレている』ようなのだ」とコメントしているが、週刊ポストが謝罪に追い込まれた日本とは対照的に、言いたい放題の韓国大統領府ならびに韓国左派系メディア、更にそれ以上に、争点の事実関係を知らしめ客観的報道に努める日本のメディアとは対照的に、事実関係より自らの感情にまかせた恣意的解釈に酔って騒ぐだけの韓国大統領府ならびに韓国左派系メディアに対して、日本人が理不尽と感じ、寛容のレベルが下がっているのはやむを得ないと思う。とりわけ今回は、徴用工問題という言わば歴史認識問題がビジネスに影響しかねない瀬戸際の状況なので、これまで以上に日韓問題へのビジネスパーソンの関心は高いはずだ。
 日本政府が8月28日に、輸出管理で優遇的地位を与える「ホワイト国」(現・グループA)から韓国を除外すると、再び、韓国大統領は日本を非難する論調に変わった。この問題で、韓国は自尊心をいたく傷つけられたと捉えているようだが、そう捉えるメンタリティこそが問題で、そこまで大袈裟なものではなく、根っこは輸出管理がしっかり出来ているか否かの実務の話に過ぎない。
 先週末にタイを訪問していた韓国大統領は、タイの英字紙バンコク・ポストの書面インタビューで、日本の対韓輸出規制強化を念頭に「日本が歴史問題と関連して韓国に不当な経済的報復措置をとったこと」を憂慮しているとし、今回の措置は韓国だけでなく、世界経済にも否定的な影響を与えると批判したらしい(朝日新聞デジタル)。相変わらずよくもまあ事実に反することを大統領のような責任ある地位の者がのうのうと語り続けられるものだと感心する。実際のところ、日本の輸出管理上、韓国は格下げになったとは言え、依然、一国だけで国グループBを構成し、ホワイト国(欧米先進26ヶ国、グループA)と、それ以外の国(懸念国を除く、タイや台湾やシンガポール等、グループC)との中間に位置していて、タイを含むアジア諸国よりも優遇された地位にあるにも関わらず、である。実情を知るタイの人であれば、何を言うとるんや!? と呆れられるところだ(笑)
 こうして韓国は外交戦(宣伝戦)では勝利しつつあると論じる専門家がいるが、本当にそうだろうか。確かに人口で日本の半分以下、GDPで三分の一の韓国が弱者を装い、強者の日本が苛めている構図は描き易いし、それを声高に訴えれば(極東のコップの中の争いをよく知らない)国際社会一般には受け入れられ易い。そこにかける韓国のエネルギーたるや大したもので、もっと他にやることがあるだろうに・・・と思ってしまうのは余計なお世話だろう。しかし戦後70年の間の日本の利他的とも言える国際社会への貢献を通して築きあげられた戦後日本の自由で平和なイメージが、韓国の告げ口外交ごときで、そう易々と覆るとも思えない。以前からアメリカのある筋はKorea Fatigue(韓国疲れ)と呼び、先のG7でもトランプ大統領は「韓国の態度はひどい」「賢くない」「彼らは金正恩委員長に、なめられている」と文在寅政権を批判し、「金正恩委員長は、『文大統領はウソをつく人だ』と俺に言ったんだ」と暴露したそうだ(FNN等による)。
 懲りない韓国は、最近は東京オリパラに絡めて、スポーツを政治利用するのに夢中になっている。競技会場への旭日旗の持ち込みを禁止するよう大会組織委員会に要請し、拒否されると、パラリンピックのメダルが(選手たちが要となった扇をデザインしたものだが)旭日旗を連想させるなどと難癖をつけ、大会組織委員会に要請する方針だと伝えられる。これがご都合主義なのは、日本を代表する新聞の一つである朝日新聞の社旗に旭日そのものが描かれているにも関わらず、良識のメディアと認めているからだろうか、文句を言ったためしがないことからも分かる。福島第1原発の汚染水処理問題も、国際原子力機関(IAEA)総会で訴える方針らしい・・・と、書き出せばキリがない。この粘着質の執拗さはなかなか見当たるものではない。どうか日本に関わらないで欲しいと願う日本人が多いのではないだろうか。
 韓国の法相候補とその家族に絡む捜査を巡って、文在寅政権や与党幹部が「政治的だ」と批判すると、検察が政権や与党に捜査介入をやめるよう反発し、前代未聞の非難の応酬となっている(産経Web)などと泥仕合いを見せつけられると、日本はこうした韓国特有の左右の内政問題に巻き込まれているだけではないかという被害者意識を強くする。韓国大統領とその取り巻きを中心とする左派が台頭し、左派系メディアがそれを煽り(保守派メディアは控え目に反発し)、少なくないはずの良識派が口をつぐむ(大衆の中には不買運動などで迎合する人が出てくる)、言わば全体主義的な傾向を見せつけられると、中国や南北朝鮮に今なお残る東アジアの古代王朝的とも言うべき体質に、まがりなりにも近代国民国家的な日本としては、大いなる違和感を覚えてしまう。内輪揉めをするなら、内輪だけで(日本に関わらないで)、どうぞご勝手に・・・と言いたくなる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

香港を巡るジレンマ

2019-09-05 02:06:51 | 時事放談
 その昔(30数年前)、国語辞典の品定めとやらを、某週刊誌が企画した(確か文春だったと思う)。私が持っていたのは「新明解国語辞典 第二版」(金田一京助編集代表、三省堂)で、中学生になったときに子供なりに吟味して選んだお気に入りだったが、残念ながらベスト3には入らず、名物辞書として紹介されたと記憶する。その例として「ジレンマ」の説明がユニークだと、わざわざ引用されていた。確かに今、赤線を引いてボロボロになって手元にあるものを読んでも、なかなかの傑作で(笑)、以下に引用する。

 「ジレンマ」〔ド Dilemma=二つの仮定・命題〕 〔大学紛争の時に〕学生の追及に終始だんまりを決め、現職にとどまっていると無能ぶりを発揮したことになる。また、辞めれば、自らの無能ぶりを認めたことになる。〔以上、大前提〕 自分は辞めるか辞めないかのいずれしかない。〔小前提〕 故に自分は、どちらにしても無能だ。〔帰結〕 とするような物の考え方。両刀論法。〔以上の考え方に従えば、開き直って辞めない方が得だということになる。俗に、板挟みになって、進退窮まる意にも用いられる〕

 大学紛争という古色蒼然としたネタを使って、若い人にはピンと来ないだろうが、当時の私は、編者の中に実際に困った人がいたのではないかとお察しした(笑)
 冗談はさておき、今朝の日経で、香港政府トップの林鄭月娥行政長官が、8月下旬に行われた財界人の非公開会合で 「もし私に選択肢があるのなら、まず辞任して深く謝罪したい」と発言したという記事を読んで、まさに「ジレンマ」だなあと気の毒に思ったのだった。「行政長官は不幸にも2人の主人に仕えなければならない。中国政府と香港の人々だ」と吐露し、米中対立の真っ只中で、今回の「逃亡犯条例」改正問題は「国家主権、安全保障のレベル」に発展し「行政長官の政治的な裁量はとても、とても、とても限られている」とぼやいたという。新明解国語辞典風に言うと、中国共産党からは「譲歩するな」と早期鎮静化を要求され、辞任も許して貰えないが、デモ隊からは五大要求で突き上げられ、とても中国共産党が受け容れられる代物ではなく、混迷は深まるばかりで、俗に進退窮まった状態・・・ということだろう。
 それにしても、香港の抗議行動が止まらない。米中対立の真っ只中で、アメリカが裏で(資金援助するなど)糸を引いているのではないかと、中国共産党でなくても陰謀論を信じたくなるシチュエーションだが、それだけで若い人たちをこれほど長い間、動員し続けるのは容易なことではないだろうとも思ったりする。
 この月曜日に新学期が始まったが、大学生や中・高生の一部が授業をボイコットしたらしい。クラウド・ファンディングで制作され、香港中文大で公開された「香港民主の女神像」は、天安門事件の際に民主化運動のシンボルになったことに倣ったもので、高さ4メートル、重さ100キロ、ヘルメットとゴーグル、防毒マスクを着用した女性が「光復香港 時代革命」(香港を取り戻せ、革命の時だ)と書かれた旗と傘を手にしているのだそうだ。今日のテレビ演説で行政長官は「逃亡犯条例」改正案を正式撤回すると表明したらしいが、デモ当事者たちは誰も信じない。「偽の譲歩」と呼び、一部のデモ参加者の怒りを和らげデモ隊の分断を図っているとか、さらには政府の決定に不満を持つ市民がデモを継続した場合に通信や集会の自由などを制限する「緊急状況規則条例」を発動する口実にしようとしているとの疑念を表明した。
 進退窮まるのは勿論、中国共産党も同じだ。事態を放っておけば中国共産党統治にキズがつくし、いずれ本土に飛び火しないとも限らない。さりとて武力制圧すれば天安門事件の二の舞で国際社会から制裁を受ける。香港当局は、雨傘運動で奏功した「消耗戦」から、リーダー等を強制逮捕する「殲滅戦」に移ったとも伝えられるが、若者たちには、国際世論をバックに、自由で民主的な香港の火を消さないよう頑張って欲しいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

なおみ劇場

2019-09-02 00:03:03 | スポーツ・芸能好き
 韓国に対して言いたいことが山ほどあるが、韓国にかかずらうのは余りにいまいましいので(苦笑)、今日もスポーツ・ネタ。
 先ずはシブコが、ニトリ・レディースで4打差の5位に終わり、今季国内3勝目はならなかったが、連続オーバー・パーなし記録を「28」ラウンドまで伸ばし(全英女子オープンまで含むと実に「32」)、2013年のアン・ソンジュの記録に並んだ。ここまで来るのに、時差ぼけや疲れもあっただろうに、若さ故、とは言い切れないタフさと安定感は本当に素晴らしい。来週はオヤスミで、新記録は2週間後の日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯にかかる。「並んだからには新しい記録を作りたい」という言葉に期待したい。
 しかし、今日はシブコではなく大坂なおみが主役だ。
 全米オープン第6日、3回戦で、主催者推薦で初出場した15歳の新鋭ココ・ガウフと対戦し、僅か1時間5分、6—3、6—0でストレート勝ちし、ベスト16に駒を進めた。ポイントは、試合後、号泣するガウフに歩み寄り、「あなたは頑張った。コートでのインタビューを一緒にやりましょう」と声をかけたことに始まる。一度は断ったガウフだったが、大坂が再度「一緒にやりましょう」と誘うと受け入れて、前代未聞、敗者も交えたインタビューとなった。
 ガウフは「きょうの試合は本当に彼女(大坂)がすごかった。この試合から学ぶことが沢山ありました。この機会を本当に有難うございます。なおみ、今日は有難う」と涙ながらに話し、大坂も目を潤ませてガウフと抱き合い、「先ずココ(ガウフ)のチームと家族に敬意を表します。前から知ってる私たちが努力をして今、この舞台にいるのが本当に嬉しいです。私も成長できた試合。スタンドの皆さんからの声援も素晴らしかった。ココが相手だったから今日はいい集中力が出せました」と笑顔で答え、「今日のお客さんは殆どがココを見るためにやって来た。(一人で)シャワーで泣くよりも、みんなと話した方がいいと私は思った」とインタビューに誘った理由を説明した。スタンドの観衆が大歓声を送ったのは言うまでもない。
 その後のインタビューで、(自分と重ね合わせた?と聞かれ)「ココが悲しげにコートから歩き去るのではなく、顔を上げて欲しかった。彼女はまだとても若いけど、とりまくメディアはとんでもなく多い。心配なの」、(試合に集中できていた?と聞かれ)「メインコートでナイターを殆どしたことがなかったけど、雰囲気は全然違うわね。昼間と夜では観客の雰囲気も違った。誰もがこの試合に夢中だったんじゃないかな。私も彼女がどのようにプレーするかを見たかった」、(ココにアドバイスは?と聞かれ)「アドバイスなんてないわ。みんなの道はそれぞれ違う。彼女が何を経験してきたかを知らないで、アドバイスはできないから」・・・コーチが変わり、メンタルを不安視されて来たが、なかなかどうして、この心の余裕としなやかな強さと言ったら、ない。
 どこかのメディアが「なおみ劇場」と呼んでいたのでタイトルに無断借用したが、シブコの神がかりの笑顔と、ショットを打つ時こそアスリートの顔に戻って集中して小気味よくプレーし、歩き始めるや笑顔で観衆とハイタッチする、そのオンとオフの切り替えの絶妙さにギャラリーが魅了されたことに、まさか感化されたわけではなかろうに(!?)と思わせる、大坂なおみの一皮剥けた、プレッシャーを突き抜けた先の境地に一歩足を踏み入れたと思わせるような、それでいて実は本来の大坂なおみらしさを取り戻しただけなのかも知れない、連覇への夢をつい託したくなるほどの「なおみ劇場」なのであった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする