わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

作品の「割れ」、「ひび」対策(生1)

2009-07-16 20:09:21 | 失敗と対策
陶芸作品で、一番の失敗は、作品が「割れ」たり、「ひび」が入る事です。

色が気に入らない、形が悪い、使い勝手が悪いなど、「失敗作だ!」と思っていても、

人によっては、その作品を「失敗作」とは、思わないかも知れません。

・ しかし、「割れ」や、「ひび」が入っていたら、その作品は、使い物に成りません。

  誰が見ても、明らかに、「失敗作」と、解かります。

  但し、置物の様に、実用に供さない物では、その限りではありません。

  ( 例として、あの有名な、「破れ袋」と銘銘された、茶器の水指が有ります。

  水指本体の、胴の部分が、破裂して、大きく「ひび割れ」ていますが、釉がとても綺麗で、

  壊すには、勿体ないと言う理由で、長年大切に、保存されています。)

 一般的には、「ひび」程度なら、二度焼き等で、補修も可能ですが、「割れ」の場合には、

  破棄の対象に成ります。 (尚、愛用していて、「割れ」た場合には、金継などの方法や、

  陶器用接着剤で、補修する場合も、有ります。)

 何れにしても、「割れ」「ひび」は、陶芸作品には、大敵です。


 以下「割れ」「ひび」に付いて、述べたいと思います。

 (過去の記述と、重複するかも知れませんが、ご容赦下さい。)

1) 「割れ」「ひび」の原因

 ① 陶芸材料の、粘土などが、縮む事

  ) 土は、作品を作り終えると直ぐに、乾燥し、収縮し始めます。

  ) 焼成で、高い温度に、晒される事により、もう一度収縮します。

 ・ 収縮とは、隣同士や、周囲の土が、「綱引き」の様に、お互い引張り合いながら、体積を減らし、

   密度を増す現象です。土の種類によっても、収縮の強さ(収縮率)に、差が有ります。

   引き合う力の弱い所は、周囲から引張られ、負けてしまい、「割れ」や「ひび」が入り易いです。

   引っ張り合う強さは、以下の如く成ります。

   A) 速く乾燥する所は、乾燥の遅い所より、引き合う力は強い。

     肉厚が薄い所、器などの口縁部分、日光や、ドライヤーなど、熱源の近くで、速く乾燥する部分、

     作品を置いた場合の上部(上部より乾きます)、などです。

   B) 同じ様な乾燥度の場合。 じっくり時間を掛けて、乾燥させた場合

    ( 陶器用の乾燥器に入れる、濡れた布を掛ける、作品に時々霧を吹くなど)

     肉厚の薄い部分より、肉の厚い部分の方が、引く力は強い。

   C) 周囲の引く力が、一定でない場合(アンバランス)

     作品の端っこ以外の場所では、四方八方から、バランス良く、「綱引き」が、行われています。

     端っこ(口縁など)の場合、一方のみの力が働き、他方からは、働きません。

     形によっては、三方が引き合い、一方のみが「ゼロ」の場合も有ります。

    ・ それ故、口縁などは、形が歪み易いです。

以下、対策に付いては、次回に続きます。

陶芸失敗と対策 
     
割れ ひび 

     
 
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陶芸での困り事(作品の処分)

2009-07-10 21:55:19 | 陶芸の困り事
折角作った作品も、残念ながら、処分しなければ、成らない場合が、有ります。

又、作品が多く出来て、自分で使う量を、超えてしまう人も、多いです。

何らかの理由により、処分する場合の、方法に付いて述べます。

1) 失敗作、壊れた作品の処分

   補修をして、使える作品は、補修して使いますが、処分しかない場合には、思い切って、

   金槌などで、細かに砕きます。その際、破片が飛ばない様に、袋(布、ビニール)に入れ、

   叩き壊します。

  ①) ゴミとして、出す。

     この破片を、ゴミ収集用の袋に入れ、不燃ごみとして出す。

     (ゴミの分別、収集方法は、住んでいる場所の、決まりに従って下さい。)

  ②) 埋め立て、又はコンクリートの中に入れる。

     焼成した土は、元には戻りません。それ故、自分の敷地内に、埋めます。

     又、焼成した土は、石の様に成ります。コンクリートの中に入れ、砂利の代用品にします。

 2) 作品が多くなって、処分したい場合。

   長く陶芸をしていると、作品がどんどん貯まります。自分では使い切れないし、保管場所にも、

   困る場合が多いです。何らかの方法で、作品を少なくしなければ、成りません。

   (作品が、貯まり過ぎて、陶芸を止めた方も、多いです。)

   勿論、作品を販売している方も、多いですが、素人の作品は、中々販売ルートに乗り難いです。

 ① 知人にあげる。

   陶芸をやっている事を、人に話せば、「どんな作品を作っているの?」と、興味を持つ人が多いです。

   又作品を見せたりすると、「欲しい」と言う場合が多く、この様な時、人にあげるチャンスです。

   場合に拠っては、より積極的に、こんな作品が欲しいと、注文を受ける事さえ有ります。

    (但し、無償の事が、多いです。)

   又、お祝(結婚、誕生など)の記念として、両親や、子供、知人にプレゼントする人もいます。
 
 ② 自分の職場に持ち込む。

  ) 置物や、飾り物などは、自分の席の周囲に置く。

     湯呑み、灰皿などは、実際に職場で使う人が、多いです。

  ) 自分の職場で、必要(又は使える)物の場合は、積極的に使います。

    (来客用の、湯呑み、コーヒーカップ、ジュース用のコップなど)

 ③ バザーや、フリーマッケトで、販売する。
   
   作品が高価な値段で、売買できれば、理想的ですが、中々買ってくれる人は、おりません。

   安い値段でもいいから、売りたい方は、この様な方法も、有ります。

  ・ 経験者の話を聞くと、自分の初期の頃の作品に、人気が有る(売れる)との事です。

   「いびつ」で、重く、今から見れば、下手で幼稚な、作品に見える物が、人気が有ると言うのも、

    考えさせられます。
   
 ④ 作品を寄付する

  自尊心を傷つける様で、「安い値段では、売りたくない」と思う方は、寄付の方法も有ります。

  バザーなどで、寄付の要請が有った場合、無償で出します。

 (私事ですが、毎年ある擁護施設から、バザーで使う、陶器の寄付の要請が有り無償提供しています。)

 ⑤ 作品展などの際の、お土産品(粗品)にする。

   個展やグループ展など、毎年又は数年に1度、開催される事が、有ると思います。

   その際の、粗品として、不用品を、会場の一角に、並べ、自由に選んでもらい、

   持って帰って頂く様にします。

  ・ 他人はどんな物に、興味が有るのか(欲しいのか)、どんな色が人気が有るのかなど、

   リサーチにも成ります。

以上、人に喜ばれる様にして、作品の数を減らす方法を、考えて下さい。

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陶芸の困り事(健康に付いて)

2009-07-09 22:29:47 | 陶芸の困り事
陶芸で健康に、気を付ける事は、色々有りますので、お話し、したいと思います。

1) 爪を切る。

  陶芸では、爪が伸びている事は、厳禁です。爪を切りたく無い人は、陶芸を、諦める事です。

 その理由は、

 ① 伸びた爪の間に、粘土が入り込み、中々綺麗に取れません。

   特に、電動轆轤で、作品を作ると、確実に、ドロが入り込みます。

 ② 爪先が、粘土に引っかかり、指の動きが、自由に成りません。

   指先を使う事が、多いですので、作陶し難いです。

 ③ 作品に、爪痕(つめあと)が付き易く、補修が面倒です。

 陶芸をする現場では、大概(たいがい)、「爪切り」が、用意されているはずです。

 爪が伸びている場合は、作業に入る前に、この「爪切り」を使います。

2) 指先の怪我

  指先に怪我をしていると、作陶は、難しく成ります。

  絆創膏(バンドエイドなど)で指を保護していても、水を使うので、作陶中に、剥がれてしまったり、

  土に引掛かったりして、スムーズに、指が動きません。

  それ故、傷の保護が、おろそかに成り、悪化させる場合も有りますので、注意します。

  以前、ゴム製の手袋をして、作陶した人がいましたが、とてもやり難そうでした。

  怪我の状態によっては、怪我が治るまで、陶芸を休止する事も、ありえます。

  尚、陶芸作業中に、怪我をする要素は、「はぜ石」等が入った、粗めの土を、轆轤挽きした時、

  指が傷付く場合がありす。小さい布を使い、手が直接、土を触らない方法も有ります。

3) 指や腕の腱鞘炎(けんしょうえん)

  硬めの土を練っていて、腱鞘炎を起す事があります。

  細かく砕いた、やや硬め土を、指先で練ると、指に腱鞘炎を起こします。

  硬めの多量の土を練ると、腕の腱鞘炎を、起す場合が有ります。

  硬めの土は、しばらく水に付け、若干軟らかくしてから、土を練りします。

  (土練機が有れば、この機械を使用します。)

 ・ 腱鞘炎を一度起すと、再発し易く、直りも遅くなりますので、注意してください。

4) 手あれ(肌荒れ)に付いて

 ① 市販されている土を使う限り、手が荒れる恐れは在りません。

   粘土は化粧品にも、一部入っている位ですので、肌に対して安全です。

   但し、(前に述べた)「どぶ掃除」によって回収した土などは、十分発酵させないと、

   手荒れの原因に成ります。

 ② 釉による手荒れ

   釉薬は、石の粉や、金属類が入っています。更に粘土の粒子より、粗い物が多いです。

   それ故、釉薬を手で撹拌すると、手が荒れる恐れが有ります。

   (撹拌機なる物も、市販されていますが、手で撹拌するのが、最良です。)
   
  ・ 特に、沈殿している場合や、冬場の水の冷たい頃、多量の釉を使うと、肌荒れを、起し易いです。

  ・ 又、何度も、お湯で手を洗うと、皮膚の油が無くなり、手あれの原因にも成ります。

    「ハンドクリーム」を手にタップリ塗り、手あれを予防します。

5) 腰痛に付いて

  長い時間同じ姿勢で、作業していると、腰痛を起こし易く成ります。

  (以前、述べましたが)特に電動轆轤は、腰痛を起こし易く、腰痛の持病がある人は

   注意が必要です。

   腰痛の原因は、姿勢と、時間です。

   体を前かがみして、作業する電動轆轤は、特に腰に負担が掛かります。

   体を轆轤に近ずけ、体を起します。又、時々立ち上がり、同じ姿勢を長く保たない事です。

6) ホコリや粉塵に注意

 ① 粉状の釉薬を水に溶く際、粉塵となって、飛び散ります。

   前にお話した様に、釉は有害物を、含んでいる物も多いです。

 ② 乾いた粘土くずは、ホコリと成って、空気中を浮遊します。

   なるべく、釉を溶く時や、掃除をする際には、「マスク」等して、吸い込まない様に、します。

   又、部屋を乾燥させない様に、時々霧吹きで、散水すると同時に、換気に注意します。

以上

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陶芸の困り事(不用な釉薬2)

2009-07-08 16:56:52 | 陶芸の困り事
前回の続です。

1) 作品の底に付いた釉

 ③ 剥がした釉の処理

作品の底などに付着し、剥がした釉の、処理について、述べます。

 ) そのまま、元の釉の容器に戻す。

  ・ 単独の釉薬で、割合色の濃い釉は、元に戻しても、さほど問題ありません。

   但し、透明釉や白い釉の様な、少しでも、他の釉が、混ざっていたり、ゴミやホコリ等、

    不純物が、入っている場合は、焼成時に、それらが、表面に出てきます。

    それ故、元に戻さずに、他の使用方法を、選択します。

  ・ 釉の量が少ない場合などでは、やむを得ず、元の容器に戻す事も有ります。

 ) 削りカス専用の、釉薬入れに入れる。

    色々な釉が、混ざり合いまが、それなりの、使用方法も有ります。

    但し、「瑠璃釉」や、「瑠璃なまこ」、などの、紺色の強い釉は、別にします。

      瑠璃色などは、他の釉に完全に混ざらず、瑠璃色が点々と残ります。

  ・ 粉末ですので、飛び散る恐れが有りますから、水を張った容器に入れます。

 a) 見えない部分の、釉として使用する。

  ) 袋物と呼ばれる、作品が有ります。その内側に塗るのに使用します。

   袋物: 壷、花瓶、鶴首、徳利、水差しなど、内部が良く見えない、作品です。

   削りカスの釉と言ても、熔ける温度も、元の釉と、大差有りません。

   違いは、色々の釉が混ざり合って入る為、一定の色が出無い事です。

   一般に、生で桃色掛かった釉ですが、焼成すると、光沢の有る、緑色に出易いです。

   削りカスに、どんな釉が多いかによって、焼き上がりの色が、若干色が変化します。

   (ちなみに、私の教室では、この釉をビードロ釉と呼んでいます。)

 b) 一般の釉として、普通に使う。(見える位置に使う)

   この緑掛かった釉を、好む人がいます。それ故、普通に使っても良いです。

   ・ 注意点は、釉の容器の底の方に、砂や、粘土の粒子、ゴミ等が、沈殿している場合で、

    これらを取り除くか、柄杓掛けの場合には、釉を全部掛けずに、底に釉を残します。

 c) 酸化鉄(弁柄)など、鉄分の多い成分を入れ、黒い釉にして、使います。

   黒天目などと、一寸違った釉に、成ります。

 ④ その他から出る、不用な釉

  ) 作業台(テーブル)や、床に飛び散った釉から、回収した物。

    この釉薬は、釉の他に、テーブルや、床に有った、粘土屑、粉(片栗粉)、粘土以外に土、

    ゴミ、ホコリ等、多様な物質が、含まれています。

    それ故、釉薬としては、不純物が多く含み、破棄すべきか、迷います、

    しかし、上記の様に、見えない所に掛ける釉として、使用できます。

  ) 手(筆、刷毛)に付いた釉、の処置

    釉は沈殿し易く、使用前には、かき混ぜます。機械も有りますが、一般的には、手を使います。

    手に付いた釉は、そのまま水道で洗うのではなく、溜めた水の中で、おおまかに、洗います。

    その後、綺麗な水で洗います。

    同様にして、釉が付いた筆や、刷毛も同じ様に洗います。

  ・ 溜めた水は、翌日までに、釉と水が分離しますので、水を捨て、元の釉の容器に、戻します。

 ⑤ どうしても、廃棄処分が、必要な場合

   基本的には、再利用が可能ですが、廃棄する場合は、釉を高温で熔かし(本焼きの際、窯に入れる)

   ガラス質にしてから、不燃ごみとして、敷地内に、埋め立てるか、ゴミとして出します。

 ・ 繰り返しますが、釉の中には、有毒な物も含まれています。直接ゴミとして出したり、

   下水などに、流さない事です。

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陶芸の困り事(不用な釉薬1)

2009-07-07 18:07:50 | 陶芸の困り事
作品に釉を掛けた際、不用に成る釉薬が、発生します。

その釉の処置に付いて、お話いたします。

1) 作品の底に着いた釉

 ① 一般に、棚板に接する部分(底)には、釉を掛けないか、塗ってしまった釉は、剥がします。

   剥がさないと、焼成で釉が棚板に、「くっつき」、作品が取れなく成るか、棚板上の、

   アルミナコーチングが、作品に、こびり付きます。

   それ故、シュロ(棕櫚)製の、釉剥がし刷毛などで、剥がし取ります。

  勿論、底まで釉を掛け、「つめや、め」を数個立て、底を棚板から、浮かせて、

  焼成する方法も有ります。

  又、底に釉を掛けずに、施釉する方法も有ります。

  ) 末茶茶碗などは、土を見せる為、あえて底周辺は、施釉しない事が、多いです。

  ) 底に、撥水剤(以前は熔かした蝋)などを塗り、釉が掛からない様にする。

    実際には、完全に掛けない事は、難しいです。掛かった釉は、釉剥がし刷毛を使います。

  ) 霧吹きなどで、吹き掛けにすると、底には釉が掛からなく成ります。

  ) 筆や刷毛で塗ると、好きな位置に、好きな釉が塗れます。逆に塗らない事も出来ます。

     (釉に濃淡が出易く、「むら」に成り易いです。)

 ② 釉を剥がす。

    釉は単に、素焼した作品の上に、載っている状態です。それ故、簡単に剥がれます。

  ) 剥がす準備(注意点)

     剥がし刷毛で、底などを擦ると、釉は乾いた粉となって、下に落ちます。

     大き目の紙を用意し、その上に、削りカスの釉を落し、飛び散らない様にします。

     又、微粉末化した削りカスは、空気中に漂いますので、吸い込まない様にも注意します。

  ) 剥がす範囲

     棚板に接する分以外に、底より2~3mmの高さまで、落とします。

     (釉には、流れ易い釉と、流れ難い釉が有ります。流れる釉は、多目に、流れない釉は、

     少な目に、取り除きます。)

     高台内は、なるべく、施釉します。ガラス質で覆う事により、「かび」の発生を抑えます。

  ) 剥がす時の注意

   a) 作品は出来るだけ、手に持ち、宙に浮かせて下さい。

     釉を掛けた部分を、下にして置か無い事。当った所の釉が、剥がれ易いです。 

   b) 器などの口縁は、掌が直接当らない様に、器に内外を、摘むように持ちます。

      口縁部分は、特に釉が、剥がれ易いですので、注意。

   c) 釉は厚く塗れば塗るほど、少しの力で、大きく、剥がれ易く成ります。

     特に二重掛けした部分は、厚くなっていますので、注意の事。

  ) 装飾で、釉を剥がす。

     作品表面に塗った釉を、削り(搔き)取り、模様にする場合も有ります。

    (削り取られた面が、素焼のままに成ります。)

次回は、剥がした釉の削りカスの、使い方について、お話します。

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陶芸の困り事(どぶ掃除)

2009-07-06 16:30:04 | 陶芸の困り事
前回(掃除)の続を、述べます。

2) どぶ掃除

   前々回、用具類や、電動轆轤(特にドベ受け)の掃除は、一度泥を落してから、

   再度、綺麗な水で洗う用にと、述べました。

   再度洗う事によても、泥は下水に流れ込みます。

  ① 排水を一度貯めて置く、枡(ます)を設ける。

   ) 直接流すと、少ない泥でも、長年流し続けると、排水管に泥が溜まります。

   ) 釉薬の付いた用具(柄杓、筆、容器など)を洗うと、釉薬も流れ出します。

     釉薬は、各種金属類を含み、中には、有害な物も、一部含まれています。

     それ故下水に直接流すのは、なるべく、少なくしたい物です。

   ) 途中に、流れが停滞する枡を設ける事により、泥や金属などを、沈殿させる事が、
   
     出来ます。そして上澄み液だけを、下水に流れる様にします。

 ② 枡を掃除する(どぶ掃除)

  ) 月に一度程度の頻度で、上記枡を掃除します。

  ) この枡には、泥、釉薬、石鹸(手を洗う)、砂、その他多種多用な物が、混ざり合い、

    まさに、「どぶ」の状態になり、「どぶ」の匂いもします。

  ) 長い柄の付いた、柄杓で枡内の泥を、すくい取り、バケツに入れます。

  ) 「どぶさらい」をすると、意外なものが、出てきます。多いものは、皮ですが、

    その他、竹べら等、やや大きい物も、出てきます。これらも、綺麗に洗います。

   Ⅴ) バケツの泥は、1~2日で、固形物(泥)と水に、分離します。この水は捨て、

     新しい綺麗な水を注ぎ、撹拌します。

     更に1~2日すれば、泥と水は分離し、その水を捨てます。この作業を数回繰り返します。

  ) このバケツを、数ヶ月放置(夏で1~2ヶ月、冬で3~6ヶ月)する。

    バケツの中には、有機物も入っています。この有機物が、「どぶ」の匂いの元ですので、

    時間を掛けて、発酵させ、有機物を分解し、匂いを少なくします。

    (尚 夏場は、「ボウフラ」が発生しない様に、蓋などをして、注意します。)

  Ⅴ) 匂いが無く(少なく)成ったら、水分を取り、再利用できます。

    釉薬や、多種の土など、色々含んでいますので、従来に無い、色や手触りの、土と成ります。

    場合に拠っては、焼成すると、面白い土に成る場合も、有ります。

    ・ 色々不純物が、入っている為、若干高温に弱く、作品が変形する恐れも有り、注意します。

以下次回に続来ます。

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陶芸の困り事(床掃除)

2009-07-05 21:55:57 | 陶芸の困り事
作業する場所は、常に掃除が行き届き、綺麗な環境で、作陶したいものです。

しかし、陶芸には、汚れの原因に成る要素が、いっぱい有ります。

粘土片や、釉薬の汚れなど、目に見える物以外に、塵やホコリ、削り作業で出た、粉末化した粘土や、

施釉時の、釉剥がし際に出る、粉末化した釉など、目に見えない物も、多くあります。

更には、靴に付いて来た、外部の色々な汚れ(土砂など)や、頭髪、有機物(虫の死骸など)も、

床や、作業台に落ちています。特に床には、これらが、乱雑に交じり合っています。

作業場で歩き回った靴で、外に出ると、「アスファルト」に靴跡がつく時が有ります。

それ故、作業内での、専用の履物を、用意する人もいます。

1) 作業前又は、作業終了後に、床の掃除が、必ず必要です。

   掃除前には、マスクをする事を、勧めます。

   (余談ですが、健康診断で、肺がん検診の、喀痰検査が必要な人の条件に、

    喫煙20年以上の人、又は、陶芸を職業として、10年以上の人が入っていました。

    陶芸には、喫煙以上の、危険性が潜んで居る訳です。それ故、吸い込まない様に、

    注意が必要です。)

  ① 水を撒く(如雨露や、霧吹きで散水する)

    いきなり、箒で掃くと、粉塵が舞い上がります。(陶芸では、粉塵が出やすい物が、多いです)

    水を撒(ま)いて、ホコリを抑えます。換気扇などが有れば、使用します。

  ② 箒や掃除機で、大きなゴミを取り除きます。

    電気掃除機などは、粉塵も吸い込みますので、機器によっては、目詰まりを起し、

    長く使えない事も有ります。

    箒で、目に見えゴミを、掃き出します。

    尚、床に「こびりついた」釉薬は、箒で掃く前に、剥がしブラシや刷毛で、綺麗にはがし、

    釉薬のみを、集めます。(この釉薬の使い方は、後日述べます。)

  ③ 床がどんな材料で、出来ているかにより、

    ) 雑巾掛けする。(板製)

    ) 濡らしたモップで拭く。(板製、コンクリート製)

    ) より目の細かい刷毛などで、粉塵までも、掻き集める。(プラスチック、タイルなど)

   等の方法が有ります。その他、皆様も、掃除のやり方が有る事と、思います。

    ))の方法では、汚れた水の処理を、考える必要が有ります。

    簡単に、下水に流さない事です。

 尚、作業台(一般には板製)も、床に比べて、若干汚れの種類が、少ない程度ですので、

 上記に準じて、綺麗に掃除します。

以下次回に続きます。

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陶芸の困り事(掃除の泥)

2009-07-04 23:17:34 | 陶芸の困り事
陶芸では、水を多く使います。

特に、電動轆轤は、別名「水挽き」と言い、大量の水を使い、製作します。

又、手捻りでも、少量ながら、「ひび割れ」の予防、乾燥を防ぐ為や、接着などで、水は必要な物です。

当然、多量に水を含んだ土は、泥と成ります。(電動轆轤は、この泥が必要なのですが)

泥は、製作途中では、必要な物ですが、後片付けや、掃除の際には、厄介な物で、処置に困ります。

1) 手桶の泥水の処置

  電動轆轤では、手に水を付ける為に、手桶に水を入れて、使います。

  轆轤挽きすると、手に泥が付き、その泥が、手桶に溜まります。

  初心者の方は、多めに水を使て下さい。(水切れを起さない様にします。)

 ・ 轆轤作業が終われば、後片付け(掃除)に成ります。

   底削り前に、泥水など処置して置けば、その後の汚れは、少ないですので、

   この段階で行うとを薦めます。

  ①) 先ず、「ドベ受け」に溜まった泥水を、スポンジで吸い取り、手桶に絞り出します。

    数度繰り返し、「ドベ受け」を大雑把に掃除し、泥を取ります。

  ②) 次に、用具類(竹ヘラ、剣先、トンボ、皮、スケールなど)を、洗います。

    用具に付いた泥を、落してから、綺麗な水で洗う事に成ります。

    (泥の付いた物を、水道などで直接洗い、泥水を下水(本下水など)に流す事は出来ません。)

  ) 泥落し専用の、水を入れた容器の中で、スポンジや、タワシを使い、泥を落します。

  ) 又は、手桶の中で、泥を落します。

    何れにしても、十分綺麗に成りませんから、再度綺麗な水で洗います。

  ) 濡れた用具は、そのまま自然乾燥させるか、乾いた布で、水分を拭き取ります。

    (特に金属製の物は、布で拭き取り、「さび」を防ぎます。)

  ) 手桶の泥水は、泥水専用の容器(バケツなど)に入れます。

    翌日になると、上記容器の泥水は、泥が沈殿し、上部は澄んだ水に成りますので、澄んだ水を、

    スポンジなどで吸出します。(泥水の量を、減らします。)

  Ⅴ) 土の種類毎に、泥水を集めれば良いのですが、種類が多いと、その管理が面倒に成ります。

     なるべく、数を減らし、他は共同の容器に、集める様にします。

    尚、泥落し専用の容器の泥は、上記のようにして、泥水の量を減らし、他の容器に移し、

     綺麗な水を入れ、次回に備えて置きます。
  
  Ⅵ) ある程度溜まった泥は、水分を取り除き、再利用します。

以下次回に続来ます。

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陶芸の困り事(残り土の処置)

2009-07-03 21:28:51 | 陶芸の困り事
陶芸を長くやっていたり、多数の人が、集まる公民館活動や、陶芸教室などでは、色々困る事が、出てきます。

電動轆轤による、底削りなどで、発生する、削りカスや、装飾の一方法の「搔き落とし」の削りカス、

その他、色土などを練り込んだ土の、残り部分、複数の土を、「ブレンド」した後の残り土や、

何時か使うかも知れないと、残して置いた土など、いざ処分すると成ると、迷います。

又、粘土で汚れた用具や、電動轆轤の「ドベ受け」の汚れを、掃除した際に出る、泥などを、

どの様に、使い(処分)したら良いか、色々困る事も多く有ります。

皆様も、それなりの方法で、対処されている事と思います。
 
 (この様な事は、中々表に出ない問題ですが、重要な事です。)

ここでは、その様な、困り事を中心に、述べていきたいと、思います。

1) 残り土の処置

  粘土は、焼成しなければ、何度でも、再利用が可能です。

  それ故、どんな土でも、再利用すべきです。

  問題は、土に色々な物が(金属、顔料、砂、石、粘土以外の土、釉薬など)入り込んでいる事です。

  その為、再利用の仕方にも限界が有ります。

 ① 常に同じ種類の土を使う場合で、顔料などが、入ていない時。

   (地方の窯場などは、土の種類も少なく、上記の状態の所も、多いです。)

   この場合には、比較的容易に再利用が、可能です。

   「削りカス」などは、バケツなどの容器に、貯めて置き、ある量に成ったら、水を入れて、

  軟らかくして、土練りが出来る位の、硬さになたっら、土練りをし、再利用します。

  場合によっては、土を有る期間、寝かせる必要があります。

 ② 土に顔料や、化粧土が入っている場合や、複数の粘土が混入している時。

   ) 練り込み用顔料を含む土を、個別貯蔵して、ある程度貯まったら、水を加えて、再利用する。

      この方法は、顔料の種類が多いと、貯蔵数も増え、実際的では有りません。

   ) 同様に、複数の土を含む、多種類の土の場合には、全部を一まとめるにし、練り直し、

      再利用した方が、処理が簡単です。

     ・ 当然土の色も、黒っぽく、複雑な色に成ります。土の色を生かす釉を掛けて、作品を作ります。

     但し、混ぜ合わされた土は、毎回同じ様な 色には成りません。 それが難点です。   

     更にこの土を、誰が使うかも、大きな問題です。一般には使いたがら無い土ですので、

     中々消費できません。むしろ貯まる一方です。

 ③ 当教室(明窓窯)では、基本的には、その削りカスを出した人に(複数の土を混ぜて、使用した人に)

   使ってもらっています。

  即ち、作品完成後(生の状態)に出た土は、全て回収します、この段階の土は、霧吹きで、

  水を加えるだけで、簡単に、再利用できる程度の、軟らかさにする事が、可能です。
  
  但し、底削りの際、「ドベ受け」の水や泥は、スポンジで、拭き取り、「削りカス」が、

  軟らかく成り過ぎない様にします。

  これを、ビニールに包み、名前、日付、土の種類などを、書いた紙を、貼り付けて置きます。

  こうすれば2~3週間は、そのままの軟らかさで、保管出来、次回に使ってもらいます。

以下、次回に続きます。

陶芸での困り事 

残土 残り土 残土処理
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本焼きの注意点3(酸化還元)

2009-07-01 21:43:26 | 窯詰め、素焼、本焼の話し
本焼きで重要な事の、話を進めましす。

3) 所定の色に焼き上げる事

  作品に釉を掛ける際、どんな色にしいかを、考えているはずです。

  又、下絵付けした場合、出来上がりの絵の色を、考えているはずです。
 
  ・ 釉の色が、大きく変化する要因は、酸化焼成か、還元焼成かによります。

   窯を焚く際の、操作の差によるものが、多いです。

   勿論、酸化でも還元でも、同じ様な色に、焼き上がる釉も有りますが、

  ・ 酸化と、還元では、発色が完全に違う色に成る、釉も多く有ります。

   特に、銅を含んだ釉(織部、辰砂、銅青磁、青銅マットなど)は、大きく変化します。

  酸化で緑、還元で紫~赤色に、発色します。

  更に、石灰系透明釉では、還元でグレーに成ります。

  色釉は一般に、酸化焼成すると、良く発色します。還元では、色が出ない釉もあります。

  又、下絵付けの色も、酸化焼成のみで、発色する絵の具と、酸化、還元両方で発色する絵の具が

  有ります。(絵の具は、本焼き用を、使う事。楽焼専門の絵の具も有りますので、注意)

  色が変化する要因に、燃料の差も有ります。

  但し、色々な燃料の窯を、持っている方は、少ないでしょうから、余り気にしなくて、良いでしょう。

 ① 窯を焚く前に、酸化か、還元かを、決める。

 ② 還元、酸化に入る直前までは、酸化または、中性炎で温度を、上げます。

   (勿論、還元焼成ならば、早い段階から、還元焼成でも、かまいません。)

  ・ 強酸化も、強還元も、温度上昇は、鈍ります。場合によっては、温度が下ります。

   温度上昇に、最も適した焼き方は、中性炎(酸化でも還元でも無い状態)と、言われています。

 ② 還元作業の操作を行う。(還元焼成が、可能な窯である事)

   SK-8(1250℃)前後で焼成する場合、950℃位から、還元作業に入れば良いと、

   言われています。SK-7(1230℃)では、900℃程度から、還元作業に入ります。

  ) 釉の熔け方:釉は、作品表面から、熔け始めます。

     即ち、表面が熔け始めると、ガラス質になり、表面より内側の釉は、窯の雰囲気の、

     影響を受けなく成ります。

     それ故、表面が熔けた段階で、酸化か、還元かが、決まります。それ以後の影響は、

     あまり関係無い事になります。

  ) 燃料を使う窯(灯油、ガス、薪)では、窯全体を、完全に酸化に焼成する事は、
   
     中々、難しい事です。(なるべく低い温度から、酸化焼成した方が、良い結果がでます)

     窯の一部の場所では、大なり小なり、還元が掛かり易いです。

  ) 釉が熔け始まる前の、窯の状態が大事です。
   
     即ち、窯に一酸化炭素(不完全燃焼状)が多いと、釉の表面から、酸素が奪われ、

     還元傾向になり、酸素が多いと、酸化傾向になります。

     燃料と、空気の量との兼ね合いで、酸化、還元が決まります。

     空気量は、バーナーの空気調整部分と、煙突の引きの強さを、調整する事により、出来ます。

  ) 酸化還元を、交互に焚く方法

     還元が強くなると、温度上昇は、鈍ります。それ故、一度酸化に戻し、温度を上昇させ、

     その後、還元に戻します。酸化、還元を交互に、繰り返し、温度を上昇させる方法もあります。

  Ⅴ) 釉の表面が、完全に溶けた状態(1200℃程度)に成ったら、酸化焼成にします。

     還元では、炭素が、釉薬の中に残り、釉の色を悪くします。

     それ故、酸化にして、残った炭素を燃やす必要が有ります。

陶芸の本焼き 注意点 

酸化 還元
   
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