置かれた環境に尻込みすることなく、自分の持てる力を100%出し切っている人はほとんどいない、だろう。
もしこの力を数値化できるとすれば面白いが、極めて困難で信憑性もない。あえて言えば、せいぜい数%-数10%程度と思われる。多くの人は周辺の状況がプレッシャーになり自分の能力を発揮できないのではないか?? と思っているが、他人のことはよくわからない。
しかしながら、数少ないだろうが、特別な人たち、例えば、各界のプロとして天才的な感覚を持った人や、芸術家として表現の舞台をつかんだ人、アスリート達などは、ここぞというときに力を発揮する不思議な力を体得している、と思われる。
音楽の分野でも数多くの演奏家、ソリストたちの演奏を聴いたが、実演の場で私にもわかるような明らかなミスで演奏がダメになった例に遭遇したことはない。これは特筆すべき、驚くべきことである。
この様な演奏家は置かれている立場を生かして自分を表現し、高みに持っていくような強靭な心理構造を持っているとしか思えない。その背景には、各演奏家の性格もあるだろうが、幼少の時からの厳しい自己修練、練習が基礎になっていることは確かであろう。
10数歳ながら多くの難曲を弾きこなし、アメリカのカーチス音楽大学に進学した日本人の某ヴァイオリニスト少女は毎日8時間練習するという。そういう背景をもとに力が発揮できる様になるのであろう。
私は何の特技もない凡才であるが、立場上講演会や講話、各種の挨拶などは多数こなしてきた。私の場合は、何も難しい修行をしたわけではない。
ただ、講演などの場合、十分な下準備をすることであったが、それでも時にはうまくいかなかったこともあった。
私は通常は話すことに支障を感じることはないが、肝心の場面になると、とたんに消極的になり、口数が減る。例えば、会合などで突然指名されたりすると、言葉が出てこない。
だから、聴衆の前で一定時間「内容のある話」をする講演は、苦手であった。が、どうしても断ることのできない講演依頼もある。引き受けざるを得ない時は、きちんと準備した。
よく原稿やメモも何もなしで、流れるように話す講演上手の人がいるが、そういう人を心からうらやましく思う。私にはその能は全くない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます