風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

奇跡の逆転優勝

2017-03-28 00:04:07 | スポーツ・芸能好き
 大相撲春場所・千秋楽の平均視聴率は24・4%(関東地区)、瞬間最高視聴率は午後6時、稀勢の里が優勝を決めて花道を引き揚げる場面で、33・3%(同)に達したという。
 この数字は、13日目の横綱・日馬富士戦で負った怪我で、まさか14日目の土俵に上がれるとは思えなかったし、その14日目の横綱・鶴竜戦で良いところなく敗れて、その痛々しい姿に、まさか再び千秋楽の土俵に上がれるとは思えなかったという、良い意味で期待を裏切られたことが反映されていることだろう。そして、千秋楽の本割りの大関・照ノ富士戦で、時折り、不貞腐れたような表情を見せたのは、きっと痛がる顔を見せたくなかったからだろうし、さらに立ち会いで変化するという稀勢の里らしくない相撲は、苦渋の決断だったに違いない。案の定、土俵際に追い込まれながら、しぶとく突き落として、まさかの勝利である。場内は割れんばかりの大喝采だった。続いて優勝決定戦でも、得意の左腕を使えず右腕一本のまま、小手投げで、まさかの二番続けての勝利で、奇跡的な逆転優勝である。投げられた照ノ富士が起き上がったときの、まさか信じられないといった表情が印象的だった。これほど劇的な優勝がこれまであっただろうか。
 何より久しぶり(19年振り)に日本人(正確には日本出身の新)横綱が登場する場所で、多くの日本人の期待を肌にひしひしと感じていたことだろう。もう一枚の看板の白鵬が休場だったことも手伝って、横綱としての責任をより強く感じたに違いない。軽くないであろう怪我をおして出続ける理由を後援者に次のように語っていたらしい。「自分のために苦労して入場券を買ってくれた人がいる。新横綱を楽しみに来てくれる方も多いんだ」と。
 これがもしアメリカ(例えば大リーグ)だったら、無理して出場しなかっただろうし、場合によっては選手寿命を縮めるかも知れない出場をむしろ責められたことだろう。最近は日本でもドライに考える人が多いかも知れない。何しろ久しぶりに誕生した、大事な日本人(正確には日本出身)横綱である。14日目から大事をとって欠場しても誰も文句を言わなかっただろう。しかし、そこは相撲という伝統芸能と、単なるプロ・スポーツとの違いと言えようか。
 優勝セレモニーの「君が代」斉唱で見せた男泣きは、益々、稀勢の里人気を不動のものにしたことだろう。願わくば、今回の快挙と比較される、2001年夏場所14日目に右膝を痛めながら千秋楽に強行出場し、本割りでは敗れたものの優勝決定戦で武蔵丸を下して“鬼の形相”を見せた貴乃花が、翌場所から7場所連続全休となり、2003年1月に引退を余儀なくされたような、大事には至らないことを。そして、願わくば、白鵬との息詰まる熱戦を。
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えげつない中国

2017-03-25 00:00:19 | 時事放談
 東京(より正確に首都圏)は、就職のために出て来て30年、人生の過半を過ごした街でありながら、感情的な物言いは何故か大阪弁に戻ってしまう。言葉のもつ魔力というか不思議であり、逆に言葉の重要性をも物語るが、それはともかく、地域大国として台頭し傍若無人な振る舞いを続ける中国を一言で形容するならば、私には「えげつないなあ」ということになる。三省堂大辞林によると「えげつない」とは、
 ①度を過ごして露骨に表現するさま。露骨で、いやらしい。 「 - ・いことを言う」
 ②やり方に思いやりや人情味がない。情け容赦もない。「商売のやり方が-・い」 〔もと関西方言。昭和期にはいり,次第に一般に用いられるようになった〕
 世界第二の経済大国として世界経済にがっちり組み込まれているから世界から疎外されるわけには行かない。しかも西欧文明への敬意なのか引け目もあって国際社会では良い顔をする。しかし域内では強面である。国内では民意を気にしながらも厳しい言論統制を敷いてガチガチの管理社会を築き上げ、近隣諸国に向かっては「経済協力」を餌に(悪徳商人風に言うならば札束で頬を叩きながら)自らに都合の悪い言動を封じ込め、小国は大国に従えと言わんばかりに力づくで軍拡と海洋進出に邁進する。力により現状を変更し、黒を白と言いくるめて平然としていられる傍若無人ぶりは、域内を超えて実は(本人も気づかぬ内に)世界に広がり始めているのだが、どの国も中国経済の恩恵に浴したいから、いまいましく思いながらも露骨に眉を顰めたり苦言を呈したりすることはない。それをいいことに裸の王様を演じ続ける。
 例えば最近、自らの意に沿わない歴史認識に基づく歴史書をホテル室内に配備しているとして日本のアパ・ホテルを苛めていたかと思えば、いつの間にか矛先を韓国に替え、THAAD配備決定への報復として、THAAD配備地を提供した韓国ロッテを苛め、ひいては3月15日を期限に韓国旅行の取扱い中止を通達する形で韓国政府を苛めている。一説によると、中韓蜜月を象徴した中国黒竜江省の省都ハルビン駅舎内に設置された「安重根記念館」を移転することに決定し、突然、工事に入ったという。「移転」なのか「撤去」なのか判然としないらしいが、報復措置の一環であることには間違いない。THAADについて言えば、盗人が隣人に「戸締りするとは怪しからん」と文句を言っているようなものだと言う人がいて、言い得て妙だが、隣人に自らがどう映るかに思いを巡らせることもなければ、隣人の自衛の権利を認めることもなく、盗人猛々しいとはまさにこのことだろう。
 そして直近では、全人代(全国人民代表大会)閉幕後に行われた李克強首相の内外記者会見に、産経新聞記者の出席を拒否する形で、意に沿わない論調の産経新聞を苛めている。全人代当局は「座席数」を理由に出席に必要な「招待状」の交付を拒んだそうだが、複数枚交付された新聞社もあり、会場には空席もあったという。
 私がネットで産経新聞を重宝するのは、ひとえに記事の全てを無料公開し、かつ過去の記事を消さずに残してくれていて検索が容易だからだ。その主義・主張は保守的なのはまあ良しとして、中・韓の細かい箸の上げ下げまでいちいち気にして取り上げて、却って癪に障って必ずしも全面的に支持するものではないが、まあ朝日や毎日や東京新聞のようにツムジが左巻きよりは余程まともな日本人としての神経を備えて親近感を覚えるのは事実だ。そんな産経を贔屓するわけではないが、言論・報道の自由が侵される事態を見過ごすわけには行かず、朝日、毎日、読売、日経、それぞれ日刊紙のサイト内で「全人代、李克強、記者会見、産経新聞」というキーワードを入力して検索してみたが、一つとして関連する記事は引っ掛からなかった。日本の記者クラブなり報道各社は揃って中国政府に抗議してもよさそうに思うが、特に慰安婦問題で執拗に責められた朝日はここぞとばかりにいい気味だと頬かむりだろうか。
 そんなこんなで、中国の嫌がらせはついに韓国・国民の間に中国への反感を高まらせ、韓国のシンクタンク・峨山政策研究院が今週発表した調査結果によれば、これまで北朝鮮に次いで「嫌いな国」堂々2位だった日本がとうとう中国に抜かれたらしい(一番「嫌いな国」北朝鮮は変わらず、日本の「嫌いな国」としての得点も変わらず)。まあ中国も中国なら、反日に凝り固まった韓国も韓国で、長年、引っ越すわけにもいかない隣同士なだけに、周囲から嫌われているとも知らず独善的であるのを恬として恥じない厚顔という意味では、似た者同士ということか。
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為替は甘くない

2017-03-23 00:27:56 | 日々の生活
 私は製造業に務める人間で、もとより金融には興味なく、お金にお金を産ませる「金持ち父さん」のような芸当は出来ない。しかし、海外駐在で都合9年、三ヶ国に生活し、外国為替と付き合わざるを得ず、必要最低限のことはやってきた。
 1990年代後半のアメリカでは、会社から借金をする形で会社に為替リスクを負って貰っていたが、マレーシアでは、赴任したのが2005年夏、ちょうど中国の人民元改革に追従する形で通貨バスケット制による管理変動相場制に移行するときであり、マレーシアの通貨(リンギット:RM)は強くなることが予想されたため、欲を出して、現地での生活立ち上げ用と称して(会社から借金せずに)自己資金1千万円を持ち込み、数年の後のキャピタル・ゲインに大いに期待したのだった。そのときの銀行の窓口の方は驚かれていたが、この1千万円という金額はさほど大袈裟なものではない。当時、マレーシアでは国産車保護のため輸入外国車に対する関税が高く、アコードやカムリの新車は550万円、ホンダ・シティでも300万円近くしたのである。私の通勤用と家内の買物用の2台買えば、お釣りはたかが知れている。その後、帰国するとき、日本車は人気があるので高く売れて、現地給与と併せて、そこそこマレーシア・リンギットが溜まっていた。
 それで為替はどうなったか。
 アジア通貨危機以降は1USD=RM3.80に固定されていたところ、2005年7月から変動相場制に移行して、案の定、2008年1月には1USD=RM3.10あたりまで20%近くもリンギット高が進み、内心ほくそ笑んでいた。ところがその年の9月、リーマン・ショックに見舞われ、一気に1USD=RM3.70くらいまで戻してしまった。それでもマレーシア経済は堅調で、2012年~13年にかけて再びリンギット高が進んだが、その後の資源安で新興国経済は打撃を受け(マレーシアも一応は産油国である)、政情不安も重なり、また東南アジアの優等生と言われた当時のまま、製造業依存のモノづくりから(高付加価値なソフト開発等に)なかなか脱却できず、まるで中所得国の罠に陥ったかのようになんとなく冴えない。最近はトランプ相場もあって、今日、見てみると1USD=RM4.42まで下がっている。
 私は・・・と言うと、マレーシアに残して来た銀行口座を解約し日本に外国送金する遠隔の手続きが面倒臭く、むしろマレーシアでは最近でも3%前後の利息がつくくらいで、放ったらかしにしておいたところ、この8年弱でちまちまと残高が20%以上も増えていた。日本ではいつまで経ってもゼロなので、驚くべきことである(いや、日本のゼロこそが異常なのだ、為念)。しかし手付かずで放っておいたものだから、マレーシアの銀行から休眠口座にするとの通告があり、ややこしいことになるのは避けたかったため、やおらマレーシアから日本に全額戻すことに決めた。決めたのはいいが、既に良い時代は過ぎ去り、この一年、BREXITの投票あり、トランプ大統領の就任あり、視界不良の金融情勢の中、マレーシア・リンギットは相変わらず冴えないまま、折角稼いだ利息は為替低迷で相殺され、2009年に帰国した当時と比べて損をしない程度で、つい先週、引き揚げた次第である。
 神様は私の下衆な目論見など先刻ご承知である。為替はまったくもって難しい。
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北朝鮮と国際社会

2017-03-21 01:42:50 | 時事放談
 金正男氏殺害事件で、北朝鮮とマレーシアの親密ぶりが明らかとなり、拉致問題で厳しく対応している日・韓そして米国以外は、それなりに付き合いがある実態も明らかとなった。平壌に大使館を置いている国は24ヶ国あるが、マレーシアはその内の一つだ(2003年に北朝鮮がクアラルンプールに、翌2004年にマレーシアが平壌に、大使館を設置)。因みに、アジアの国ではインド、インドネシア、ベトナム、カンボジア、ラオス、モンゴル、パレスチナが、欧州ではイギリス、ドイツ、スウェーデン、チェコ、ブルガリア、ポーランド、ルーマニアが、その他エジプト、ナイジェリア、ブラジル、キューバが、そして言うまでもなく悪友として中国、ロシア、イラン、シリア、パキスタンといった面々が大使館を置いている。東欧だけでなくASEAN諸国も多いことには驚かされる(が、そもそも北朝鮮と国交を樹立している国は161ヶ国もあるのだ)。また、反米のマハティール元首相の影響もあってか、2009年には両国間で相互ビザなしで訪問できる最初の国となった(シンガポールもビザなし入国を認めていたが、2016年に取り消した)ことも、今回、報道されていた。
 実はここ一年ほど、北朝鮮のフロント・カンパニーが、(従来からの中国・大連のほか)マレーシアやシンガポールなど規制の緩い東南アジアで暗躍しているという話を聞いていた。マレーシア・クアラルンプールには北朝鮮の偵察総局が活動拠点とする北朝鮮レストランや合営企業も存在するらしい。そもそも東南アジアの地が選ばれたのは、2005年に米国政府がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)を「マネーロンダリングに関与した疑いの強い金融機関」に指定した際、BDA内の北朝鮮関連52口座2500万ドルを凍結し、他の外国金融機関も北朝鮮との取引を避けたため、北朝鮮指導部の台所事情を直撃する事態になったのがきっかけと言われるが、日本で取り締まりが厳しくなったほか、昨年3月頃から、さすがの中国も国連制裁決議実行に前向きな姿勢を見せ始めると、重点的活動を中国から東南アジアへ移し、とりわけ隣国インドネシアとともに「北朝鮮人の出入りに“寛容”な国」(西側外交筋)で知られるマレーシアが利用されるようになったようだ。
 それにしても貧しいはずの北朝鮮が、何故、核開発やミサイル発射実験を繰り返すことが出来るのか。かつて、偽のドル紙幣と麻薬が資金源だと言われたことがあったが、そんな細々としたものではなさそうだ。北朝鮮には開発競争力のある地下鉱物資源が約20種類あり(石炭、銅、金、黒鉛、マグネサイト、亜鉛など)、韓国によると、その潜在的価値は韓国の22倍にあたる推定6986兆ウォン(約640兆円)に上るという。中国が、国連制裁の網の目をかいくぐり、人道支援の名目で石炭を買い続けていたのは有名な話だ(今回の件で、年内は購入しないと発表したが)。さらに武器輸出や軍事支援も行っている。
 このあたりについて、昨年夏、北朝鮮の建設会社がナミビアの大統領府の建築を請け負うといった浅からぬ縁が某テレビ番組で紹介されたので、調べたことがある(http://blog.goo.ne.jp/mitakawind/d/20160707)。確かにナミビアとの友好関係はあらゆる分野に渡っているようで、北朝鮮の武器商社で、米国の制裁対象になっている朝鮮鉱業開発貿易会社の要員らが駐在し、同じく北朝鮮の万寿台海外開発会社グループが秘密裏に弾薬工場を建設していたとの話もあった(ナミビアは、国連・専門家パネルの報告書を受け、昨年6月に両社との取引を止めることを発表)。その他、北朝鮮は赤道ギニアから大統領の警護システムなど巨額のIT事業を受注しているとか、第4次中東戦争の際に北朝鮮から空軍パイロットの「助っ人」を送ってもらったエジプトも国連制裁に協力的とは言えないとか、クーデターや内戦の絶えなかったウガンダで初めての戦車部隊を訓練したのは朝鮮人民軍の顧問団であり、近年においても、北朝鮮高官の訪問が続いていた、といった情報もあった(DailyNKによる)。
 Wikipediaは「朝鮮民主主義人民共和国の国際関係」について記述しており、意外な二国間関係が生々しく登場する。北朝鮮は(イランに核開発の支援を行っているのは知られているが)かつてイラン・イラク戦争時には非公式に兵員や兵器と軍事顧問でイランを支援したとか、キューバ革命以後、北朝鮮はキューバと反米を共通政策に友好関係を保っている(キューバはそのため韓国と国交樹立していない)とか、シリアとの間にも軍事交流がある(シリアはそのため韓国と国交樹立していない)とか、ジンバブエとは1980年、軍事的な交流を行う合意文書に署名し、その後、ジンバブエ第5旅団として知られることになる兵士を訓練するため、106人の北朝鮮の軍事顧問団を派遣したとか、ブルガリアは冷戦崩壊後も活発な関係を維持し、平壌の外国語研究所にはブルガリア語科がまだあるとか・・・。
 折しも、北朝鮮で5回目の核実験が行われた9月初めに、昨年4月まで国連安保理の北朝鮮制裁委員会で専門家パネルのメンバーを務めていた古川勝久氏が時事通信のインタビューで、アフリカ諸国などでは、そもそも対北朝鮮制裁決議が知られていない、などと語られていたのを見て、納得した次第である。
 北朝鮮は、核開発にせよミサイル実験にせよ、また今回の金正男氏殺害では白昼堂々、空港というオープン・スペースでVXなる化学兵器を使うなど、国際社会の鼻つまみ者になりつつあるのは間違いないが、北朝鮮レベルの経済規模(貧しさ)では、なんとか食って行ける抜け穴があるようだ・・・などと、対北朝鮮では全面禁輸の日本だからこそ、抜け穴と呼んだが、世の中は抜け穴とも思っていない、遠い国々もあるもの・・・というのが現実のようだ。
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当たり前が出来ない

2017-03-18 00:36:59 | 日々の生活
 どうでもいいことだが、一昨日、舌の先端を三針縫った。昨日はともかく、ちょっとはマシになった今日も喋り辛く、当たり前のことが出来ないもどかしさを感じている。
 半年ほど前、間を置かずして二度ほど、したたかに舌を噛んだら、舌の先端に小粒のしこり(変質した固い突起物)が出来てしまった。取ろうと思って、歯でいじり過ぎると痛みが出て、取れそうで取れず、だからと言ってどこに行けばよいのかも分からず、放ったらかしにしていたのだが、最近、歯科医にかかったとき、悪性にはならないが大きくなるかも知れないから取った方がよいと勧められ、なるほど口腔外科は歯科医だったと納得し、メスを入れてもらった。麻酔をして、切り取って、血が止まるのを確認するまで、30分とかからないが、念のため切り取った部分を顕微鏡で検査すると言われて、自己負担1万3千円と、たかが舌を噛んだくらいで、随分な出費になって自己嫌悪、である。齢を取ると、手足の指先だったり、舌先だったり、タイミングが合わずに、ぶつけて蹴躓いたり爪を割ったり、噛んだり、と、神経が行き届かないと言うべきか、意識に身体の動きがついて行かないと言うべきか、哀しいかな、一種の老いの現象なのだろう。
 それにしても、メスを入れながら、麻酔が切れたら食事しても問題ないと言われ、一日三回食後に化膿止めの薬を5日間飲み切るように言われているが、普通に食事が出来るのだから、口腔は丈夫なものである。
 舌は、喋るときだけでなく、食後に歯間に詰まった飯粒や食べ物カスを落とすときにも無意識に、また唾を吐くときにも、活躍していることに、今更ながら気が付いた。たまにはこうした不自由を味わうと、有難みが分かっていい、などと慰めているのだが。
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朝鮮半島の安全保障

2017-03-12 21:52:03 | 時事放談
 極東の地図を見れば明らかなように、朝鮮半島は日本列島の脇腹に突き刺さる刃のように位置している。古来、島国・日本にとって、朝鮮半島は文化の通り道であるとともに、元寇や秀吉の朝鮮征伐に見られるように、大陸との間の軍隊の通り道でもあった。江戸末に開国し、帝国主義の世界に放り込まれた日本が恐れたのは、朝鮮半島を経由して大国・清やロシアが圧力をかけて来ることだった。朝鮮半島には緩衝地帯になって欲しい、そのために朝鮮には独立した国家として屹立して欲しい、という思いもむなしく、日清、日露の二度の戦いの末に、日本は朝鮮半島を直接統治せざるを得ない状況に追い込まれた。そこから更に満州経営へと生存圏を拡張したのは余計だったかも知れない。欧米諸国の疑念を呼び、利害の衝突が深刻化する。
 戦後間もなくの朝鮮半島は、ドイツと並ぶ東西冷戦の火薬庫のような緊張感に満ちていた。そのため北朝鮮は、当初は旧・ソ連と、後には中国と、在韓米軍との間の緩衝地帯として温存された。その北朝鮮では、金正男氏殺害で神経剤VXが使われたことから、化学兵器を開発している疑いが濃厚である。3月6日のミサイル発射では、在日米軍を狙った実験だと公言して、弾道ミサイルを4発同時に発射して見せたのは、同時に着弾させたことに意味があって、ミサイル防衛を攪乱する能力があることを示そうとしたと見られている。3月7日には、毒殺された金正男氏の長男キム・ハンソル氏を名乗る男の動画が公開された。身柄が安全に保護されていることを示そうとする脱北者の気紛れか、裏でアメリカや中国が動いているのか。他方、南の韓国では相変わらず法よりも情に流されて大統領の罷免、更には次の大統領は反日・親北に傾くことが予想され、朝鮮半島はかつてなく動揺している。
 オバマ前大統領からトランプ現大統領への引き継ぎの中では、「北朝鮮問題が最も深刻かつ政権が真っ先に取り組む問題」と伝えられたらしい。戦略的忍耐という名の無為無策を続けたリベラルなオバマ政権下でも、北朝鮮の核施設をサイバー攻撃する準備を整えていたというが、トランプ政権に至っては「あらゆる選択肢を考慮する」方針に転換している。マティス国防長官は初の外遊で2月初に韓国と日本を訪問し、その翌週には安倍首相が訪米してトランプ大統領と濃密な時間を過ごし、来週には、ティラーソン国務長官が日・韓・中を訪問する。かつてこれほど頻繁に日・米・韓首脳が行き交うことがあっただろうか。昨年の米・韓合同軍事演習では金正恩氏「斬首作戦」と呼ばれる「作戦計画5015」がテーマだった。北朝鮮の核・軍事施設など約700ヶ所をピンポイント爆撃し、同時に、米海軍特殊部隊(ネービーシールズ)などが金正恩氏を強襲・排除するものだ。その後、新・作戦計画が準備されているという。国際テロ組織アルカーイダの最高指導者ウサマ・ビンラーディン殺害時と同じような特殊部隊の単独作戦だそうだ。まさに今、米・韓合同軍事演習が繰り広げられている。朝鮮半島はかつてないほどキナ臭い。
 そんな状況の中でのミサイル発射に、安倍首相は「脅威は新しい段階にある」と述べた。なんとなく雰囲気は伝わるが、その実体が明らかにされることはなかった。因みに、南スーダンからの自衛隊撤退も、表向きはともかく、真の理由がありそうなところ、明らかにされることはなかった。これでは日本人の安全保障認識はなかなか成長しないのではないか。自民党は不毛な安保法制論議に懲りていないのだろうか。そして今回も国会では、朝鮮半島を巡る安全保障問題ではなく、森友学園問題が議論されている。折しも日本では大ヒットの「シン・ゴジラ」が、欧州での売上は僅か91万円だったと報じられた。「今作は、日本の国防をテーマにしたとてもドメスティックな作品。会話も多く翻訳もし辛かっただろうし、それだけに海外でウケるかどうか半信半疑だった人も多かった。それでもゴジラの知名度と海外でも人気の『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督ということもあり、海外配給も順調にいったと聞いていたが‥‥」(映画専門誌ライター)、「国防を怪獣を使ってでしか説明できないのは幼稚」など、欧米では辛辣な意見も少なくなかったようで、やはりテーマがウケなかったのだろうと結論づけられている。これでは相変わらずのガラパゴスそのものではないか。
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朝鮮半島の小国意識

2017-03-09 23:50:20 | 時事放談
 世界で最も謎に包まれた国の一つである北朝鮮が、金正男氏殺害疑惑(2/13)に続き、弾道ミサイル発射(2/12 日米首脳会談中、及び3/6 米韓合同軍事演習中)で報道を賑わせている。
 昨日、国連・安全保障理事会は緊急会合を開き、ミサイル発射の非難で一致し、制裁の履行強化などを話し合った。会合後に日・米・韓の国連大使が共同で記者会見し、米国の大使は「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と、北朝鮮政策を見直す考えを示すとともに、北朝鮮の挑発行為は「尋常ではない」と強調し、「国際社会はすべての国が危険に晒されていることを理解し、すべての国は北朝鮮の行動に対応しなければならない」と訴えたという(日経電子版)。日本人にもよく分かるストーリーだ。
 他方、脱北した元駐英公使テ・ヨンホ氏は、日本のメディアのインタビューに答えて、「金正恩の統治スタイルが世界にどう見られているかは関係ない。金正恩が恐れるのは内部の住民やエリート層にどう見られるか。うまくコントロールできれば祖父や父のように長期政権を実現できる(と考えている)」との見方を示した(これも日経電子版)。こうした(脱北者の言い分が正しいとすれば)北朝鮮の自己認識と、欧米や私たち日本をはじめとする国際社会の見方との間には、大きなギャップがある。
 このギャップの説明を、木村幹・神戸大大学院教授は「小国意識」に求められる。朝鮮半島の国家には歴史的な影響から自らを小国だと規定する「小国意識」が抜き難くあり、「どうせ我が国なんて大した存在じゃないから、多少の事を言ったりやったりしても、大ごとにはならないはずだ、というのは南北に共通している」という。例えば金正男氏殺害にあたっても、金正男氏の国際的な知名度と注目度を誤認したのだろうし、こうした意識は南の韓国でも同様で、慰安婦問題を象徴する少女像を巡っての議論や、日韓合意を覆そうとする韓国内の議論を見ていると、まさに頷けるのではないだろうか。
 それはともかくとして、先の脱北者の発言では、「金正恩」を「習近平」に置き換えても(祖父や父=中国共産党の指導者、と置き換えれば)、意味が通じるところが、なんとなくコワイ。北朝鮮、韓国、中国はこの点では似た者同士というわけだ。勿論、そこには大きな違いも存在する。いくら国内事情を優先する中国や韓国であっても、国際社会や国際経済にがっちり組み込まれており、国際社会と断絶しては生きて行けないため、多少なりとも自制心が働き、無茶なことが出来ずに控えることになる。ところが北朝鮮は国際的に孤立しているため(実際には161の国と国交があり、裏では繋がっているのだが)、暴発するリスクは否定できない。そこに北朝鮮の怖さがあると思うのだ。
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ネコの手も借りたい

2017-03-04 13:06:55 | 日々の生活
 クロネコヤマトの宅急便でお馴染みヤマト運輸が、サービス・レベルを落とさざるを得ない事態に追い込まれているとの新聞報道には、ちょっと驚いた。
 同社が1976年に宅急便を始めたとき、初日の取扱個数は僅か11個だったというが、今ではネット通販市場の拡大などで業界全体で年間40億個に迫り(同社はシェア50%の最大手)、さらに共働きや一人暮らし世帯が増えて不在のために宅配便の2割で再配達の手間が発生するなど、従業員は忙しくなるばかりであり、折からの人手不足が拍車をかけているようだ。技術革新に法規制が追い付かない話は聞くが、社会の変化に人海戦術で対応するのが限界に達し、他方、輸送・配送の無人化など期待される技術革新の実用化までまだ時間がかかる、言わば端境期の状況にあって、日本流のきめ細かなサービスの追求が壁にぶち当たってしまったわけだ。従業員の労働環境が悪化し、自社で賄いきれない荷物の配送を外部に委託することで扱う荷物が増えるほど収益は圧迫され、営業利益はリーマン・ショック以来の低水準に沈むという。
 人手不足は、外食産業やコンビニ業界でも同様で、ロイヤルホストは24時間営業の全廃を決め、すかいらーくも一部を見直すと報じられていた。そして、これらの業界は無人化の取組みでも先行している。はま寿司では、浦和店をはじめ首都圏三店でペッパーを試験導入し入店案内させているというし(ハウステンボスにはフロントでロボットが対応するホテルがあるし、イオンモールはじめコンシェルジュ・ロボットは広がりを見せている)、ローソンは、大阪府内の店舗で無人レジ機「レジロボ」の実証実験を進めているという。ICタグがついた商品を専用カゴに入れ、レジロボの決められた場所に置くと、カゴの底が開いて下にセットされた袋の中に商品が入り、ICタグで読み取って表示された代金を支払うと、袋詰めされた商品が出て来る、という仕組みだそうだ。
 アマゾンの取組みはもっと徹底している。シアトルに開いた実験店舗「amazon go」は、一見、ごく普通の食料品店ながら、AIとIoTにより、予め専用アプリをスマホに取り込んで入り口のセンサーにかざすだけで、あとは専用カゴもレジ精算も必要なく、自分のカバンやバッグに商品をどんどん詰め込んでそのまま店を出ても、自動的に精算が出来てしまう優れものだ。
 世は第三次AIブームに沸いている。一年前、グーグル傘下の会社が開発したアルファ碁が世界戦で優勝経験があるプロ棋士に4勝1敗と勝ち越したことで、ブームに火を点けた。年末には、「Master」というハンドルネームの正体不明の棋士がインターネット囲碁サイト「東洋囲碁」に現れ、大晦日までに30連勝、翌1月5日までに「野狐囲碁」で30連勝、井山裕太六冠を含む日中韓のあらゆる強豪を打ち倒して60戦無敗で立ち去ったものだから、多くのプロ棋士から人智を越えた存在と評されたが、Googleが「Masterはアルファ碁の進化形である」「テストは終わった」と公表して、AIの進化は予想を超えていることがあらためて実証された。
 AIで仕事が奪われると危機感が煽られ、世の中はドラスティックに変わるかのような言説も見られるが、足元では大切な接客を機械にやらせるわけには行かないという抵抗感も存在する通り、人の意識との葛藤の中でブームはいずれ鎮静化し、AIやロボットは着実かつ確実に私たちの社会に浸透して行くのだろう。私のような昭和世代には未来小説のようだが、そのときヤマト運輸の苦労も懐かしく振り返るのだろう。
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