だが、夜は違う。やはり、お客さん自体も時間や気持ちに余裕が在るからギターなんか弾いていると「是非続けてっ!」とか「仕事が終ったら弾いてよっ!」とか言ってお互いで楽しむ余裕がある。オイラだってやはりボサノバやタンゴやジャズ等を弾くのに灯りも薄暗い方が気持ちも入る。「今宵一夜」である。一期一会にも通じる心の有り様である。オイラは以前に、飲めもしないのにライブハウスに随分通った。あの独特の賑やかさと音楽、そしてそこに潜むワビシイ人間模様を薄灯りがチラチラと見せる。それぞれのテーブルのドラマが存在する。
営業中の退屈シノギも難しいもんである。何人かでもお客さんが居たりするとギターなんて弾いている場合でもないから退屈である。明日が休日だから余分な仕込みも出来ないし、地図なんかも見てはいられない。こういう時に結構苦手なお客さんも来たりする。その方達は食事そのものよりも自分の暇に任せて喋りに来ている訳だからオイラとしては、相槌を打つのが大変なのだ。大体、喋りに来ているお客さんは、自己主張の固まりで自分の言い分を聞かせたい訳でそれを理論と言い様で押し付ける。これ結構聞役は辛いです。今日も、そんな状況だ。