保健福祉の現場から

感じるままに

TPP交渉参加の意向

2011年10月30日 | Weblog
47news「TPP交渉参加へ、首相固める シンガポールに伝達方針」(http://www.47news.jp/CN/201110/CN2011102901000705.html)。<以下引用>
<野田佳彦首相は環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する意向を固めた。11月12、13両日にハワイで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会に、シンガポールのリー・シェンロン首相と会談し、参加方針を伝達する。TPP交渉開始時からの参加メンバーでけん引役となっているシンガポールの首相に直接伝えることにより、日本が交渉で主導的役割を果たす決意をアピールするのが狙いだ。会談は12日を軸に調整している。関係筋が29日、明らかにした。野田首相は首脳会議でオバマ米大統領らとも会談、交渉参加を伝える考えで、日本のTPP交渉参加は国際公約となる。2011/10/30 02:02 【共同通信】>

YAHOO!ニュース「野田首相、TPP交渉参加の意向固める 11月のAPEC首脳会議で関係国に交渉参加を伝達へ」(http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20111029-00000523-fnn-pol)。<以下引用>
<野田首相は、TPP(環太平洋経済連携協定)の交渉に参加する意向を固めた。11月中旬にハワイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の際に、関係国に交渉参加を伝達する方針。政府関係者によると、野田首相は、TPP参加に慎重な鹿野農水相と、10月だけで数回極秘の会談を重ねてきた。鹿野農水相は、最終的に交渉参加を容認する考えを示唆し、これを受けて野田首相は、APECで交渉参加を表明する意向を固めた。民主党内では、慎重派が攻勢を強めているが、野田首相は11月4日をめどに、交渉参加容認の方向で意見集約したい考え。その後、記者会見などの形で交渉参加方針を国民に説明し、そのうえで、APECに臨む方針。しかし、慎重派が猛反発するのは必至で、政権運営に影響が出る可能性もあるとみられる。>

徹底して農業問題が前面に出されることに不信を感じる方が少なくないかもしれない。最近になって、ようやく地上波(http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/99077.html)(http://www.asyura2.com/11/senkyo121/msg/361.html)(http://blog.goo.ne.jp/2005tora/e/b428edf3c996b95dbf6476ad8f8b6c56)で、農業分野以外の影響が報じられるようになった。政府「TPP協定交渉の分野別状況」(http://www.npu.go.jp/policy/policy08/pdf/20111014/20111021_1.pdf)をみれば、農業問題は一つの側面でしかないことがわかる。米国大使館「米国通商代表部(USTR)外国貿易障壁報告 日本に関する部分」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-jp0082.html)、米国大使館「日米経済調和対話」(http://japan2.usembassy.gov/j/p/tpj-20110304-70.html)で、「保険」「医薬品・医療機器」がメイン項目になっており、あおぞら銀行金融法人部門レポート「TPPに潜む危険性」(http://soba.txt-nifty.com/zatudan/0file/aozora_2011090501_report.pdf)をみても、サービス分野、特に医療が懸念される。経済界はTPP交渉に前向きであるが、3月30日の提言(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/110330a.html)(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110330a_02.pdf)では、「株式会社による医療機関経営への参入促進」や「混合診療の全面解禁」が掲げられている。医療団体からは、①全国保険医団体連合会「ねらいは医療の市場化……世界の潮流に逆行するTPP参加」(http://hodanren.doc-net.or.jp/iryoukankei/seisaku-kaisetu/110914tpp.html)、②同「国民皆保険を壊すTPP参加は容認できない」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110305tpp.html)、③同「医療の市場化拡大を狙うTPP参加は、国民皆保険制度の崩壊を招く」(http://hodanren.doc-net.or.jp/news/teigen/110131tpp.html)、④日本医師会「医療における規制改革とTPPについての見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1379.html)、⑤同「政府のTPP参加検討に対する見解」(http://www.med.or.jp/shirokuma/no1354.html)など、強く警戒されていることは知っておきたい。世界的権威の医学誌Lancetが9月1日、日本の保健医療に関する特集号を発行(http://www.thelancet.com/japan)しており、「海外からは「日本が保険給付の公平性を保ちながら医療費を抑制していることは驚異的」とみられている」(http://www.dm-net.co.jp/calendar/2011/015833.php)が、とにかく、医療への市場原理導入促進は覚悟しなければならないようである。ところで、平成22年国民生活基礎調査の概況(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/index.html)によると、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は16.0%で増加傾向にある(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa10/2-7.html)。これも戦略だったのかもしれない。民主党国会議員HP(http://blog.goo.ne.jp/japan-n/e/70e70a794fce2767738c46d9a840c9ca#comment-list)のコメント数が凄い。

田中龍作ジャーナル「TPPで「国民皆保険」崩壊 病院にかかれなくなる庶民」(http://tanakaryusaku.jp/2011/10/0003085)。<以下引用>
<TPPの交渉参加に反対する全国決起集会が26日、日比谷野音で開かれた。集会の実行委員会に名を連ねる「全国漁協」や「全国森林組合」の代表らと共に日本医師会の中川俊男副会長が壇上から挨拶した。日本医師会が農協主導の全国集会に出席するのは極めて異例だ。TPPが国民の命と健康をつかさどる医療に直結していることを示している。中川副会長は次のように訴えた―― 「政府は『日本の医療制度は、すぐには議論の対象にならない』と説明するが、納得できる内容にはほど遠い。我々は何も実態のないことに怯えているのではない。2001年以来アメリカが市場原理を日本の医療に導入することを明確に要求してきたからです…(中略)…世界に誇ってきた世界一平等で公平な医療の提供ができなくなる。お金持ちとそうでない人と所得の格差で受ける医療の内容が変わってくる」。庶民にとってTPP加盟が怖いのは、国民皆保険の崩壊なのである。理屈はこうだ― TPPに加盟するとサービス市場を開放しなければならない。米国が見るサービス市場の代表格は医療だ。混合診療(保険診療と保険外診療の併合)が解禁されて、株式会社化された病院が本格参入すれば、収益性の高い米国系資本の病院だけが勝ち残る。日本の国民皆保険は崩れ、米資本保険会社が参入する。この図式で誰が潤うかと言えば、米保険会社(米金融資本)である。マイケル・ムーア監督の映画『シッコ』は、国民皆保険でないために病院にもかかれない庶民の悲劇を描く。米国の医療保険に関わっていた知人は「すべてに多額の費用がかかる」と強調する。たとえば道端で苦しんでいる人を見て救急車を呼んであげたとする。救急車を1回呼ぶと後から10万円の請求書が来る。救急車を呼んであげた人は「何てことしてくれたの!」と恨まれる。小泉・竹中による郵政民営化で、米金融資本が狙ったのは、300兆円ともいわれた郵貯(簡易保険も含む)マネーだった。ただ民営化しただけでは、郵貯マネーは米金融資本には転がり込まない。総務省の元審議官は、米金融資本による「仕掛け」を次のように解き明かす―― 貧困層を作り出し国保財政を破たんさせ国民皆保険のシステムを崩す。リーマンショック(2008年)で派遣切りが社会問題化した頃、派遣労働者の多くは健康保険に加入していなかった。会社は加入してくれないし、国民健康保険料も払えないためだ。この頃、貧困層の増大による国保財政の危機が叫ばれた。それまで特定業種に限定されていた派遣労働の枠を一気に広げた1999年の労働者派遣法改正は、米国の要求だった。貧困層を作り出したのは、国民皆保険の崩壊を狙った米国の仕掛けだったのである。TPPは米国が医療制度そのものに手を突っ込んできたことになる。米金融資本の焦りの表れとも言えるが、財政負担を減らしたい財務省の思惑とも一致する。郵政民営化同様、政府とマスコミが一体となって進め進めと大合唱する時は、庶民が危うい目に遭う恐れがあることを充分警戒しなければならない。>
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