風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

栃ノ心が初優勝

2018-01-30 00:27:33 | スポーツ・芸能好き
 大相撲初場所は、平幕(前頭3枚目)の栃ノ心が初優勝を飾った。日馬富士暴行事件は貴乃花とモンゴル勢(あるいは白鵬?)のガチンコ勝負になりかねない雲行きで今なお燻る中、渦中の白鵬は6日目から、日本人期待の稀勢の里は7日目から、続けて二枚看板の二横綱が途中休場して、どうなることかと危ぶまれたが、全くのノーマークだった栃ノ心の爽やかな笑顔に救われた。
 なにしろTBS系「サンデーモーニング」で辛口の張本勲さんが「大あっぱれ!」に加えて「久しぶりにもらい泣きした」と打ち明けるほどの大盤振る舞いで、おまけに「関脇まで行ったけど幕下まで落ちている。そこからはい上がって、まじめに一生懸命練習した結果。うれしいねえ」と目尻を下げたとデイリースポーツが報じるほどで、私も番組を見ていたが、張本さんのべた褒めは尋常ではなかった。そこまで言われる栃ノ心の存在を不覚にも知らなかったので、調べてみた。
 1987年10月13日生まれの30歳。ジョージアで歯科技工士の資格を取得している変わり種である。192センチ、177キロ、筋骨隆々で、握力は実に90キロを超える怪力らしい。柔道の欧州ジュニア・チャンピオンと、サンボの欧州チャンピオンを経験し、2006年春に初土俵、2008年夏に新入幕と順調に出世したが、2013年名古屋場所で右膝前十字及び内側側副靱帯を断裂し、4場所連続休場して幕下55枚目まで落ち、引退も覚悟したという。厳しいリハビリの後、関取に復帰した場所から2場所連続十両優勝で再入幕、それから3年かけて念願の初優勝へ辿り着いた。ジョージア出身力士として初、欧州勢では3人目(ブルガリア出身の琴欧洲と、エストニア出身の把瑠都に続く)、平幕優勝は6年ぶり(2012年夏場所の旭天鵬以来)、新入幕から58場所での初制覇は貴闘力と並び4番目の遅さだという。缶コーヒー「ジョージア」を愛飲するとは、なんとなく気持ちがよく分かる(笑)。
 その栃ノ心が入門直後、師匠の春日野親方から“世話役”に指名された兄弟子で、今は故郷の青森で飲食業を営む棟方弘光氏は、「プロ競技で、なぜ選手(力士)が掃除や皿洗いをしないと駄目なのか。外国人に伝えるのは難しい。栃ノ心は分かってくれた。日本人より前向きでした」と語っている(スポーツニッポン)。14日目に松鳳山を破って優勝した瞬間にどう感じたかと聞かれた栃ノ心は、「やったあとは思ったけど相手もいることだからね。気持ちは抑えた」と答えている(スポーツ報知)。比較しても詮無いことだが、最近どうも勘違いしているように見える、一見、日本人っぽい外国人より、いかにも外人サンなのに余程お相撲さんらしいミスマッチが、なんとも微笑ましい。
 名門・春日野部屋が優勝力士を輩出したのは、1972年初場所の初代・栃東以来、実に46年ぶりだそうだ。モンゴルだあ、日本人だあ、ばかりでなく、ゴタゴタの続く角界だからこそ、同部屋にとって52年ぶりとなる大関誕生に期待したくなる。
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拉致される?五輪

2018-01-27 21:09:47 | 時事放談
 平昌冬季五輪開幕前日の2月8日を「朝鮮人民軍創建日」とする北朝鮮が、軍事パレードの兆候を見せているらしい。韓国の統一相によれば、「大規模な閲兵式を準備しており、保有するほぼ全ての兵器を動員し、相当威嚇的になる可能性が高い」という。こうして韓国では「五輪が拉致されるという懸念が現実になり始めている」「傍若無人な北に対し、韓国政府は平身低頭で顔色をうかがうだけ」(朝鮮日報)といった批判が出ているらしい(以上 産経電子版)。
 それでも前のめりの文在寅大統領を牽制するため、五輪開会式に出席する米国のペンス副大統領は、非公式な場で日本に対し、安倍首相が訪韓する場合は文在寅大統領も交えた三者会談を行いたい考えを伝えているようだ(朝日新聞デジタル)。なるほど、安倍首相訪韓決断の裏に米国の存在があったか・・・という思いだ。2年前の日韓合意も当時のオバマ政権が仲介したと言われた。
 勿論、安倍首相にも、日本国としての訪韓の狙いがある。北朝鮮問題での文在寅大統領の目に余るナイーブさは放っておけないし、仮に訪韓しなかった場合の意趣返しで、2020年の東京五輪で韓国にソッポを向かれるのも困る。そして、この際、慰安婦問題の日韓合意に関し、安倍首相自ら韓国の合意履行を(慰安婦像撤去の努力義務を含めて)あらためて要請するだけでなく、米国からも完全なる履行を期待している旨表明してもらえばいい。
 よりによってこのタイミングで朝鮮半島で冬季五輪が開催されるとは・・・こんな政治の話に直接巻き込まれる韓国女子アイスホッケー選手だけでなく、政治的な彩りが濃くなってしまった五輪に参加される全ての選手がちょっと気の毒になる。
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平昌五輪開会式の行方

2018-01-25 00:10:34 | 時事放談
 安倍首相は、2月9日に行われる平昌五輪の開会式について、官邸で記者団に「事情が許せば出席したい。2020年東京五輪がある。同じアジアの平昌五輪に出席し、選手団を激励したい」と明言したらしい。まさか、そんなことはないだろうと思っていたから、正直なところ驚いた。
 なにしろ、慰安婦問題を巡る日韓合意に関して文在寅大統領が身勝手な「新方針」を打ち出したのに続き、鄭鉉栢女性家族相は23日の記者会見で、日韓合意に基づいて設立された韓国の「和解・癒やし財団」を年内に解散させるだの、国際社会で対日圧力を強めるだの、言いたい放題である。さすがに日本国民も我慢ならないと見えて、産経新聞社とFNNがその前の20~21日に合同で実施した(という意味で多少は保守寄りの)世論調査によると、慰安婦に関する日韓合意に対する文大統領が示した「新方針」について「納得できない」と回答した人が実に90.8%、日本政府が韓国側の要求に応じないことについて「支持する」と回答した人が88.6%にのぼったという。日本人の感覚としては当然だろう。
 しかし、よくよく考えたら、安倍首相のこの政治的決断は、まさに政治的だと思うが、妙案に思えて来るから不思議だ。米中露首脳が参加しない寂しい五輪開会式に花を添えて、文在寅大統領に恩を売る。平和とスポーツの祭典である五輪と政治を切り離し(一方の韓国は五輪を政治利用して、恬として恥じないのだが)、参加する選手のことを気に掛ける。こうした相手の懐に飛び込む大胆かつ巧妙な外交と、安倍首相の言葉に滲む懐の深さは、却って好感度を上げることになるかも知れない。このあたり、2年前の慰安婦合意のときもそうだった。当初、なんでや!?と訝しがったが、よくよく考えると妙案だと思ったのに似ている。
 勿論、リスクはある。安倍首相がかかる状況下で訪韓すると、文在寅政権の「新方針」を追認したと、あるいは韓国のわがままは今回も許されるのだと、間違って受け留められかねない。国際社会に対しても誤ったメッセージを送ることになる。その意味でも、訪韓にあたって実施されるであろう日韓首脳会談できっちり話が出来るかどうかがポイントだろう。
 日本政府が韓国政府に打診した首脳会談開催を、果たして韓国政府は受けるかどうか。北朝鮮問題で頭が一杯の文在寅大統領は、逃げ切りたいと思っている慰安婦問題の日韓合意がテーマに上ることになる首脳会談を避けたがっているに違いない。もし首脳会談に応じなければ、安倍首相の開会式出席はやっぱり見送りになるかも知れない。
 こうして今回もまたボールは韓国に渡されて、実に興味深い政治ゲームが始まった。安倍首相の外交政策はなかなかしたたかだ。一体、誰をアドバイザーに起用しているのだろう。
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追悼・西部邁さん

2018-01-22 23:36:13 | 日々の生活
 昨日、西部邁さんが亡くなった。享年78。
 どうやら自決されたらしい。以前から「自決する」と言われていたようだし、昨年12月に出版された、今となっては遺作となる「保守の真髄」(講談社現代新書)の帯にも、「大思想家ニシベ 最期の書!」とあり、本書の中で、「自然死と呼ばれているもののほとんどは、実は偽装」だとし、その実態は「病院死」だと指摘、自身は「生の最期を他人に命令されたり弄り回されたくない」とし「自裁死」を選択する可能性を示唆されていたという。そして、昨年10月22日に自決する予定だったが、総選挙と重なり、少し延期した旨が、サラッと書かれてあるともいう。実は、私は本書をまだ購入していなかったのだが・・・それにしても驚いた。
 西部さんのことを知ったのは学生時代のことで、今も捨てずに持っている「大衆への反逆」など、ますます捨てられなくなってしまった。私も若かりし頃は宵っ張りで(苦笑)、「朝まで生テレビ!」でよくお見かけしたものだ。難解で、骨があって、トリッキーで、しかも根底にニヒリズムを感じさせて、汗をかかずについだらけた頭に刺激を与えて頂いた。その後、私自身、海外を行ったり来たりしている内に、暫く離れ、その間、911あたりから?反米色が強くなって、やや違和感を覚えていた。ところがここ数年、まるで引き寄せられるかのように、講演会を見つけて二度ほど聴きに行き、奥様を亡くされてご苦労があったようだが、その頃にはもはや超然とされ(今、思うと、いつ死んでもいいといった覚悟が出来ておられたような感じだった)、なんとも勿体付けつつも気さくでべらんめー調の西部節を炸裂させて、年齢を全く感じさせなかったのを何とも嬉しく思ったものだ。エドマンド・バークの話をひとしきり聴いて、「フランス革命の省察」を読んだのはつい2年ほど前のことだ(私の精神もまだまだ若い!?)。まさに保守、しかも「保守するためには改革も必要」と述べたエドマンド・バークの思想そのままの方だったように思う。西部さんが主宰する雑誌「表現者」をぽつぽつ買い始めたのは、ここ一年のことだ。
 折しも今日、東京で4年振りに雪が降っている。午後10時現在、都心でも積雪20センチ超という。西部さんが降らせているのだろう。最後まで手厳しく日本のありようを問い、民主主義を疑う言説で警鐘を鳴らし、平和に慣れきった私たちの頭に冷や水を、最後は雪を、浴びせ続けた。遺志を継いで、私たちはそれに応えて行けるのだろうか。
 突然の死を悼みつつ・・・合掌。
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ムーミン

2018-01-20 23:15:01 | 日々の生活
 子供の頃、アニメ「ムーミン」の最終回を見終わって、心にぽっかり穴が開いたような喪失感を覚えたのを、懐かしく思い出した。きっとムーミンは今も世界のどこかで元気に暮らしているんやろな・・・と自らに言い聞かせたものだった。
 そのムーミンが、どこの国を舞台とする物語かを問う問題として、センター試験に登場して話題になった。ムーミン公式サイトのツイッターには、早速、「絶対に許さない。今すぐ国籍をノルウェーに変えろ」「ノルウェーだろ?!ノルウェーだって言ってくれよ!」「マジでさ、なんでお前を知らないか知ってるかの問題を解かんといけないんだ??」「センターに出てこないで!ムーミンに人生狂わされました許しません」などと恨み節のコメントが寄せられたらしい。受験生たちの気持ちは分からないでもないが、その反応は秀逸で面白い。
 まさかムーミンが舞台となっている国を知っていることを期待しているわけではないだろう。まあ、問題を作成する側はリアルタイムで「ムーミン」を見ていた世代ではあろう。同じ世代に属する私は、北欧だろうとは察しがつくが、どの国か知らない。知らなくても解けるようにはなっているようだ。
 大阪大学大学院のスウェーデン語研究室が指摘したのは、「『ムーミン谷』は架空の場所であり、フィンランドが舞台だと明示されていない」という不正確さであって、「『ムーミン』がフィンランドを舞台にしたアニメーションだと知らなくても、バイキングはノルウェーに関わるものだから、消去法から『ムーミン』がフィンランドに関するものだと判断できる」としている。大学入試センターも朝日新聞への回答で、キャラクター自体に関する知識は直接必要なく、ムーミンの画像から「低平で森林と湖沼が広がるフィンランド」、ビッケの画像にある船や服装、「バイキング」の表記から「海が結氷せず、海上活動が盛んだったノルウェーやスウェーデンを含むスカンディナビア半島の沿岸や周辺海域」が類推されると記載、設問で既にスウェーデンを示していることから、ノルウェーが導けるとし、さらに、ノルウェー語とフィンランド語の語族の違いを踏まえれば、正答できる、としている。語族の違いなど、今の受験生には分かるようだが、私には見当がつかない。それでも問題を見ると、ノルウェーの伝説の妖精トロールの絵とトナカイの絵がそれぞれ添えられているので、なんとか類推できそうだ。
 そう、試験なんて、いつもストレートに正解を選べるわけではなく、こうして消去法のように、さまざまな手がかりを頼りに持てる知識を総動員して絞り込んで正解を類推することも多いのは、誰もが経験するところだ。正解があると分かっているだけいいじゃないかと、私のような年寄りは羨ましく思ってしまうのだが(ビジネスの世界では正解はおろかそもそも問題を自分で設定しなければならないのだから)、まあ、そこまで言うのは酷だろう。
 毎度のことながら、こういった状況では、巻き込まれた当事者、たとえばムーミン公式サイトなどのコメントが気になるところだ。13日の段階では、「まだまだ知られてないんだな、と反省」「これを機にムーミンの世界について知ってもらえると嬉しいな」と軽妙にかわしていたが、その後、「ムーミン谷に住んでみたい。そう思った瞬間、あなたはもうムーミン谷の住人なのです」という作者トーベ・ヤンソンの発言をひきつつ、「現実とは別のファンタジーの世界」に落ち着いた(もっとも今回の出題は、図版から見て、原作ではなく1969年に放映されたアニメについて尋ねたもので、当時のアニメ版の資料が残っていないことから、「その舞台がフィンランドと設定されているのかどうかは、第三者の検証に委ねたいと思います」「疑問が早期に解決することをお祈りしています」と真面目に締め括っている)。在日フィンランド大使館の広報は「ムーミンが注目されることはうれしい。ムーミン谷は物語を愛する皆さんの心の中にある」と粋にコメント、在日スウェーデン大使館の広報は「北欧が取り上げられ、旅行先として周知されるのは喜ばしい」と現実的にコメントしたらしい。
 不正確であるが故に、たまたまムーミン好きだからと言って有利なわけでもなく、問題としてはなんとか成り立つレベルなので、ここはムーミンに免じて、大目に見てはどうかな・・・
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朝鮮半島と日本(補遺)

2018-01-20 00:15:54 | 時事放談
 いい加減、朝鮮半島情勢を論じるのは疲れるのだが(苦笑)、前回ブログで引用した在米韓国人の話がなんとなく牽強付会、我田引水に思えて来たので、ちょっと弁解しておこうと思う。慰安婦だったご本人たちの証言を、著名人の自伝の如く歴史を美化し、ひいては史実を歪めるものであるかのように見做し、在米韓国人の発言の方を信用するのは、朝日新聞が3年半前、自らの誤報について言い訳がましい釈明をしただけでなく、これまで日本人専門家の地道な実証研究によって、どうやら慰安婦徴発に「強制性」はなかったことが事実らしい(と言うより、当時はそれがむしろ当たり前で、ベトナム戦争では韓国軍人が悪さをしてライダイハン問題を惹き起こしているくらい)からだが、その在米韓国人は朝鮮民族について次のような発言をしていて、私の中で、その人の発言の信用を高めている。

(引用)日本人と違って、韓国の人間は一致団結ができない民族なのです。この短期間にキャンドルやビラ、そして、そろいの上着などを民衆が団結して用意できるはずがありません。北朝鮮の人間は長年の間、命令に従うことに慣らされています。これだけ韓国民が同じ行動ができるのは、北朝鮮からの指導者が統率しているはずです。民衆が気づいていないだけです(引用おわり)

 以前、このブログで書いたことだが、日本はこれまで中国や韓国と、国対国としてまともに付き合って来なかったのだろうと思う。そうして誤魔化して来た事実が積み重なり、もはや如何ともし難い状況に陥っているように見える。日本の自業自得である。
 かつて日本が戦後復興から立ち直り、軽武装・経済重視で世界第二の経済大国にのしあがった頃、中国や韓国との経済格差は歴然としており、戦前の侵略性を衝かれて、教科書問題にせよ靖国参拝問題にせよ、さらには従軍慰安婦問題にせよ、GHQ史観をなぞりながら、徒に事を荒立てることなく、「事勿れ」の妥協を繰り返してきた。当時は歴史認識問題などの周辺的とも言うべき事柄が重要な経済関係に悪影響を及ぼさないことをファースト・プライオリティとしていたせいだろう。
 そうこうして、日本が失われた20年で足踏みしている間も、中国と韓国は順調に経済成長を遂げ、表面的には日本なにするものぞとの自負が芽生えてもおかしくない状況が生まれてきた。それでも歴史的に見れば早くに先進国の仲間入りを果たしていた日本とは、民度や文明度の深みという点で、簡単には追いつけそうにないほどの格差が厳然とあることは心ある人には分かっていながら、中国・韓国ともに国内問題で躓きそうになると、日本をスケープ・ゴートにして、国内の不満を国外(=日本)に逸らしてきた。
 日本は、これまでまともに付き合ってこなかったツケを今頃になって払わされ、戸惑っているのだ。善隣外交の美名のもとに、是々非々で論じることなく、常に当たり障りのない対応をして、見事に中国や韓国に梯子を外され、彼らの国内事情に引き摺られて呻吟している。
 従軍慰安婦像が韓国の国内問題にとどまる限りは、まあいい。しかし海外に出没し、日本人の子供たちが現地で言われなきイジメにあうようになっているとすれば、聞き捨てならない。
 韓国は、件の在米韓国人が言う通り、一致団結できないのだ、というのは分からないではない。しかし、前回ブログに書いた通り、一部の市民団体が騒ぎ立て、一部のマスコミがそれを煽るのをよいことに、政治がそれを外交カード化してゴネる事態に至るのは、もう勘弁して欲しい。まあ、韓国・国民にあらぬ誤解を与えないよう、そして正常な日韓関係が歪められないよう、問題はその都度、潰しておくべきだったのだと思う。今さらではあるが。
 在米韓国人の発言を引用した記事を、以下にあらためて貼りつけておく。


【ボストンから一言(3)】 韓国才女「親日を責める国、ばかばかしい」 「吉田証言のようなことがあったら朝鮮の男は黙ってみていない」
2018.01.17 09:00更新  産経新聞 電子版
 私は米ボストンに住む韓国人の友が何人かいる。
 彼らは日本統治時代に、ある年齢まで日本語教育を受けているので日本語ができる。皆85歳以上ながら、朝鮮戦争後、韓国最高峰のソウル大学を卒業して、学問のため米国留学をした。
 去年の夏、85歳で亡くなったHさんは日本の文化、文学をこよなく愛し、日本各地を訪れ、就眠前はベッドで百人一首を読むことを常としていた。
 彼女が受けた日本語教育は、終戦の12歳で終わっていても、きれいな昔の日本語だった。
 ソウル大学を卒業した後、米国の大学院で生物化学を修めた才媛。頭脳明晰とは、彼女そのものだった。
 その上、記憶力が抜群ときているので彼女から聞く昔の思い出話は、楽しく興味深いものだった。
 亡くなる月まで日本から文芸春秋を取り寄せ、日本の世情に精通するだけでなく、ニューヨーク・タイムズなども購読する教養にあふれた最愛の友人の1人だった。
 慰安婦問題に関しても、彼女は、自分の人生経験を基にして怜悧に韓国を見つめ、このように話をしていた。
■挺身隊になれることを楽しみにしていた
 Hさん「女子挺身隊とだまして慰安婦にさせたと言っていますが、12、13歳の私たち生徒は、15歳になるのを楽しみにしていたのですよ」
 私「どうしてですか」
 Hさん「15歳になれば女子挺身隊に入れるからですよ。だって、戦争末期には、お国のためと、学校の授業もほとんどなくって雲母を一枚一枚剥がす仕事ばかりさせられていました」
 私「何に使うのですか」
 Hさん「さぁ、子供ですから考えたこともなく、言われるがまましていましたけど、何でも飛行機の電気関係とか聞いたことがあります」
 「でもですよ、慰安婦にさせられるのでしたら、私たち(上流階級の子女らが集まった)淑明女学校の女子は、あのように挺身隊に憧れませんよ」
 「吉田清治って、希代の嘘つきですよ。作り話に乗せられて、済州島では200人余りの若い女性たちを暴力でトラックに積み込み慰安婦にさせたと書いた日本のA新聞社もどうかしていますよ」
 「その記事のせいで(間違った情報が)世界に広まったのでしょう?。そんなことがあったら、朝鮮の男たちは黙ってみていませんよ」
 「特に済州島の男たちは荒いのですから、命をかけて戦いますよ。A新聞は、大スクープ!と飛びついたのでしょうけど、ジャーナリストたるもの、記事にする前に冷静に調査しなければいけません。本人の素性も調べていないようですね。ばかげた話です」
 「慰安婦は、今の世の中を基準にして考えてはいけません。あの時代は、人権なんてありませんよ。特に女性は。日本だって金のため親は娘を売りました。当時は、それが悪ではなかったのです。村々を回って親から娘を買っていた女衒は朝鮮人だったのですよ」
■日本人はなぜ捏造を信じたのか
 私「女衒は朝鮮人だったのですか」
 Hさん「だってそうでしょう。田舎の貧しい朝鮮の親たちは日本語を話せないのですから。私の母親は一応、両班(特権身分の階級)の出ですが、『女に学問は不要』といった当時の朝鮮ですから、日本語を話せないだけでなく、ハングルの文字も読めませんでした」
 「父は小学校から大学まで日本語教育を受けていますし、朝鮮殖産銀行に勤めていましたから日本人と変わりなく話しました」
 吉田氏は韓国に石碑を建て、その前で土下座をし、「許してください」などと謝罪したそうだ。
 私は、Hさんのために大高未貴氏(著)の「父の謝罪碑を撤去します」を購入し、手渡した。
 同書を読み終えたHさんは、「どうしてこんな(吉田氏の)捏造話を信じたのでしょうね。日本人は、もっと賢い民族のはずです」と私に問いかけてきた。そして、こうも語った。
 Hさん「本当にばかげた話なのですけど、自殺をした廬武鉉大統領の下で親日財産没収法が決まって、朝鮮総督府が設立した朝鮮殖産銀行に亡くなった父が勤めていたことで、私たちは親日(という扱い)となっていたのです。それで長女の私に統治時代に築いた財産を没収するって手紙がきたのですよ」
 「このために韓国政府は特別機関を作って、全世界に散らばっている親日といわれる子孫を探し出すのですから。こんな愚かな手紙を出すお金があれば、北朝鮮への防衛費に使ったら良いのです」
 私「それでどうしたのですか」
 Hさん「破って捨てました。もう何年もたちますが何も言ってきません。政府も忘れているのでしょう」
 「あの慰安婦像だってそうですよ。どう見たって12、13歳の少女です。そんな歳で慰安婦なんてあり得ません。日本人が怒れば怒るほど彼らは喜ぶんです。ほっとけば、今にほこりを被りますよ」
■デモには北が入り込んでいる? 
 いろいろな話を聞かせてくれるHさんに私が「韓国の話をするときには、『ばか』の言葉がたくさん出てきますね」と語りかけると、「だって本当のことを言えば、親日と責める国ですもの。ばかばかしい…」と真面目に答えるのが印象的だった。
 去年、韓国で広がったキャンドルデモをテレビで2人で見ているとき、Hさんの分析に考えさせられた。
 Hさん「このデモには北朝鮮からの人間が相当入り込んでいると思います」
 私「どうしてですか」
 Hさん「日本人と違って、韓国の人間は一致団結ができない民族なのです。この短期間にキャンドルやビラ、そして、そろいの上着などを民衆が団結して用意できるはずがありません。北朝鮮の人間は長年の間、命令に従うことに慣らされています。これだけ韓国民が同じ行動ができるのは、北朝鮮からの指導者が統率しているはずです。民衆が気づいていないだけです」
 私「協力できない民族なのですか」
 Hさん「こんなことわざがあります。『日本人と朝鮮人が1体1で戦えば体の大きい朝鮮人が勝つ。2対2では日本人が勝つ』。それは、日本人の協力し合う民族性からです。朝鮮民族は、2人になれば、お互いに大将になりたがってけんかが始まります」
 このことわざは、私が釜山に住んでいるときにも、家のお手伝いさんから聞いたことがある。
 Hさんには「これほど日本を愛してくれる貴方に対して、日本の首相に一筆礼状を出すようにお願いしなければいけませんね」と冗談を言ったものだ。
 私が彼女にしてあげられなかった唯一の心残りは、彼女が日本統治時代に教えを受けた日本人教師の家族を探せなかったことだ。
 終戦で日本人教員が引き上げる前日、学校の講堂に集まった女生徒たちに、先生1人ひとりが別れのあいさつをしたという。
 最後に、彼女が最も尊敬をする男性教師は「立派な朝鮮女子たれ!」と大きく涙声で言ったそうだ。
 「果たして期待に沿える朝鮮女子になれたのかどうか分かりませんが、せめて先生のご家族に、あの時の立派な言葉を伝えたいものです」とHさんから聞いていたからだ。
 力を尽くしたが、ついに探すことはできなかった。(後略)
【プロフィル】 新田多美子(Tamiko Arata) 大分県津久見市生まれ。72歳。1983年に米ボストンに移住し、日本などからの留学者向けに住居の手配、生活用品の買い物、車購入と自動車保険など生活の立ち上げサービスの仕事をしている。
 現在は、がん治療を受けながら働く毎日。治療では、スイスのロッシュ社による新薬の免疫チェックポイント阻害剤「アテゾリズマブ」を使っている。日本ではまだ認可が下りていない。早く認可が出た米国で、実際の治療を通して知見が得られている最新治療を受けることを聞いた私の回りの日本医師たちは、口をそろえたように「幸運だ」と言う。
 日本が恋しいわけではないが、誰よりも日本を愛し誇りに思う。ボストンから見る日本や、少し変わった日常の出来事などをコラムにし、日本ではまだ認可されていない最新のがん治療の様子も紹介していきます。
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朝鮮半島と日本(後編)

2018-01-17 23:56:30 | 時事放談
 韓国の日本に対する仕打ちは(と敢えて過激な言葉を使う)思い出すだに精神衛生上よろしくないのだが(苦笑)、今回は日本側の対応とりわけメディアの心掛けがよろしくないことをぼやこうと思って書き始めたら、相変わらずだらだら長くなってしまった。
 北朝鮮を巡って韓国の保守派は「北が変わらないのは韓国がしょっちゅう変わるからだ」とよく皮肉を言うらしい(産経のソウル駐在客員論説委員・黒田勝弘氏による)。「北は内部的に危機になると決まって韓国との対話を言い出す。すると韓国は対北強硬姿勢を変えて支援や協力に転じ、結果的に北の変化の芽を摘んできた」(同)ということらしい。それって、韓国と日本との間の関係もそうじゃないか・・・と思わず溜息が漏れてしまった。韓国が変わらないのは日本がしょっちゅう譲歩してきたからだ。
 2年前の慰安婦問題を巡る日韓合意は、安倍首相にとっては随分思い切った譲歩で、国内の保守派からは不満が漏れ、批判に晒されもした。なにしろその前年に朝日新聞も誤報と認めた(しかし人権問題という現代的意味合いは変わらないなどと居直ったのはまるで韓国の歴史認識の構造と同じ)吉田証言という、今なお歴史的事実とは確認されていない虚構から始まり、日韓両国間の請求権については1965年の日韓基本条約で「完全かつ最終的な解決」が図られていたにも関わらず、韓国の市民団体が虚に吠えたことを、韓国メディアがさんざん煽るのをよいことに、韓国政府が外交カード化して、ゴネ続けたため、安倍首相が妥協したものだ。その意味では安倍首相も当時の朴槿恵大統領もお互いにリスクをとった政治決着だったことは間違いない。
 こうして見ると、韓国という国は、「歴史的事実」を当時の文脈で読み取るという謙虚な姿勢はまるで持ち合わせず、現代的な意味合いを認めては平気で脚色して「歴史認識」と称して信じて疑わないという意味で、先人の業績にまるで敬意を払わない尊大な国ということになる。
 在米のある韓国人女性は、済州島で200人余りの若い女性たちを暴力でトラックに積み込み慰安婦にさせたのが本当だとしたら(所謂強制性の問題)、もともと荒っぽい性格の済州島の男たちは黙っておらず、命をかけて戦っていただろうと言う(在米の新田多美子さんが聞いた話)。言わずもがなだが、その韓国人女性はこうも言う。「慰安婦は、今の世の中を基準にして考えてはいけません。あの時代は、人権なんてありませんよ。特に女性は。日本だって金のため親は娘を売りました。当時は、それが悪ではなかったのです。村々を回って親から娘を買っていた女衒は朝鮮人だったのですよ」(同)と。
 またしても前置きが長くなってしまった。慰安婦問題を巡る日韓合意について、韓国外相が政権の方針を発表した翌日の社説を読み比べてみる。
 読売新聞は、冒頭、「自ら果たすべき約束は棚に上げ、日本側にさらなる譲歩を求める。韓国の文在寅政権の態度は、外交常識に外れ、非礼である。両国関係の破綻につながりかねない」と激しい口調で非難する。そして日本が拠出した10億円について、韓国政府の予算で充当すると表明したことに対して、「いまさら覆すのは、合意に執拗に反対する市民団体への迎合にほかならない」と切り捨て、最後に「合意では、韓国側が少女像を巡る問題の解決に向けて努力することを約束した。しかし、文政権はいまだに、撤去に向けた具体的な行動に踏み切っていない。外国公館の安寧と威厳を守ることは、国際条約が定める受け入れ国の責務だ。少女像を放置するならば、韓国は規範を無視する国家だと見なされても仕方ない」と結んでおり、保守系日刊紙の代表らしく主張は手厳しいことで一貫している。
 一方、朝日新聞は、冒頭、「韓国政府として今後どうするのか明確な考え方が見えない。理解に苦しむ表明である」と、さすがに韓国政府の対応には疑問を投げかける。しかし、「きのう表明した方針で問題が解決するかといえば、甚だ疑問であり、むしろ事態はいっそう混迷しかねない」と、無責任な評論家の遠吠えの如く、批判は手ぬるい。そして、「何よりめざすべきは、元慰安婦のための支援事業のていねいな継続であり、そのための日韓両政府の協力の拡大である。その意味では日本側も『1ミリたりとも合意を動かす考えはない』(菅官房長官)と硬直姿勢をとるのは建設的ではない」と、韓国政府の思いを忖度し、代弁でもしているかのような口ぶりには驚かされる。そして最後をこう結ぶ。「平昌五輪の開幕まで1カ月を切り、きのうは南北会談が板門店で実現した。朝鮮半島情勢は予断を許さない状況が続く。歴史に由来する人権問題に心を砕きつつ、喫緊の懸案に共に取り組む。そんな日韓関係への努力を滞らせる余裕はない」と。この「人権問題」は、吉田証言を誤報だと認めつつ、現代的な意味合いはあるのだから問題に変わりはないと居直ったロジックそのものだ。実に物わかりのよい(日本的な意味での)リベラルの論説で、韓国としては有難い援軍、日本にとって獅子身中の虫だ。
 引越しできない隣人なのだからこのままで良いはずがない、仲良くした方がいい、などと、ことあるごとに外交の専門家は言うのだが、本当にそうだろうか。西欧でも東南アジアでも、近隣国が仲が良いとは限らないのが世の常であって、そのこと自体はさして気にすることはないのではないか。
 本ブログの冒頭に戻ると、韓国が北朝鮮を甘やかしてきたからこそ、犯罪者であり国際社会のお尋ね者で(前回ブログによる)、経済制裁により困窮しているはずの北朝鮮が、立場を弁えず、図に乗って、韓国の要望に応えてやったみたいな勘違いな言動をするのを許してしまうのだ。同じように日本が韓国を甘やかしてきたからこそ、韓国は増長しているにも関わらず増長していることにすら無自覚で、10億円の扱いを日本側と協議すると言い放っただけでなく、文在寅大統領は「日本が心から謝罪し、被害者(元慰安婦)らが許すことができたら完全な解決だと思う」などと、2年前に日韓両国首脳が苦渋の末に歩み寄って前に進めたゴールポストを元に戻して恬として恥じることがなくなってしまうのだ。トランプ大統領の健康診断と同じで、病には至らずとも、正常には違いないのだろうけれども、常識外れの思考は健康診断結果には表れず、さりとて治らないのだ。
 北朝鮮といい韓国といい、「食えない」とはこういうことを言うのだろう。やれやれ・・・
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朝鮮半島と日本(前編)

2018-01-16 00:40:00 | 時事放談
 韓国の文在寅大統領が10日に行った年頭の記者会見で、トランプ米大統領を評価し、北朝鮮の非核化に言及したことに対し、北朝鮮メディアは「和解局面に冷や水を浴びせる穏当ならぬ妄言」と非難し、「わが方は北南関係改善に今後も積極的に努力するだろうが、平昌五輪に参加するわが方の代表団を乗せた列車やバスがまだ平壌にあることを理解すべき」と挑発したらしい(産経電子版)。
 さらに、韓国の保守系メディアが北朝鮮による南北対話の提案について、米韓同盟に亀裂を生じさせるための離間策だと報じたり、応援団や芸術団の派遣も体制宣伝に活用するためだと伝えたりしていることに対し、北朝鮮の朝鮮記者同盟の部長は、「(北朝鮮の)誠意をばかにし、冒涜する悪口」「北南関係(改善)ムードに冷や水を浴びせる妄動だ」と非難し、「わが人民は初歩的な礼儀も知らない売文集団がのさばる険悪な場に、神聖な使節(代表団)を送らなければならないのかと憤慨している」とまでのたまって、派遣取りやめをちらつかせて報道を牽制したという(同)。
 盗人猛々しいにもほどがある・・・と思うのは私だけではないだろう。そもそも北朝鮮は、日本や韓国などの他国民を拉致してきた国際的犯罪者であることをあらためて想起すべきだ。しかも核不拡散の国際合意(NPT)から勝手に離脱して、核開発とミサイル発射実験を繰り返し、2006年以来、国連・安全保障理事会から10度(この二年だけでも6度)にわたる制裁決議を受けているにも関わらず、従う気配すらなく、抜け穴を探しては自由自在に振舞う国際的お尋ね者である。そんな北朝鮮に対して、韓国からは平昌五輪招待に関する費用負担の話が出ているようだが、米国をはじめとして、国連・安保理制裁決議に反する可能性があると否定的である。こうして、言いたいことを言う北朝鮮も北朝鮮だが、北朝鮮に言いたいことを言わせる韓国もまた韓国と言うべきだろう。南北の実務者協議は、案じた通り、北朝鮮ペースで進んでいるようだ。
 エドワード・ルトワック氏は、今般の朝鮮半島問題で、韓国が全く当事者意識をもってないことを強く非難していた。今なお南北朝鮮は休戦状態にあるわけだが、韓国における戦時作戦統制権は、朝鮮戦争が始まった1950年以来、国連軍司令官や在韓米軍司令官が握っていて、韓国ではない。日本だって余り他人のことをつべこべ言う権利はないのだが、平昌五輪というお祭りに、北朝鮮が参加すると示唆するや、尻尾を振って擦り寄るとは、余りにご都合主義で酷すぎやしないか? 
 日本の保守系の論客は、おもむろに福沢諭吉先生の「脱亜論」の埃を払ってひっぱり出し、これみよがしに提示して、当時と相似形ではないかと得意気に言う。当時、福沢先生は、朝鮮の近代化をめざす開化派の金玉均一派のクーデターを支援していたのだが、挫折し、有名な一節を吐いたと伝えられる。「我れは心に於てはアジア東方の悪友を謝絶するものなり」・・・一部には、「脱亜論」をアジアへの侵略主義の表れと批判する向きもあるが、拓殖大学・学事顧問の渡辺利夫さんは近著の中で、開化派への心情的な思い入れを改め、朝鮮半島の問題に現実的に対処しよう、これが福沢の真意だったという。そして朝鮮半島について、こう述べる。「違約背信は彼らの持前(=本性)」「朝鮮人を相手の約束ならば最初より無効のものと覚悟して」・・・まさに慰安婦合意のことまでお見通しのようだ。
 慰安婦問題を巡る2015年の日韓合意について、読売新聞が実施した全国世論調査が報じられている。韓国政府からの追加要求には応じないとする日本政府の方針を「支持する」と答えた人は実に83%に上ったという。読売新聞の世論調査に応じたのだから、やや保守寄りとは思うが、性別や年代を問わず高い割合を占めたという。
 前置きが長くなってしまった。実は、南北朝鮮のことを今さらとやかく言っても仕方ないし、胸クソ悪いので、久しぶりに国内の主要日刊紙の社説がどう伝えたか比較しようと思っていたのだが、長くなったので次回。
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年賀はがきのひみつ

2018-01-14 00:07:14 | 日々の生活
 ディズニーランドの「隠れミッキー(Hidden Mickey)」の如く、あるいは三鷹の森ジブリ美術館の「隠れキャラ?」の如く、お年玉年賀はがきにもいろいろ仕掛けがあるらしい・・・というのはどうせ私が知らなかっただけなのだろう。始まりはディズニー・キャラクターの年賀はがきの「隠れミッキー」だったのではないかと思うのだが、まあ、その当否はさておき、それを知って、早速、届いた年賀状をひっぱり出し、なるほど、手の込んだ遊びがあることを確認し、思わず嬉しくなった。日本郵便もやるなあ、と。
 これで年賀状の発行枚数の凋落傾向に歯止めがかかるとは思えないし、日本郵便だって期待していないだろう。
 思い出したのは、クリスマス・イブに北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)で行われる「サンタ追跡」だ。通称NORADは「アメリカ合衆国とカナダが共同で運用している連合防衛組織で、北アメリカ(アメリカ合衆国とカナダ)の航空や宇宙に関して、観測または危険の早期発見を目的として設置され」(Wikipedia)ており、普段は「24時間体制で人工衛星の状況の観測、地球上の核ミサイルの発射警戒や戦略爆撃機の動向監視などを行っている」(同)のだが、クリスマス・イブにはサンタを追跡する。実に1955年から続く伝統行事で、Webサイトもある(但し今は、“Come back Dec. 1 2018”と書いてある:上の添付画像参照)。
 きっかけは、当時、通販企業シアーズ・ローバックが出した広告「サンタに電話しよう」で、間違って記載した電話番号がよりによってNORADの前身機関であるCONADの司令長官に繋がる番号で、しかも、ソ連(当時)からの攻撃などがあった場合のみに鳴るような極秘「ホットライン」作戦の番号だったというから、おおごとだ。その広告を見たある少女がサンタへの電話だと思って胸の高鳴りを抑えつつ電話し、その呼び鈴が鳴ったときの司令部の張り詰めた状況は想像に難くない。電話を受けた司令長官は、サンタが南に向かった形跡がないか部下にレーダーで確認させたという。これが伝統となり、以来、60年以上、現在に至るも世界中のボランティアを巻き込んで特殊任務が続いているという。
 こうした粋な遊び心は日本では難しいだろうなあと思っていたので、まあそこまで大掛かりではないにせよ、日本の正月にささやかな遊び心があってもよいと思った次第。
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南北会談

2018-01-09 22:54:24 | 時事放談
 2年1カ月ぶりに開催された南北当局間会談で、北朝鮮は平昌五輪への参加を正式表明したという。文在寅大統領には、朝鮮半島情勢不安から、この慶事の成功が危ぶまれていただけに、暗雲晴れて、太陽の代わりに真ん丸の金正恩労働党委員長の仏頂面、否、満面の笑顔がぽっかり現れたかのように受け止められたことだろう。しかも、この8カ月近く、金正恩労働党委員長は文在寅大統領のラブコールを焦らしに焦らした(と言うより完全無視してきた)結果である。交渉のスタートラインからして、金正恩労働党委員長の圧勝である。
 それにしても韓国の左派政権というのはこうも危なっかしいものかと思う。慶尚道(韓国の東半分で右派の地盤、旧・新羅)と全羅道(韓国の西半分で左派の地盤、旧・百済)の対立を、北(旧・高句麗)が利用し、右派の親米日に対抗するべく反日を煽って日韓の分断を図っているだけにしか見えないのだが、たとえ1500年前に新羅と百済と高句麗とで反目し合っていても、さらに東夷の日本よりは民族主義の幻想を捨てきれないのであろうか。
 同じ今日、韓国政府は、日韓の慰安婦合意に関して新方針?なるものを発表したらしい。2年前の日韓合意は「両国間の公式合意だったという事実は否定できない」として日本側に再交渉は要求しないものの、日本が拠出した10億円と同額を韓国政府が拠出し、日本拠出分の扱いを今後日本側と協議するという。日本政府は優しいから、「全く受け入れられない」とわざわざ批判し、東京とソウルでただちに抗議したというが、世間の目がなければ、こりゃ韓国の国内問題に過ぎないと軽く突き放す類いのことのように思う。
 文在寅大統領のやっていることは、前政権の成果を尽く否定するトランプ大統領のやっていることに似ているが、トランプ大統領は、NAFTAにしてもTPPにしても、いやあ被害者(元慰安婦)が納得しないから、とか、国民が受け入れられないから、といった国内問題を盾に(もっと言うと他人のせいにして)国際合意を反故にするような恥ずかしい言い訳はしない。飽くまで(いくら考え方が浅薄で大局を見る目に欠けていようとも)自らの信念として表明しているはずだ。
 こうした韓国の左派政権の弱さは、北朝鮮との交渉でも遺憾なく発揮されそうな気がして、困ったものだと、つい思ってしまうのである。杞憂に過ぎなければいいのだが。
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