保健福祉の現場から

感じるままに

在宅医療と看取り

2011年10月06日 | Weblog
「【中医協】在宅の充実で看取り機能強化を」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35699.html)。<以下一部引用>
<厚生労働省は10月5日の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、在宅療養支援診療所(在支診)による体系的な緊急時対応や、周囲に診療所のない在宅療養支援病院(在支病)の訪問診療など、在宅医療の充実に対する評価を2012年度の診療報酬改定の検討課題として示した。在支診と在支病の機能分担を明確化し、看取りを強化するのが狙いだ。現在、在支診の約7割には医師が1人しかいないため、24時間対応への負担感が強く、昨年7月時点で看取りを行っていたのは、全体の半数程度の5833か所にとどまっている。この日の総会で厚労省は、「在宅医療特化型」と「在宅療養支援医療機関連携型」の2つの視点を示した。在宅医療特化型は、自院に複数の医師がいたり、24時間の連絡対応をする看護職を配置したりするなど、組織的な緊急時対応を行う在支診や、周辺に診療所がない在支病による訪問診療や往診を評価するというもの。一方の在宅療養支援医療機関連携型は、在支病との連携などで在宅医療や看取りを行う診療所が対象となる。このほか、医療の必要性の高い要介護認定者に対する訪問看護など、患者の状態に応じた医療が適切に提供される仕組みづくりの必要性なども指摘された。>

在宅医療は、「在宅療養支援医療機関連携型」のパターンとして、a.医師のグループ化(主治医、副主治医)、b.多職種によるチーム化(医師、ケアマネ、訪問看護、訪問介護、薬局、訪問リハビリ、歯科医等)、c.バックアップする病院・施設、d.情報と方針共有のための連携パスというシステムが運用されている地域が多くなっている。以前、開業診療所が個別に往診対応して何が問題か、聞かれたことがあるが、例えば、①急変時の対応が円滑にできるか、②バックアップする病院・施設との調整が円滑にできるか、③在宅麻薬管理や胃ろうの管理が適切に行えるか、④多職種と情報共有したチームケアを円滑に提供できるか、⑤診療材料を効率的に購入・提供できるか、などを勘案した場合、地域の実情に応じた在宅医療システム(主治医・副主治医、多職種チーム、バックアップ病院・施設)の構築が必要と感じる。それらの機関が、経営母体が異なっていても、「信頼関係に基づく顔のみえるヒューマンネットワーク」が構築されていることが必要で、①関係機関相互の調整、②研修、勉強会、③関係資料の収集整理・分析、④地域住民に対する啓発など、行政側に期待される役割は小さくはないであろう。しかし、在宅ターミナルといっても、看取りは病院(数日)でも直前まで在宅のケースも少なくない。日本慢性期医療協会「在宅医療の推進に向けた意見」(http://jamcf.jp/chairman/110228zaitaku_iken.pdf)でも、在宅医療を推進するにあたっての問題点の一つとして、在宅看取り数だけで在宅医療を評価することの見直しが挙げられている。死亡直前で退院して在宅で看取られるケースは、本質的な在宅医療という感じがしない。
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労働安全衛生法改正の行方

2011年10月06日 | Weblog
「民主、同時改定に向けた議論を本格化- 厚労部門会議がWT設置へ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35692.html)。<以下一部引用>
<この日の会合では、次期臨時国会に提出予定の労働安全衛生法改正案の検討状況について、厚労省から説明を受けた。同改正案は、メンタルヘルス対策の充実に向け、▽一般定期健康診断の検査と併せ、医師が全労働者に対してストレスチェックを行う ▽ストレスチェックの結果を基に、必要な人に対して産業医や地域産業保健センターの医師が面接指導を実施する―ことなどを盛り込んでいる。>

平成22年度 脳・心臓疾患および精神障害などの労災補償状況まとめ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001f1k7.html)では、精神障害などの労災請求件数が2年連続で過去最高になっており、次期臨時国会提出予定の労働安全衛生法改正案は注目されるであろう。昨年12月の労働政策審議会建議(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000zafy-img/2r9852000000zahf.pdf)では、「医師が労働者のストレスに関連する症状・不調を確認する項目については、労働者の「疲労」、「不安」、「抑うつ」について、簡易に確認することができる標準的な例を示すこととする。」とされているが、既に一部の事業所では「職業性ストレス簡易評価表」(http://www.jisha.or.jp/web_chk/strs/index.html)によるストレスチェックが行われている。昨年11月にはストレス症状を有する者への面接指導制度案(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x018-att/2r9852000000x08p.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x018-att/2r9852000000x09y.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000x018-att/2r9852000000x0a7.pdf)が出ているが、メンタルヘルスの対応は事業所だけでは厳しい感じがする(特に中小企業)。「事業場における産業保健活動の拡充に関する検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000wvk2.html)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000wvk2-img/2r9852000000wvof.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000wvk2-img/2r9852000000wvo3.pdf)p11では、「地域保健との連携」について、「地域・職域連携推進協議会等の場を通じ、事業者が市町村や保健所等の地域保健の枠組みにおける健康支援情報について理解し、事業者が必要な労働者に情報提供するなどの対応も可能となるよう工夫が必要である。また、休職中や離職した労働者、その家族に対しても、本人の了解のもとに事業場から地域産業保健センターや保健所等において情報が共有され、必要に応じ、地域において健康相談や家庭訪問等の支援を行うことが可能か検討が必要である。」とされていることは知っておきたい。職場のメンタルヘルス(http://www.jaish.gr.jp/information/mental.html)に関しては、昨年9月の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会報告書」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000q72m.html)にも目を通しておきたい。ところで、うつの患者は、精神科専門医療機関に受診するとは限らない。むしろ、身近なかかりつけ医が多いであろう。また、受診が必要な状態であっても未受診の場合も少なくないであろう。まさに、かかりつけ医の質向上と専門医療機関との連携、職域・地域での関係機関とのネットワークの構築が求められ、全国各地で、様々な取り組みが進められている(http://medical.radionikkei.jp/sogo_medical/final/PDF/M091224.pdf)(http://www.pref.iwate.jp/view.rbz?of=1&ik=0&cd=14459)(http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_208.shtml)。その際、①協議会、連絡会、②勉強会、研修会、③実態把握、情報収集、④住民への普及啓発など、保健所の役割も小さくはないであろう。なお、社会保障審議会医療部会資料(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001hx9n-att/2r9852000001hxcp.pdf)p124で、医療計画に記載すべき疾病として精神疾患の追加が提案されている。そこでは、うつの地域連携(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001d04d.html)が一つのテーマになるに違いない。来週、管内のうつネットワーク協議会を立ち上げ、併せて実態把握調査や勉強会を行う予定である。
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