ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「患者数だろうと失業者数だろうと死者数だろうと、数字だけでは新型コロナの影響を推し量ることはできない。彼らは単なるリスト上の名前ではない。彼らは我々だ」

2020年05月25日 | 世界とわたし
今日のニューヨークタイムズの一面に、新型コロナウイルスによる死者の約千人の名前と享年、そして一言紹介が載せられました。
アメリカ全土の新型コロナウイルスによる死者が10万人を超えてしまう日が近づいています。

「彼らは単なるリストの上の名前ではない。彼らはわれわれだ」
「患者数だろうと失業者数だろうと死者数だろうと、数字だけでは新型コロナの影響を推し量ることはできない。千人は全体のわずか1%にすぎない」

一言紹介には「厳しい仕事ぶりで知られる裁縫師」など、米国各地のさまざまな新聞に掲載された訃報を集め、まとめたものが載せられています。

世界各国の新型コロナウイルス感染者や死者の数には、国それぞれの政治事情や方針が影響しているので、どこまでが真実なのかはっきりわかりません。
アメリカの人口は3億2700万人、日本の人口の約3倍です。
アメリカの感染者数は約162万2670人、日本の感染者数は1万7262人、
アメリカの死者数は9万7601人、日本の死者数は833人。
どちらも100分の1になっています。
人口100万人あたりの感染者数は、アメリカが5000人弱、日本は131人。
人口100万人あたりの死亡者数は、アメリカが約300人、日本は6.5人。
ところが、感染者数における死亡割合になると、アメリカが6%、日本が5%と、それほど大きな差がありません。

このような事態が起こった際に、数字を弄ったり誤魔化す事を良しとしない国と、国益のためなら隠したり変えたりするのも致し方がないという国では、出されてくる数字が全く違ってきます。
アメリカのこの突出した数字は、もちろん検査数の多さからきているのですが、死亡時の検査がどうなっているのか、そこを調べたいと思っています。
どのような症状で亡くなったとしても、陽性検査を行って、死因が新型コロナウイルスに因るものであるのかを徹底的に調べているのか否か。
それが知りたいのです。

最近「超過死亡」という言葉を目にする事が多くなりました。
「超過死亡」というのは、感染症が流行した一定の期間の死亡数が、過去の平均的な水準をどれだけ上回っているかを示す指標です。
この指標が日本でも上回っていて、2月中旬から3月末までの6週間で、東京だけでも300人の超過死亡が確認されています。

今回のパンデミックでわたしたちは、それぞれの国の在り方、政府における危機対応の優劣、生活と環境のバランス、人と人との繋がりを、立ち止まってじっくり見直す事になりました。
わたしが暮らす地域では、緊急事態の解除はまだまだ先のようで、町のレストランや劇場はずっと扉を閉ざしたままです。
共にとても小さな規模の自営業者である我々夫婦には、5月の中旬にやっと、4月中のはずだった一律給付金約26万円が送られてきました。
完全休業の夫には、今回のコロナ禍限定の失業保険の支給も始まりました。
誰も雇わず全て個人でやっている仕事でこれほどのストレスと不安を抱えるのです。
今まだ休業を続けている経営者の方々、その会社やお店で働いている方々の気持ちを思うと、深いため息しか出てきません。
政治がどれだけきめ細かく、そして的確で十分な支援ができるのか。
それをしっかり監視して、足りない場合は厳しく指摘してきちんとさせなければなりません。
そして何より、次の第二波の襲来に備えるべく、最悪の事態を想定し、医療設備や防護器具、人員、それから症状別の隔離施設を用意しなければなりません。
今回どこよりも辛酸を舐める事になったニューヨークは、もう二度と同じ失敗は繰り返さないでしょうし、頭はすでに第二派の対応に向かっています。
日本は今回同様、安倍政府スタイルを続けるつもりなのか、はたまた政権が変わっていて、違う対応をとるのか。
いずれにせよ、新型コロナウイルスが生んだ新しい世界を生きていくしかないわたしたちは、既存の常識や習慣に拘らない柔軟な頭と心を持てるよう、少しずつ慣らせていかなければならないのでしょうね。

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