銅版画制作の日々

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トランシルヴァニア*トニー・ガトリフ監督のルーツ

2007-10-19 | 映画:ミニシアター

 

 

10月5日、京都みなみ会館にて鑑賞。初めて観たトニー・ガトリフ監督作品。ロマ民族(ジプシー)を永遠のテーマとして作品を撮り続けているそうだ。まったく予備知識もなく、「トランシルヴァニア」という地名のタイトルに惹かれたのと主演のアーシア・アルジェントという女優さんにも興味があり・・・・。観に出かけた。

 

トランシルヴァニアはご存知のとおり、ルーマニア北西部の歴史的地名をいう。日本語で「森の彼方」という意味を持つ。トランシルヴァニアには、ルーマニア人、ハンガリー人、ドイツ人、アルメニア人、ユダヤ人、そしてロマなど民族が交差してきた歴史を持つ。多くの民族が共存するために、領土問題が起り、異民族の侵入が絶えない場所であったと同時に、民族の共生によって独特な文化が育まれてきた。

 

現在も古き良き伝統の暮らしが息づく土地である。村によって、文化風習も違うため、様々な美しい伝統の衣装と民族舞踊、祭りに出会うことが出来るそうだ。

 

第一次大戦後、ロマの人口が最も多い国ルーマニアの領土となった。それだけ、この土地にはロマの人々が定住している。心の傷をおったこの映画の主人公ジンガリナ(アーシア・アルジェント)にとってもトランシルヴァニアは離れがたい土地だったのだろう。そして彼女は悪魔払いの儀式をした後から、ロマの衣装を身につけることになる。まるでロマのようだ

 

 

トランシルヴァニアの風土に根付いたロマの魅力に溢れる音楽

監督自身もロマの血をひいている。この自身のルーツでもある“流浪の民”=ロマ(ジプシー)、常に映像と寄り添うように音楽とダンスが登場する。

 

 

 

音楽担当のデルフィーヌ・マントゥレと監督はオリジナル曲を作り、現地で出会ったミュージシャンに演奏依頼し録音した。この映像とそのリズムは観る者の心を深く揺さぶる。

 

 

愛するほどに傷ついて、傷つくほどに愛を求めてーーーーー

 

 

突然姿を消した恋人ミランを探して、ジンガリナ(アーシア・アルジェント)は親友マリー(アミラ・カサール)とともに、ミランの故郷トランシルヴァニアへと旅立つミランの実家にたどり着くが、家族は引越しした後だった。悲しみにくれるシンガリナをが勇気つける。ミランはミュージシャンだったため、ロマの楽士たちに尋ねる。ついに彼を見つける。しかし彼にはもはや愛のかけらさえなかった

 

絶望に打ちひしがれるジンガリナ何と彼女はミランの子どもを身ごもっていたのだ祭りの喧騒の中、泣き叫ぶシンガリナ親友マリーは大声を出して呼ぶマリーはジンガリナが心配だった。彼女の事を愛していた。だが、ジンガリナはこの異国の地で何かを見つけ再生する事を求め、マリーと決別する。

 

 さよなら、マリー

 

荒涼とした大地をジンガリナとジプシーの少女バンダナは歩いている傷ついたジンガリナを慰めるバンダナ、そんなふたりにチャンガロ(ビロル・ユーネル)が声をかける。しばらくすると、バンダナは姿を消した。追いかけたジンガリナが・・・・。戻ることはなかった。

いよいよジンガリナとチャンガロの二人の旅が始まる。体に宿った子どもを悪魔だと思い込んでいるジンガリナにチャンガロは悪魔払いの儀式を手配する。白い衣裳に身をまとったジンガリナの頭の上にミルクがかけられ、これで身も心も清められたチャンガロは二人で暮していても、過去をいっさい語らないジンガリナに時々苛立ちを感じ、挑発し、ケンカをするが、彼女のことを常に見守っていた。

の大草原で、を走らせていた時、ジンガリナは産気づく人気のない雪のなかをチャンガロは助けを求めてようやく馬車に乗った、村で暮す人に出会えた

村人によって出産は無事に・・・・。しかしチャンガロは子どもとジンガリナのいる部屋にはどうしても入れなかった

迷いと苦しみに満ちたチャンガロ、ようやく決心したのか?子どもとジンガリナのいる部屋へ・・・・。赤ん坊と眠るジンガリナはまるで聖母マリアのようだ。

 

 

一度は愛を失ったジンガリナ、再生の旅でともに暮したチャンガロと一緒になるのか?トランシルヴァニアという不思議な土地を巡ったジンガリナに新たな愛が芽生えようとしている。

 

東欧独特の雰囲気をかもし出す、トランシルヴァニア。ちょっと謎めいた国での愛は、まさに奇跡な愛かもしれない。

主演のアーシア・アルジェントは「マリー・アントワネット」にも出演していた女優さん。ロマにすっかり溶け込んでいた。

 

トランシルヴァニア 公式サイト

 

 

 

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