かつてテレビCMで「クリープを入れないコーヒーなんて…」という決めゼリフがあった。「不動の四番・岡本がいない巨人なんて…」と、つい、こぼしたくなる。5月6日の阪神戦の守備で、打者と交錯した際に左肘の靱帯を損傷し、全治三ヶ月と診断された。それとともに、一日の終わりにプロ野球ニュースを見る私の楽しみも奪われてしまった・・・。
その後の10試合で巨人は4勝6敗、中でも13日からの広島とのマツダスタジアムでの三連戦で三タテを食らい、一時は首位から四位に沈んだ。岡本が離脱するまでチームは一試合平均3.26得点を稼いでいたが、岡本離脱後は2.6点に落ち込んだ。つながりを欠く打線は5月7~17日にかけて70イニング連続でタイムリーが出なかった。エース戸郷も調子を落とし、エースと4番を欠く絶体絶命の状況で、投手では山崎伊織や井上温大、赤星優志などが、野手では増田陸や泉口友汰が踏ん張り、その後の11試合では盛り返して7勝4敗、一試合平均得点も3.1まで回復した。我慢して使っていれば、奮起する若者が出てくるものだ。
それでも岡本が抜けた穴は大きい。
かつて長嶋さんは、巨人の4番を打つには心・技・体が充実して、ファンの期待に応えられる技量が備わっていなければならない、ただ4番目を打つだけではダメで、品格や人間性も問われるのだ、というような難しい注文を付けておられた。長嶋さんはその4番として1460試合に出場し、王さんは1231試合、原さんは1066試合、阿部監督は505試合、在籍10年の松井でも470試合の実績がある。そして我らが岡本は、2018年6月2日のオリックス戦で第89代の4番に起用されてから、なんとほぼ全試合に当たる904試合で4番を張っているのだ。ムーミンを思わせるようなぽってりした体形で(今年はちょっと身体を絞って、春先から3割の好調をキープしていたが)、どっしり構え、ホームランを放ってもガッツ・ポーズはおろかニコリともせず、淡々と塁を駆け抜ける。いいねえ。大きく調子を崩すことはなく、ケガもしない偉丈夫で、無事之名馬だったのだ。関西(奈良)出身で、インタビューでは独特の“岡本節”を披露する、飄々としたところがあり、ジャイアンツ球場でのリハビリでは常に気丈に振る舞い、送球が逸れて打者と交錯する原因となった、三塁を守っていたルーキーの浦田を、報道陣に対して「浦田君は元気ですか? 皆さん優しくして下さいね」と気遣う優しさもある。「プレー中に起きたことなんで誰のせいとかないんでね。全く気にしなくていいし、気にしてほしくない」と。
岡本離脱の影響は、期待されていたはずの秋広優人放出に繋がり、驚かされた。代わりに獲得したリチャードは打率.114でパッとしない。3番・吉川尚輝は固定しそうだが、5番をどうするか、岡本復帰後も課題になりそうだ。
首位・阪神と3ゲーム差の3位で、明日から交流戦に入る。若者たちの奮起に期待したいが、私の心にはしばらくの間、隙間風が吹く・・・
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