保健福祉の現場から

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AI技術と地域保健

2021年11月30日 | Weblog
R3.11.30時事「潰瘍性大腸炎、AIで評価 内視鏡画像から―東京医科歯科大」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2021113000280&g=soc)。<以下引用>
<大腸の粘膜に潰瘍ができ、腹痛や下痢、血便を起こす難病「潰瘍性大腸炎」について、東京医科歯科大の竹中健人助教や渡辺守特別栄誉教授らは30日までに、内視鏡の画像から人工知能(AI)で症状を評価するコンピューター画像支援システムを試験的に開発したと発表した。専門医と同じレベルの精度で評価し、症状の経過を予測できると期待され、ソニー(東京都港区)との共同研究で臨床応用を目指している。潰瘍性大腸炎は原因がはっきりせず、薬による治療で改善しない場合は大腸の摘出手術が必要になったり、大腸がんを合併したりする場合がある。症状が消えて寛解と呼ばれる状態になっても、再発する例が多い。診断には、内視鏡を肛門から入れ、大腸粘膜の画像から評価するほか、粘膜を採取し、標本にして病理医が顕微鏡で調べる「生検」を行う。システムの開発に当たっては、患者約2000人分の内視鏡画像と粘膜生検のデータについて、専門医が寛解レベルを点数付けした後、コンピューターのAIに学習させた。患者875人を対象に検証したところ、診断精度は9割で、再発や入院、手術といった1年後までの経過予測も専門医と同等にできた。内視鏡の動画からリアルタイムに適切な静止画を切り出して評価でき、粘膜生検の回数を減らせる効果もあるという。>

「保健医療分野AI開発加速コンソーシアム」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kousei_408914_00001.html)の資料「日本における重点開発領域」(https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000515847.pdf)では、①ゲノム医療、②画像診断支援、③診断・治療支援、④医薬品開発、⑤介護・認知症、⑥手術支援の6分野が位置付けられているが、②画像診断支援、③診断・治療支援は急速に進んでいるかもしれない。R3.6.30HITACHI「栃木県において、AIを活用した保健事業支援が開始 日立の医療ビッグデータ分析技術・ノウハウを活用し、効率的な事業計画の策定ときめ細かな保健指導により、糖尿病重症化予防を推進」(https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2021/06/0630a.html)、R元8.19東芝デジタルソリューションズ「AIを活用した糖尿病性腎症重症化予防の共同研究を開始」(http://www.toshiba.co.jp/about/press/2019_08/pr_j1901.htm)が出ていたが、保健医療現場ではAIによる診断・治療支援が普及するかもしれない。AIの活用は、国立国際医療研究センター「糖尿病リスク予測ツール 」(https://www.ncgm.go.jp/riskscore/)、国立がん研究センター「脳卒中リスクチェック」(https://epi.ncc.go.jp/riskcheck/str/)、「循環器疾患リスクチェック」(https://epi.ncc.go.jp/riskcheck/circulatory/)のような単純なリスクアセスメントだけではないであろう。がん検診の画像診断(X線、内視鏡)でもAIが応用されるかもしれない。最近は、質的データ(記録、インタビュー、写真・ビデオ等)を活用した調査・研究も重視されているようであるが、例えば、NHK「子どもの虐待と保護の判断をAIで支援 初の実証実験」(https://www.nhk.or.jp/d-navi/sci_cul/2019/05/news/news_190528-3/)のような自治体で蓄積されている記録・資料を積極的に活用できないものであろうか。そうなれば、囲碁・将棋の世界のように、ベテランと新人の対応力格差が一挙に縮まり、地域保健が飛躍的に発展するかもしれない。「当面の規制改革の実施事項関連資料集」(https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/opinion/201222kanren.pdf)p7「世界で急速に拡大している医療機器プログラム(SaMD)の開発において、我が国は大きく後れを取っている。」などの現実はしっかり認識したい。「保健医療分野AI開発加速コンソーシアム」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kousei_408914_00001.html)もそうだが、現実を踏まえて、優れた海外の取り組みを貪欲に参考にすべきと感じるが、そう言っている限りはダメであろう。「2040年を展望した社会保障・働き方改革本部」(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000101520_00002.html)の「健康寿命延伸プラン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000514142.pdf)、「医療・福祉サービス改革プラン」(https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000513536.pdf)も打ち出されているが、「2040年」と呑気なことはいわず、例えば、10年以上前倒しできないものであろうか。地域保健(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/tiiki/index.html)に関して、地域保健法(http://www.ron.gr.jp/law/law/hokenjo.htm)第4条に基づく「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000079549.pdf)も全面リニューアルすべき時期に来ているかもしれない。
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