ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

どこまで狡いか汚いか!祝島を狙う悪党どもの仕業

2013年08月03日 | 日本とわたし
Women's Action Network のブログ『原発ゼロへ』に、祝島の現地の状況について、詳しい報告が載せられていた。
読めば読むほど、自分の不甲斐なさ、実際の存在力のなさに、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
31年間。毎週毎週、大きな力と闘い続けてこられた祝島の方々の、海を守り、人を守り、未来を守ろうとする強い気持ち。

「闘いやなんて、甘っちょろい言葉で括らんといてくれんか」

そんな声が聞こえてきたような気がする。


祝島はいま ~原発と海をめぐって~
2013年7月26日

現地の状況について、次のような報告がありましたので、お知らせいたします。

* * *

「埋め立ては認めないと、選挙のとき言ったのに、なぜ知事は、(埋め立て免許の失効を)先延ばししたんですか」

2013年3月4日。
山口県議会に、県内の祝島から来た女性の声が響いた。
中国電力(中電)が、上関に原発をつくるための埋め立てについて、
山本繁太郎知事の答弁がはじまり、傍聴席が騒然となっていた。
「休廷します」と議長が宣言。
「逃げるな!」
「選挙のとき、埋め立てを認めませんと言うたでしょうが!」
「それで当選したんじゃろうが!」
と、傍聴席から声が飛ぶなか、知事は退席した。

この埋め立て免許をめぐっては、08年10月、当時の二井関成(にい せきなり)知事が、中電に免許を出した。
だが、埋め立て工事は、周辺の祝島などの人びとの抗議で、進捗しないまま、
11年3月に、東京電力の福島第一原発事故を受けて、中断。
6月議会で、延長許可の申請があっても認めない方針を、二井知事が表明した。

昨夏の選挙で、任期を得た山本知事も当初、
「前知事の法的整理を引きつぐ」と、免許の延長を認めない方針を示していた。
延長の申請があっても、「認めることはできない」と、昨年9月にも答弁している。

それでも中電は、昨年10月、免許が失効する前日に、延長を申請
県はそれを受理した
行政処分の目安として、県が定める標準処理期間は、32日。
だが、県が中電に、補足説明を4回も求め、4カ月以上すぎた。
県へ回答が届くまでの日数は、カウントしないからだ。

13年2月7日には、県内の市民団体が、県知事に申し入れをした。
「上関原発計画予定地の公有水面埋立について、直ちに不許可とすること」、
中電からの延長申請について、県が中電に求めた補足説明について、「内容の詳細を明らかにすること」。

県の回答は、第一に、審査過程で「申請内容に不明な点があったため、補足説明の照会を」しており、
「公有水面埋立法にもとづき、適正に審査」したい、というもの。
第二に、「補足説明を求めた内容には、法人の不利益情報も含まれ、示すことはできない」という内容だった。
後者については後日、情報公開請求により開示されたが、「一文も残さず黒塗り」の文書である。

13年3月4日は、間延びさせた「標準処理期間」さえ満了し、数日たっていた。
20分間の休廷を解くベルが鳴り、山本知事が答弁を再開する。
「今後も審査を継続し、上関原発の位置づけが、形式的にみれば、実質的になんら変わらないことについて、
事業者に対して、一年程度を期限に、更に補足説明を求める」。
ふたたび騒然となった。
5回目の補足説明を求めるうえ、回答期限は1年。
期限切れの埋め立て免許が、あと1年も失効しないのだ。
「公約違反!」と傍聴席から怒声があがった。

この日、早朝から、船とバスを乗りつぎ、県議会の傍聴に駆けつけた祝島の人びとは、晩には祝島の公民館に集まった。
漁業補償金のことでも、動きがあったからである。

00年4月27日、中電と、当時の共107共同漁業権管理委員会などは、上関原発の建設と運転に伴う漁業補償について、契約書を交わした
この管理委員会は、上関の原発予定地の周辺にある、8漁協(当時)が構成し、旧祝島漁協はそのひとつ。
翌5月、総額約125億円の補償金のうち、半額が支払われた。
祝島漁協(当時)は、受けとりを拒否
祝島分の約5億4千万円は、この管理委員会が、法務局に供託した。

残りの半額が支払われたのは08年、県知事が公有水面埋立免許を出した直後である。
祝島漁協は合併して、山口県漁協の祝島支店になっていた。
祝島支店が受けとりを拒んだ、この約5億4千万円は、県漁協が仮受けした。
00年に供託された5億4千万円は、10年5月半ばまでに受けとらないと、国庫に収納されるという。
それを取りもどすか否か、祝島支店の組合員たちは、採決を迫られた。
09年2月は、無記名投票の結果、35対33で、翌10年1月は、挙手投票の結果、43対23で、取りもどさないと決議される。

ところが、県漁協は10年5月、この5億4千万円を払いわたす手続きを、勝手に行った
08年の第2回支払い時に仮受けした5億4千万円と合わせ祝島分の漁業補償金約10億8千万円を全額、県漁協が「預かる」ことになる。

12年2月、祝島支店の組合員集会が開かれた。
漁業補償金の受けとりについて、3回目の採決である。
こんどは、10億8千万円全額について、受けとる意思があるか、という。
組合員たちは、議長を選ぶ段階から揉めながらも、挙手採決の結果、40対17で受けとりを拒否
「祝島支店では、補償金を二度と議題にしない」という、緊急動議も議決した。

にもかかわらず、13年2月28日、県漁協本店は、議案「漁業補償金について」の総会の部会を、祝島で開催したのである。
冒頭、「補償金を受けとるか受けとらないか、環境の変化にともない、再度お聞きするため」総会の部会を開催すると、県漁協は説明したという。

「環境の変化」は3つ。

まず、水揚げが減り、組合員の生活が厳しくなっている支店や、社会の状況である。
支店の赤字は、組合員が分担して負担する。
一人あたり、昨年度は8万円台だったが、今年度は13万円を超す見込みとされた。

さらに、祝島分の漁業補償金を、県漁協が仮受けして、3億円以上の法人税を納めたことを「立て替え」とし、
祝島支店の組合員に、補償金が分配されるとき、「10億円戻ってくるか、(分配までの期間が)長くなるほど不安」なこと、
「立替金という仮勘定にある金は、一定の期間内に処理するように」と、県漁協が会計監査の指摘を受けたこと、を挙げた。

組合員から疑問が相次ぐも、それを遮って議長が選出され、無記名投票の結果21対31で、補償金の受けとりを拒む声が認める声を初めて下回った。県漁協本店はこれをもって、祝島支店が上関原発の建設に伴う漁業補償金の受けとりを承諾した、とした。果たしてそうか?

まず、議決に必要な数(可決割合)に疑問がある。この日、「議決に必要なのは半分以上か3分の2以上か」と問う組合員に、県漁協の仁保宣誠専務理事は「私は基本的には『半分』と思っている」と応え、過半数(27以上)ではあるが3分の2(35)には満たぬ票数をもって「補償金の受取りが議決された」とした。

だが、山口県漁協の定款によれば、この漁業補償金については、
「3分の2以上の多数による議決」が必要とされる「特定区画漁業権、若しくは共同漁協権、又はこれらに関する物件の設定、得喪又は変更」(第46条2の3)にあたる
と、上関原発を建てさせない祝島島民の会の、清水敏保代表は言う。
たとえば、前述した8漁協(当時)のうち、平生などでも、漁業補償金について議決に必要な数は、3分の2以上だったというのだ。

また、議長の選出方法も疑問だ。
仁保専務理事はこの日、議場から、「挙手で」と声があがっていながら、議長の選任方法は「執行者で決める」として、無記名投票で議長を選出したと聞く。
だが、清水代表によれば、県漁協の規約には、「招集者は… 議長の選任方法を議場にはかり、議長を選任」(第8条)とあり、招集者が決めるとの定めはない。

13年3月。
人口約460人の祝島で、漁業補償金に関する議決権をもつ漁協の正組合員は、53人。
「漁師だけの問題じゃない」という声も聞こえる。

16日、祝島支店の正組合員31人と准組合員8人が、この漁業補償金は受けとらないと、1人1枚の書面に意思を記したうえで署名捺印。
22日に、この39名の代表3人が、下関市にある県漁協本店を訪れ、それを提出した。

しかし、県漁協はこの6月、
「漁業補償金配分基準(案)について」との議題で、6月21日に、祝島支店で総会の部会を開くと通知してきた。
10億円を超える漁業補償金の配分基準案が、配分委員会をつくって検討することもなく、いきなり出来てきたのである。

「原発つくらせんために、30年みんなで頑張ってきたのに、自分だけ銭をもらってどうなろう」
「漁師だけの海じゃないんじゃけぇ」


祝島の人びとは発奮し、奔走した。
すると、県漁協は、前日の夕方になって、荒天を理由に延期を通知、今後の開催日は、おって知らせるという。

7月3日、先述した祝島の漁協組合員39人は、延期中の総会の部会での決議方法や、可決割合などについて問う文書を、県漁協へ送付。
1週間以内の回答を要請した。
前政権の「原発ゼロ」を、自民党の安倍政権が「ゼロベースで見直す」揺りもどしにも、祝島の人びとは、一心に原発を拒みつづけている。

「誰の海でなし。みんなの海なんじゃけぇ、守らんと」

もはや私たちも、迷う余地はないはずだ。
どんな揺りもどしも、時計の針は戻せず、時代の波は止められないのだから。

(報告者:山秋真)


祝島 漁業補償金についての最新情報:8月2日に漁業補償金をめぐり総会の部会開催
2013年7月28日
現地から、次の情報がありましたのでお知らせいたします。
* * *
山口県漁協が、上関原発建設のための迷惑料として、
中国電力から預かった10億8千万円のお金(漁業補償金)を、
山口県漁協祝島支店に、強引に受け取らせようとしています。

祝島の人びとは、30年以上も、原発に反対の意思を示し、建設の阻止をしてきました。
漁師たちは、山口県漁協が開く、漁業補償金の取り決めをする総会で、何度も、受取りを否決してきました。

本来なら、一度で終える決議を何度も繰り返し、山口県漁協の職員が、総会で、漁師たちに、
「受け取らなければ、10億8千万円の管理をしているため、税金だけかかり、それを負担しなければいけない」と嘘の脅しをかけ、
「県漁協が主催で開く総会は、県漁協主導で議決方法を決められる」と、強引に、受け取りの可決をさせました。

しかし、その後まもなく、山口県漁協祝島支店の正組合員53人のなかで、過半数となる31名の正組合員と、8名の准組合員は、
「漁業補償金の受け取りはしない」という内容の書面に署名をし、それを、山口県漁協本店に提出しました。

その署名のことには何も応じることもなく、今回、漁業補償金の分配方法を決めるための、総会を開こうとしています。
漁業権に関わる総会の議決は、3分の2以上の同意がなければいけません。
山口県漁協は、漁業補償金については、過半数で議決できる、との主張をしていますが、

福島原発の事故がもたらした、海への被害を考えたら、漁業権に関わることは間違いないと思えます。

この分配方法が決まらなければ、漁業補償金の受取りにはなりません。
不当で強引なやり方で、原発の漁業補償金を受け取らせようとしていることに対して、
本来の漁協は、漁師たちの生活を守るべきではないか、などの声を、山口県漁協に届けてください。
世間の注目が、変化をもたらします。
正当な方法で、議決を行えるようになるためにも、上関原発の新規立地を許さないためにも、
よろしくお願いします。
山口県漁業協同組合
Tel: 083-231-2211 Fax: 083-231-6466

(報告者:木村力さん)


脱原発世界会議2での祝島からの報告
2013年8月1日

* * *

現地から、次の声をお届けします。
2012年12月15日に開催された、脱原発イベントNuclear Free Now 脱原発世界会議2で、
「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の橋本典子さんが、された報告です。

祝島では、上関原発の建設にともなう、漁業補償金の受けとりを拒む祝島の漁師さんたちに、山口県漁協が受取りをせまっていて、
2013年8月2日午後5時から、総会の部会を開催しようとしており、いままた大変です。
応援よろしくお願いいたします。
________

こんにちは。
山口県からきました、橋本典子と言います。
宜しくお願いします。

祝島は、高齢者が多くて、私が若手です。
普段は、美容師と、母親から習った味噌を作ってます。
22才の時に、原発問題が起きて、推進と反対派と別れて
残念ながら、昔の和気あいあいとした島の生活は、無くなりました

中電と国に、人間関係をバラバラにされたのが、とても悔しいです。

3年前から、海の埋め立て工事を始めようと、昼、夜関係なく、作業船を動かして来るので、
毎日が戦いで、母親の面倒もそこそこに、反対運動してました。

私の運動の仕方は、引いたら負ける、絶対に引かん!と、自分に言い聞かせてやってました
作業をやめさせようとボードに乗り、9時間、船にしがみついた事もあります。
父親が、広島で被爆してるので、私は被爆二世ですね。
だから、余計、原発は絶対建てさせないと、体を張ってやってます。

中電に、毎日のように、違法行為とか警告とか言われて、
最初はめちゃくちゃビビりましたが、だんだん慣れてきて、普通の言葉と変わらなく聞こえてきました。
自分達は正しい事をしてる。
これで、警察や海上保安庁に捕まってもええわ、と思ってやってました。

旦那もずっと、船で反対運動して、ほとんど2年間、仕事は出来ないし
体と精神状態は、かなりきつかったと思います。
船に慣れてる旦那でも、陸に上がると体が揺れてる、と言ってましたね。
最悪の状態でした。

全国から、布メッセージやカンパの応援を頂いたり、若者達が見張りをしてくれてて、助かりました。
そのために、若者2人と、島民の会代表 清水さんと、旦那、橋本久男が、4800万訴えられました。

中電はまだ、原発を建てると言ってます。
30年から、毎週月曜日に、デモをやってます。
現在、1151回(2012年12月現在)になりますが、これから高齢者化が進み、色々な運動も厳しくなってます


私達は、自然と共にに生きたい、それだけの事がとても難しいんです

これからも、祝島を助けて下さい。
宜しくお願いします。

(報告者:橋本典子さん)


祝島島民の会 全員集会でのメッセージ
2013年8月2日

本日午後1時、上関原発をつくらせない祝島島民の会の、全員集会が開かれました。
代表の清水敏保さんが、次のメッセージを読みあげ、集まった会員の方々と確認しました。

 * * *
 
『本日招集されている、県漁協祝島支店の総会の部会は、山口県漁協の強引な進め方で、開催されようとしており、私たちは認めることができません』

祝島に暮らす私たちは、これまで31年間、原発建設に反対し続けてきました。
原発建設のための漁業補償金も、祝島の漁師たちは、2000年に受け取りを拒んで以来、
これまで3度も、受け取り拒否を決議してきました。

昨年2月は、祝島支店では、漁業補償金について、二度と議題にしない、ということも決議しました。
それを無視して、県漁協は今年2月、祝島支店の総会の部会を開き、漁業補償金の受け取りを迫ってきました。

県漁協のやり方は、規約に違反した選出方法で、議長を決め、採決を行うというものでした。
その結果、受け取り賛成が、初めて過半数となりました。
これをもって、県漁協は、祝島支店が漁業補償金の受け取りを決めた、と言っています。

そこで、祝島支店の31人の正組合員は、漁業補償金は受け取らないと、改めて、県漁協に申し入れをしました
それも無視して、祝島支店に配分委員会も作らず、県漁協主導で、6月に、漁業補償金の分配案を作ってきました
今日の総会の部会は、その採決を迫ろうとするものです。

この漁業補償金については、本来なら、漁業者全員の同意がなければ、決めることができません
少なくとも、3分の2以上の同意は必要であると、県漁協の定款類にも、国の法律にも明記されています。
祝島支店が、漁業補償金の受け取りを決めた、という県漁協の主張には、全く根拠がありません

私たちは、繰り返し説明を求めていますが、県漁協は、これまでずっと明らかにすることなく、進めてきました。

繰り返します。

『本日招集されている、県漁協祝島支店の総会の部会は、山口県漁協の強引な進め方で、開催されようとしており、私たちは認めることができません』

(報告者:木村力さん)


祝島:漁業補償金に関する総会の部会の中止
2013年8月2日

本日、祝島にて予定されていた、山口県漁協祝島支店の総会の部会は、中止となりました。
港での、祝島島民の怒りの大歓迎によって、県漁協関係者は島に上陸しただけで、乗ってきた定期便で帰っていきました

取り急ぎのご報告ですが、この件に注目し、アクションを起こしてくださったみなさまに、感謝いたします。

(報告者:山秋真)

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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-08-04 12:10:11
山口県漁協の上層部は、組合員および職員を食い物としか思っていない。
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Unknownさんへ (まうみ)
2013-08-05 09:19:43
祝島の方々は、そういう、人を食い物としか思っていない人間たちとも闘わなければならないのですね。
せめて、同じ立場にいる人間が、海を守り、未来を守ろうとする人たちと同じ思いを抱いて欲しいなどというのは、現実を知らなさすぎる者の戯言なのかもしれません。
えらい世の中なのだということをもっと知らなければ。
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