功なり名遂げて 晩成を
日がな費やす 絵は浮かばない
古梅 鶯梅 梅の香つれて
冴え返る心の 底ふかく
沁みてただよう 寂しさは
どこからくるのか …時節(とき)は春
成せるか否かは 無いままに
事を果たすも 終わりにあらず
古梅 鶯梅 梅の香だけに
問い浸る心の 哀情を
曝しながらも 寂々と
風立つばかりの …時節(とき)は春
頂点(いただき)極めた 歓びは
むしろ他人(ひと)のみ 嬉しきことか
古梅 鶯梅 梅の香つれて
佇みし心は 幾日を
かさね過ぎれば 晴れようか
古木を撫でつつ …時節(とき)は春
ひとこと:島津亜矢サンにはデビュー当時から
大変注目していた。
市川昭介、星野哲郎のヒット作家が目をかけ
力づよい作品を発表していた。
あれはいつだったか、彼女のコンサートを見る
機会があって、そこに星野先生も来ていらした。
彼女のライフワークとでもいうべき
「歌謡名作劇場」からの選曲も取り入れ
ドラマチックなステージだった。
後年「感謝状」で紅白初出場を果たし
この先は紅白常連になるだろうと思っていたが
どうしてもその願いはかなえられない。
シリーズもののCD「BS日本のうた」を
聴いてもわかるように、あらゆるジャンルの
歌を唄いこなす実力は、誰しも認めるところだが
発売する作品のテーマやコンセプトに波があって
ヒットに結びつかないでいる。
ここには以前1/2「ふるさと暖歌」をUPしているが
今回は、彼女の本領発揮とでも言うべき
重厚で格調ある詞を書いた。
モチーフとなったのは、「赤穂浪士」の
大石内蔵助が討ち入りを果たしたあと
ある古梅の庭に立ち、えもいわれぬ心情を
吐露したいう、逸話を取り入れた。
こういった内容やテーマこそ
彼女にふさわしく、万人の心に響くものと
確信できる。